CPUとGPUが拓く|超高速計算の世界【東京情報大学・嵜山陽二郎博士のAIデータサイエンス講座】

CPUは少数の高性能コアで複雑な処理を逐次的に実行する汎用プロセッサであり、分岐が多いタスクやOS制御、アプリケーション全体の管理に適している。一方GPUは多数の小さなコアを並列に配置し、同じ種類の計算を一度に大量に処理できる構造を持つため、行列演算やベクトル演算など並列性の高い計算に向いている。これによりディープラーニングの学習や画像処理、物理シミュレーションなどで圧倒的な計算速度を発揮する。CPUは低遅延・汎用性の高さが強みで、GPUは高い並列処理能力が強みであり、現代のAIや科学計算では両者を組み合わせて効率的な処理を実現している。
▼▼▼▼▼▼▼▼
チャンネル登録はこちら
CPUとGPUの基本的な位置付け
計算デバイスとしての役割と背景
CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)とGPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)は、現代のコンピュータシステムにおける中核的な計算デバイスであり、それぞれが異なる役割と構造的特性を持つことで幅広いアプリケーションを支えている。
CPUの特徴と役割
汎用性・柔軟性・制御処理の強さ
CPUは人間でいう「頭脳」に相当し、OSの制御、アプリケーションの管理、複雑で分岐の多い処理、逐次的に進むタスクの実行など、汎用的かつ柔軟性の高い計算を担う。CPUは一般的に数個?十数個ほどの高性能コアで構成され、それぞれが高度な命令制御を持ち、複雑な分岐やメモリアクセスを精密に処理できるよう最適化されている。クロック周波数が高く単一スレッド性能に優れ、OS管理、アプリケーションの制御フロー、デバイスとの通信、同期処理など幅広いタスクを効率的にさばく。日常的なPC作業のレスポンスや操作性もCPU性能に大きく依存する。
GPUの構造と並列処理性能
大量コアによる高速並列計算の仕組み
GPUは本来3Dグラフィックスや画像処理のために設計されたプロセッサであり、同じ種類の計算を大量かつ並列に処理する能力に特化している。数百?数万規模の小さなコア(シェーダユニット)で構成され、SIMD型アーキテクチャにより単一命令を多数データへ同時適用する一括処理を得意とする。これにより3D描画、画像処理、動画処理、深層学習の行列演算などでCPUを圧倒するスループットを発揮する。
AIとGPUの関係性
深層学習を支える巨大な行列計算能力
ディープラーニングの爆発的発展はGPUの高度な並列計算能力に強く依存している。Transformer型モデルなどは膨大な行列演算を繰り返すため、GPUを多数並列に用いることで学習速度が飛躍的に向上する。GPUメモリも高帯域で設計され、大規模テンソルの一括処理に適しており、AIモデルの大型化と性能向上に必須の要素となっている。
CPUとGPUの協働
両者の特性を生かした高速処理の分担
CPUとGPUは優劣ではなく役割分担の関係にある。CPUはタスク管理、前処理、分岐処理、I/O制御など複雑制御を担い、GPUは大量の数値計算を一気に処理する。AIワークロードではCPUがデータ準備や制御処理を行い、GPUが学習・推論の中心計算を担当することで最大性能を引き出す。
GPU活用領域の拡大
科学計算から金融工学まで広がる応用
NVIDIA CUDA、AMD ROCm、Google TPUなどの普及により、GPUの利用範囲は画像処理を超えて、科学技術計算、シミュレーション、ビッグデータ解析、金融工学、量子化学などへ拡大している。GPUアクセラレーションはもはやAIだけでなく計算科学の基盤技術となっている。
スーパーコンピュータとGPU
HPC時代を支える計算アーキテクチャ
高性能コンピューティング(HPC)分野ではCPUとGPUの協働が主流となり、多くの世界最速級スーパーコンピュータがGPUアクセラレーションを採用している。日本の「富岳」はCPU主体の構成だが、AIや大規模シミュレーションではGPU搭載型が圧倒的な計算効率を発揮する。
まとめ:CPUとGPUの本質的な違い
汎用制御のCPUと大量計算のGPU
CPUは汎用性・柔軟性・制御能力に優れ、システムの司令塔として機能する。一方GPUは大量並列計算の専門家であり、現代のAIと科学計算を支える主力デバイスとなっている。両者は互いの強みを生かしながら協働し、効率的な計算処理を実現している。







