土地には値段があるのか|【社会経済統計学・統計解析】
土地には値段があるのか
土地には値段があるのか
土地には価格があってないようなもの、とよく言われます。ところが実際には土地には何種類もの価格があります。代表的なものは次の4つで、この順に低くなります。
@実勢価格:実際の土地取り引きで実現された価格。取り引きされた土地の量は全土地量に比べて極めて少ないうえ、申告された(あるいは新聞広告などに載せられている)価格と実際に支払われた価格は往々にして異なるため、実態はよくつかめていません。
A公示価格:国土庁の土地鑑定委員会が毎年4月1日に、自由で正常な土地取引の場合に成立する価格として発表するもの。周辺の取り引き事例を参考にして、市街地では概ね1km2に1箇所発表されます。実勢価格の7割程度といわれています。
B路線価:大蔵省(国税庁)が相続税・贈与税の課税算定の基準として設定しているもの。主要道路に面した土地の評価額で、毎年改訂されています。実勢価格の5割程度といわれています。
C固定資産税評価額:自治省(各地方公共団体)が、固定資産税算出の基準として設定しているもの。3年ごとに評価換えされますが、あくまでも課税の基準です。実勢価格の2割程度でしかありません。
土地は一物四価である、といわれるゆえんです。この他にも、公的なものとしては都道府県による「基準地価」、公共用地買収の際の土地評価や、私的なものとしては「鑑定評価価格」などがあり、混乱の原因になっています。統計資料によっては、同じ名前で何種類もの定義があるものがあり、地価はその代表です。
何を基準に議論するか、それを論じておくことは重要で、それが統計学の真の精神といえるでしょう。
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