正規分布のウソを見抜く|重さの平均値のずれ【統計学・統計解析講義基礎】
パンの重さを繰り返し測定し平均値を求め度数分布(または確率分布)を求めると、毎回ずれる場合正規分布のウソを見抜くことができる
重さの平均値のずれ
フランスの数学者ポアンカレ(1854-1912)は、近所のパン屋さんが売っている1個100グラムのパンに疑問を持ちました。
本当は100グラムよりも、もっと軽いのではないか。つまり「不当表示ではないか」というわけです。彼は、それをどうやって見抜いたのでしょうか。
@ある日のパンを全部買い取って、パンの重さの平均値を求めた。
A毎日買うパンの重さの度数分布(または確率分布)を求めた。
B毎日買うパンの重さを記録し、ひと月後にパンの重さの平均値を求めた。
たくさんの物を製造する場合、どの製品もピッタリと同じ重さ、同じサイズで作ることは無理があります。
実際には、基準よりも大きかったり、小さかったりとまちまちになります。
したがって、個々のものが規格値と違うからといって、直ちにおかしいとは言えません。
正規分布のウソを見抜く
しかし、ドイツの数学者ガウス(1777-1855)は、製品の重さやサイズなどは左右対称な山型の分布、すなわち正規分布にしたがうことを突き止めていました。
このことを知っていたポアンカレは、問題のパンを買うたびに重さを測り、グラフにしてみました。
すると、平均値が95グラムの正規分布となり、あきらかにパン屋さんが嘘つきであることがわかりました。
このことを。パン屋さんに指摘したら、「今後気をつけます」とのこと。
しかし、ポアンカレはその後もパンの重さを測ってグラフにしました。
今度も左右対称な正規分布とはとても言えませんでした。
そこで文句をつけたところ、「参ったなあ、ポアンカレさんには大きめのパンを渡していたんですよ」と白状しました。
これでは、正規分布になるはずはありませんね。