盲検化(マスキング)|【統計学・統計解析講義応用】
盲検化(マスキング)4>
バイアスを避けるため,盲検化(blinding,マスキングmasking)はほとんどの説明的試験で不可欠である.
ほとんどの実践的試験でも,結果を評価する際のバイアスを減らすために盲検化は非常に好適である.
単盲検(single-blinding)は,(研究者ではなく)患者を盲検とすることを指す.
二重盲検(double-blinding)は患者と研究者の両者を盲検とすることを指す.
三重盲検(triple-blinding)は,試験を監視する委員が,各群の患者が受けている治療について盲検とされる二重盲検試験のことを指す.
臨床研究において.虚偽は比較的まれであるけれど,非盲検化試験あるいは単盲検試験におけるバイアスによる誤った結果により,盲検化の価値が再確認できる.
しかしながら,盲検化することにより,治療方法の試行ができなくなるときには,客観性を保証するために他の方法を用いる必要がある.
最もわかりやすい例は,手術と薬物治療を比較する試験である.
このような状況下では,通常,患者と主治医は盲検を保つことができない.
同様の状況が,ある治療の投与が他の治療の投与と明らかに異なるときに生じる.
ある場合では,(比較治療のそれぞれにプラセボがある)ダブルダミー手法(double-dummy technique)が用いられるが,このアプローチはかなり複雑となる.
多数の効果的な治療がある場合,プラセボの設定が困難であるという問題が増加する.
実薬と区別不可能で.結果に影響を与えないプラセボを製造することは複雑で高価な仕事である.
新しい治療が現在の治療と比較されるとき,あるいは2つの入手できる治療が比べられるときは,しばしば,製薬企業の1つは協力しないかもしれない.
新しい薬剤との比較試験に参加することにより,世の中に確立している薬剤を製造しても,何も得られないからである.
盲検性を担保するため,プラセボは実薬に十分似ている必要があることから,プラセボ対照試験の成功は,両薬剤の製造会社の協力と参加に依存する.
他の状況では,特に介入が行動または手術である場合,簡単に盲検化することは不可能である.
ある状況では,高コストかつ高リスクの手術の方法が客観的に評価されていることを保証するために偽手術の切断がうまく用いられている.
関連記事