層別ランダム化|【統計学・統計解析講義応用】
層別ランダム化
単純ランダム化,またはブロックランダム化は偶然にも治療群間の重要な特性(characteristic)に不均衡が起こるかもしれない.
すなわち,それらの特性は結果に関与すると考えられる.例えば,もし,ランダム化2群試験の割付が,HHTT THTH THTH HTTH
であるとして,女性が1. 2, 6. 8. 16だとすると,全体の均衡はとれているにもかかわらず,女性は同じ治療群に割り付けられる.
もし,性別が結果に関連するなら.群問での女性の分布の違いが,誤って治療効米と考えてしまう交絡(confounding)が生じる.
層別ランダム化(stratified randomization)は,重要な特性,すなわち結果に影響を与えると予測される特性を均衡に割付けるために用いられる.
この方法は.それぞれのサブグループまたは層に別のブロックランダム化を用いる.
実施施設(clinical center).年齢,性別および一般的に用いられる層は,強く試験の主要評価に影響を及ぼすことが知られている特定の状態の病歴を含む.
例えば,女性の健康イニシアチブ(Womens Health Initiative, WHI)においてホルモン補充療法試験の重要なアウトカムは,冠動脈心疾患,骨折,乳がんであった.
施設と年齢を含む要因で,層別置換ブロックランダム化が行われた.
それぞれの施設内で,試験の終了時に治療群間の均衡を有する.
施設による層化は,人口統計学的に異なる可能性のある施設間の治療のバランスに加えて,他の実践的な利点がある.
利点の1つは.ロジスティックがよくなることである.
すなわち治験薬と対照薬またはプラセボを同じ量,事前に包装した箱をそれぞれの施設へ運ぶ.
施設の別の利点は受け入れ可能性が上がることである.
多施設試験を終了した際.すべての施設が同じ数の被験者を評価する.
施設によって層化される置換ブロックランダム化がランダム化の好ましい方法であるにもかかわらず,層化はときとして必要以上に広がる.
上述のように,個々の層が,ランダム化ブロックを完成した場合のみ,治療群問の完全な均衡は保証されている.
一般的に被験者登録は層別に特化した目的があるわけではない.
むしろ試験のために設定されているのは全体の登録者数である.
このように多くの層で少なくとも不完全なブロックが試験終了時に存在する可能性がある.
いくつかの不完全ブロックは選定した層の不均衡.すなわち群の層別化は無意味となるばかりでなく,それぞれの群の例数が不均衡になる場合を起こす.
この状態を避けるために,層の数は重要な因子に限るべきである.
層化のために考慮すべき唯一の変数は,潜在的な交絡因子である.
そしてそれは対象とした評価のアウトカムと強く関連しているべきである.
どのくらい多くの層を増やすかを示すために,2群比較に加えて2つの施設,性別(男/女). BMI基準(低体重underweight/正常normal/高体重overweight/肥満obesity),年齢(18〜24.9/25〜34.9/35〜44.9/45〜55)で層別することとする.
それぞれの層別化した因子の組み合わせをセル(cell)と呼ぶ.
したがって,2施設×2性別×4 BMI 区分×4年齢層は64のセルを生成する.
層別因子をさらに増やすと,中規模の例数の試験ならば,不均衡や,0のセルができる可能性がある.
最小化または動的割付(dynamic allocation) /層別化は,数の少ないセルをつくることなく,多くの因子間で治療群間の不均衡を最小にする割付方法である.
我々の例は2群試験デザインを取り上げているが,すべてが3群以上の治療群間試験でも重要である.
偽ランダム化法
多くの「偽ランダムpseudo-random」法が臨床論文で収り上げられているが,ほとんどがランダム化の代替として受け入れられるものではない.
非ランダム系統的手順(nonrandom systematic scheme).例えば,入院日が奇数か偶数かに基づく登録.または順番に登録するようなことは避けるべきである.
なぜなら,適格性が決まる前に治療割付が予見できてしまうからである.
個人認証番号の奇数と偶数に基づく方法.被験者の社会保障番号または病院医療記録番号(カルテ番号)は同じ理由で避けるべきである.
登録前の治療群への割付決定は,前に述べたように,登録決定または,被験者個人への手順を偏らせる.
予測可能な手順はまた,被験者または研究者を治療割付に対して盲検化する機能を損なう.
そしてそれはまた.被験者のアウトカムを報告するか,観察するかにおいてバイアスをもたらす場合がある.
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