因子の回転|【統計学・統計解析用語】
因子の回転は、因子分析で得られた結果をより解釈しやすくするために使用される技術です。直交回転(バリマックス法など)は、因子間の独立性を保ちつつ、変数と因子の関係を明確にします。一方、斜交回転(プロマックス法など)は、因子間の相関を許容し、より現実に即した構造を反映します。選択される回転の種類は、解釈のしやすさと現実のデータ構造の複雑さのバランスを取るために重要です。これにより、因子分析の結果がより理解しやすく、実践的な意味を持つようになります。
因子の回転
因子の回転について解説する前に、因子分析の基礎から始めましょう。
因子分析は、多数の変数の背後にある少数の因子を特定する統計的手法です。
例えば、あるテストでの学生の成績が、複数の科目に渡って相関している場合、それらはいくつかの共通の能力(因子)に基づいていると考えることができます。
しかし、因子分析を実行した初期の結果は、直感的に解釈しにくいことが多いです。ここで、因子の回転が役立ちます。
因子の回転は、得られた因子構造をより解釈しやすく再構成するために、新しい座標系を設定するプロセスです。
このプロセスには主に2種類の回転があります:直交回転と斜交回転です。
直交回転
直交回転では、新しい座標軸が直交、つまり互いに90度の角度を保つように設定されます。
直交回転の目的は、因子間の独立性を維持しながら、変数と因子の関係をより明確にすることです。
直交回転の代表的な方法には以下のようなものがあります。
バリマックス法:変数の負荷を最大化することで、因子をより解釈しやすくします。
バイコーティマックス法:バリマックス法を複数のグループに適用し、群間の差異を考慮します。
コーティマックス法:因子負荷の分散を最大化し、一部の因子が特定の変数に強く関連する構造を作り出します。
斜交回転
斜交回転では、座標軸が直交しないため、因子間に相関が許されます。
これにより、現実世界の複雑な関係性をより正確に反映することができますが、解釈がやや複雑になる可能性があります。
斜交回転の方法には以下が含まれます。
コバリミン法:因子間の相関を考慮しながら、変数の負荷を最適化します。
バイコーティミン法:コバリミン法を複数のグループに適用し、群間の相関を考慮します。
コーティミン法:コバリミン法に似ていますが、特定の因子間の相関に重点を置きます。
プロマックス法:初めに直交回転を行い、その後に斜交化を適用して、解釈しやすさと因子間の相関のバランスをとります。
因子の回転は、因子分析結果の解釈を容易にするために非常に重要です。
直交回転は因子間の独立性を保ちたい場合に適しており、斜交回転は因子間に相関があることを認め、よりリアルな因子構造を反映させたい場合に有効です。
これらの技術を適切に選択し活用することで、データの背後にある構造を明らかにし、より深い洞察を得ることができます。
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