量的測定用具に関する質的探究の例|【統計学・統計解析講義応用】
量的測定用具に関する質的探究の例
バロッソとサンデロウスキーは,広く利用されているベックの抑うつ尺度(Beck Depression Inventory: BDI)を, HIV感染患者の標本にもちいたときに体験された問題を,質的に記録した.
BDI利用時の体験は,「測定用具を利用する過程の全段階で,面接と観察の質的技法を組み込むことの重要性を示している」と,研究者は結論づけた.
構成概念の解明と妥当性の検証
マルチメソッド・リサーチは,構成概念についての包括的な理解を発展させるため,または構成概念の諸側面に関する妥当性を検証するため頻繁にもちいられる.
あまり研究が進められていない現象が,さらに詳細な調査を行う価値があると確認されたか(通常は徹底的な質的研究で),または既存の一連の研究において重大なギャップがあると確認されたか,または有効な概念化であることに疑問が提起された場合は,このような研究を実施することがある.
構成概念の妥当性を検証する例
リースとハークレスは,35歳以上の女性の母親経験を検証するために,マルチメソッドの研究を行った.
研究者たちは,母親経験についての既存の量的測定尺度であるWhat Being the Parent of a Baby is Like(WPL-R)尺度の修正版をもちいた.
この方法には,ベアレンティングにおける自己評価,中心性(centrality),および生活の変化という3つの下位尺度が含まれている.
研究者たちは.回答者に対して,母親経験についての広範囲にわたる厳密な質問を行い,浮かび上がったテーマについて質的に分析した.
コントロールの喪失,疲労とその癒しの必要性,無常観と時間経過を含め,複数の新たな次元が研究の質的分析部分で明らかになったことがわかった.
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