真の実験の特性|【統計学・統計解析講義応用】
真の実験の特性
コントロールされた実験は,多くの人によって,理想である,
つまり,原因と結果についての信頼性あるエビデンスを生む黄金のスタンダードであると考えられている.
純粋な記述研究を除いては,多くの研究の目的は,現象間の関係を理解することである.
たとえば,ある薬物は,ある疾患の治癒をもたらすだろうか.
ある看護介入は,患者の不安を減少させるだろうか.
真の実験の利点は,因果関係の真実性に,実験者がさらに大きな信頼をおくことができるという事実にある.
なぜなら,それらの欄係は,コントロールされた条件のもとで観察されるからである.
仮説は,科学的方法によって証明されるものでも反証されるものでも決してないが,真の実験は,1つの変数が他の変数に与える影響について,もっとも信頼できる証拠をもたらすものである
真の実験デザインは,以下の特性によって特徴づけられる.
・操作:実験者は,少なくともある対象に対し,なんらかの処理を施す.
・コントロール:実験者は,実験状況にコントロールを施す.コントロール群(対照群)も利用する.
・無作為化:実験者は,研究対象を,コントロール群と実験群に無作為に割り付ける.
これらの特性の各々について,以下で詳細に検討しよう.
操作
操作(manipulation)とは,研究参加者になんらかの処理を施すことである.
その「なんらか」の導入,つまり,実験処理(experimental treatment)または実験介入(experimental intervention)が,独立変数を構成する.
実験者は,それをある対象に適用し,他の対象には適用しない(または他の処理を施す)ことによって,その独立変数を操作する.
実験者は,意識的に独立変数を変え,従属変数への影響を観察する.
たとえば,高齢者ナーシングホーム居住者の痛みを緩和する方法として,優しいマッサージ(ジェントル・マッサージ)が効果的である,と仮定するとしよう.
この例での独立変数(推定される原因)は,優しいマッサージを受けることである.
ある患者にはマッサージ介入を施し,他の患者には施さないことで,これは操作できる.
次に,介入を受けるか受けないかという違いによって,平均的苦痛レベルに差が生じるかを検証するために,2つの集団における患者の苦痛レベル(従属変数)を比較する.
コントロール
実験研究では,コントロールは,操作,無作為化,慎重に準備された実験プロトコル,そしてコントロール群の使用などによって達成できる.
関係性について証拠を得るには,少なくとも1つの比較を行うことが必要である.
2週間にわたり,未熟児たちに特別な栄養補給を行ったとしよう.
2週問の終わりに,これらの未熟児の体重を測定しても,治療の有効性についての情報は何も得られないであろう.
少なくとも未熟児の体重が増加したか否かを判断するには,治療前の体重と治療後の体重を比較することが,最小限必要であろう.
しかし,さしあたり,平均1ポンドの体重増加がみられたと仮定しよう.
この結果は,栄養補給(独立変数)によって体重増加(従属変数)が生じる,という結論を支持するであろうか.否である.
赤ん坊は,成長するにつれて体重が増加するのが普通である.
栄養補給を行っていないコントロール群なくして,成長の影響と治療の影響とを分離することは不可能である.
実験群(experimental group)または処理群(treatment group介入を施される集団)の従属変数における変化を評価するためにもちいられる群をコントロール群(control group ; 対照群)という.
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