時系列不等価コントロール群デザイン【統計解析講義応用】

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時系列不等価コントロール群デザイン|【統計学・統計解析講義応用】

時系列不等価コントロール群デザイン【統計解析講義応用】


目次  時系列不等価コントロール群デザイン【統計解析講義応用】

 

 

時系列不等価コントロール群デザイン

 

ソング,グリー,ルディー,ダグラス,ダイアー〔Song,Daly, Rudy, Douglas, & Dyer, 1997〕は,ナースの管理による特別ケアユニットで働くナースと,従来の集中治療室で働くナースとを比較して,欠勤率と退職率を検証した.

 

2つのユニットを4年間にわたって比較した.

 

単純な時系列デザインについて,多くの変形が可能であり,看護研究者によってもちいられている.

 

たとえば,いくつかの異なる時点で処理を施したり,時間に従って処理を強化したり,またはある時点で処理を施し,のちの時点で処理を中止(withdrawing)したり,ときには処理を再度施す(reinstitution of treatment)ことで,ある処理の効果に関して,新たなエビデンスを得ることができる.

 

臨床看護研究者は,時系列デザインのようなものをもちいるのに,よい立場にいることが多い.

 

というのは,患者の機能測定は,通常,長期にわたって複数の時点で定期的に行うからである.

 

臨床研究でときどきもちいる時系列の方法について,その特別な適用に,単一対象実験(single-subject experiment)ということもある)というものがある.

 

単一対象研究は,時系列デザインを使い,コントロール条件下にある1人の患者(または少人数の患者)の反応に基づいて,介入についての情報を集める.

 

単一対象の方法に関する文献では,もっとも基礎的なデザインには,データ収集のベースラインの相(A)と介入の相(B)が含まれ,ABデザイン(AB design)というものをつくる.

 

実験処理を中止した場合は,それはABAデザインとなる.

 

そして,中止された処理が再開された場合は, ABABデザインとなる.

 

ポートニーとワトキンス〔Portney & Watkins, 2000〕は,臨床環境における単一対象研究について,貴重な指針を提示している.

 

単一対象デザインの例

 

ランドルト,マルティ,ウィドナー,ミュリ〔Landolt,Marti, Widner, & Meuli, 2002〕は.単一対象実験を(複数の患者に)もちいて,アニメ映画鑑賞が,やけどを負った子どもの疼痛行動の軽減に効果的かどうかを調べた.

 

実験の条件と比較の条件

 

実験デザインをもちいる研究者と同じように,準実験的方法をもちいる研究者も,公平な検証のための機会を提供する,

 

強い介入を開発するよう努力したほうがよい.また,介入が何をもたらすかを記録するプロトコルを開発する必要がある.

 

研究者は,とくに慎重に,準実験における反事実条件を理解し記録する必要がある.

 

不等価コントロール群デザインの場合,これは比較グループが曝露されている条件を理解することを意味する.

 

新しいプライマリー・ナーシングシステムとの比較に,従来のナーシングシステムを行っている病院をもちいる先述の例では,従来のシステムの性格を十分にわかっているべきであろう.

 

時系列デザインでは,反事実条件は,介入の実施の前に存在している条件である.

 

準実験の長所と限界

 

準実験の大きな長所は,実用的なことである.

 

現実世界では,真の実験を行うのは,不可能でないとしてもむずかしいだろう.

 

看護研究は,通常,現実生活の環境で行われる.

 

そこでは,改革的な処理を無作為に,ある人々に行い,ある人々には行わないということはむずかしい.

 

実験するのに十分な厳密性が不可能な場合,準実験デザインでは,ある種の研究コントロールを導入する.

 

しかし,準実験デザインをもちいる研究者は,その弱点もよく理解しなくてはならない.

 

そして,結果を解釈する際には,その弱点を考慮しなくてはならない.

 

準実験デザインをもちいる場合,結果の説明として,実験操作に競合するいくつかの対立仮説(rival hypothesis)があるかもしれない。

 

 

ヘロイン中毒の母親をもつ赤ん坊のグループに,ある薬物を与える場合を例にして,その処理が,これらに典型的にみられる低出生体重児において,体重増加をもたらすかどうかを評価するとしよう.

 

比較群をもちいないか,または不等価コントロール群をもちいて,体重増加が観察されたとすれば,われわれは次のように問われなければならない.

 

「他の因子が体重増加の原因ではないか,または影響したということがもっともらしいのではないか」.「赤ん坊の実験群と比較群での処理前の差が,体重増加の差になったのではないだろうか」.

 

「赤ん坊は,成長した結果,単に体重が増えたのではないだろうか」.これらの問いのいずれに対する答えも「イエス」ならば,われわれが推論できる実験処理の影響は,著しく弱いものなる.

 

もちろん,それら脅威のうちのどれ1つとして,そのもっともらしさを明確には答えられない.

 

それは,一般に判断を働かせなければならない状況である.

 

準実験から得られた結論は,客観的な評価基準によるよりも,かなりの程度,人間の判断に依存するため,因果関係の推論は妥当性の低いものとなるかもしれない.

 

準実験研究の例

 

ブル,ハンセン,グロス〔Bull, Hansen, & Gross 2000〕は,強力な準実験デザインをもちいて,心不全で入院した高齢の患者の退院計画について,専門職と患者間のパートナーシップモデルを実施した効果を評価した.

 

介入のデザインの目的は,高齢患者のフォローアップケアヘのニーズを容易に特定することと,より徹底的な査定を要する人々を特定することであった.

 

退院計画モデルを1つの病院で実施し,新しいモデルを採用していない別の病院で,不等価コントロール群を確保した.

 

規模,タイプ,心疾患病棟で使われている退院計画の実践について,両者の病院をマッチングした.

 

介入前と退院後2週間および2か月の時点で,測定範囲〔健康状態,患者の満足度,ヘルス・ローカス・オブ・コントロール(health locus of control) など)に関するデータを,患者と介護者から収集した.

 

さらに,介入の実施の前後で,両者の病院からデータを収集し,不等価コントロール群デザインの特徴と小さな時系列デザインの特徴を組み合わせた.

 

しかし,残念なことに,後者の病院が比較を弱めるような改革を導入したために,この病院からの比較群のデータが汚染された.

 

そこで,介入後の実験群のデータを,当初に計画していた3つの比較群ではなく,2つの比較群と比較した.

 

それは,新しいモデルを実施する前に,両者の病院から得た比較群である.

 

高齢者の3群は,人口学的にも退院前の健康測定という意味でも,比較可能であることが確認された.

 

2つの比較群には有意差がないので,分析のために組み合わせた.

 

その結果,処理群における高齢者は,比較群の高齢者よりも,ケアを管理する準備がより整えられていると感じ,ケア管理についての情報がより継続的であると報告し,よりよい健康状態である,と感じていることが示された.

 

さらに,再入院した処理群の高齢者は,比較群の患者よりも再入院日数が短かった.

 

無作為化はしなかったが,デザインが強力であったので,革新的退院計画モデルの効果について,推論を導出することができた.

 

 

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