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住宅と土地の統計学【統計学講義基礎】


住宅と土地の統計学【統計学講義基礎】

 

住宅と土地の保有状況に関する基本的な統計として5年周期で総務省が実施している「住宅・土地統計調査」は、全世帯数の10分の1に相当する約400万世帯を対象とする大規模な標本調査です。

 

この調査では、住宅および土地の所有に密接に関係することから、世帯の収入も合わせて把握しています。

 

詳細な地域区分も可能であり、さまざまな形で効果的に利用できる統計です。

 

歴史的には、政策目標であった居住水準の達成状況を計るためにも利用され、わが国の住宅政策に関する主要な資料でした。

 

現在では最低限の居住環境を越えて、高齢者に対応した住宅設備の状況を把握したり、中古住宅や賃貸住宅の現状を示す基礎資料として利用されています。

 

図は、各県の県民所得を横軸に、持ち家世帯率を縦軸にとった散布図です。

 

1998年では、最も比率の低いのは東京都の41.3%、最も高いのは富山県の80.4%です。

 

右下がりではありますが、1人あたり県民所得が217万円と低い沖縄の持ち家世帯率が56.1%と例外的に低くなっています。

 

県民所得は地域の経済力を表すもので、人口とも強い相関をもつので、一般に大都市圏で持ち家率が低いことを表しています。

 

その理由の一つは人口規模に応じた住宅需要が多いために住居費が相対的に高いこと、もう一つは比較的若い人が多いという人口の年齢構成を反映しているものです。

 

地方出身者には、都心では借家に居住しているが、地元に帰れば両親の持ち家を相続する予定の人も少なくありません。

 

そのことは、ここには掲げないですが、年齢別の持ち家率を見ると明らかになります。

 

持ち家の比率としては、ここに掲げた「持ち家世帯率=持ち家に居住する主世帯数÷普通世帯総数」という定義の他、「持ち家住宅率=持ち家数÷居住世帯のある住宅数」という定義もあります。

 

前者は国勢調査でも得られますが、後者は住宅・土地基本調査によってのみ得られます。

 

それは住宅・土地基本調査では住宅に住んでいる世帯が主世帯と同居世帯とに区分されるためです。

 

主世帯とは1住宅1世帯の場合の他、1住宅2世帯以上の場合の主な世帯を指し、普通世帯とは住居と生計を共にしている家族を指します。

 

居住環境を計る尺度としては一人当たり延べ面積を利用することができます。

 

各県の世帯人員数すなわち人口と延べ面積(単位m2)を比較した図によると、ここでも右下がりの傾向があります。

 

図と同じように、大都市圏ほど狭い家に住んでいることを示していますが、大勢の人が集中する地域では当然の結果です。

 

一方、住宅の質は世帯の収入と密接な関係があり、高所得者であれば大都市圏でも恵まれた住宅を所有していることも他の表からわかります。

 

持ち家率を収入と比較した表からも、この傾向が明らかに読み取れます。

 

大都市圏で低い土地所有の比率

 

1998年の住宅・土地基本調査結果によれば、現住居の土地を所有している世帯の割合は、全国で52.1%ですが、現住居敷地以外の土地を所有している世帯も18.5%存在します。

 

しかし、実際には両方を所有している世帯が多く、何らかのかたちで土地を所有している世帯は54.4%となっています。

 

土地の所有状況を地域別に見ることもできますが、基本的な傾向は住宅と同じで、大都市圏では土地所有の比率が低くなっています。

 

住宅の建てられている土地の所有に関しては住宅・土地基本調査で明らかにされる一方、居住地以外の土地に関する包括的な統計として、企業を対象として国土交通省が作成している「法人土地基本調査」があり、同様の目的で「世帯に係わる土地基本統計」も作成されています。

 

土地基本調査は、土地の所有・利用の状況に関する基礎資料を得ることを目的として1993年に開始されました。

 

比較的新しい大規模調査です。5年周期で実施され、1998年の第2回調査からは法人土地統計と世帯土地統計に分離して公表されています。

 

なお「世帯に係る土地基本統計」は独立した調査ではなく、住宅・土地統計調査の一部分として実施され、調査費用の軽減が図られている点に特徴があります。

 

 

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