臨床試験データの処理|【医療統計学・統計解析】
臨床試験データの処理
症例報告書から臨床試験データがコンピュータに入力され準備ができたとしてもそれだけで集計・解析が可能になるわけではない.
まず,臨床試験データの一部ではあるものの,一般的には症例報告書に記載されていないというデータが存在する.
この代表的なものが,症例の有効性・安全性の採否といった集計・解析上の取り扱いに関する情報,そして盲験(ブラインド)試験における投与薬剤に関する情報である.
基本的な症例の集計・解析上の取り扱いに関する規則はプロトコルに予め記載されるようになっているものの,極めて例外的で個別に検討しなければならないような事例が起こることは珍しいことではない.
このため,多くの場合,症例の集計・解析上の取り扱いは臨床試験が完了し,集計・解析が実施される前に最終的に確定する.
これらの情報は,症例検討が行われた時点でまとめてコンピュータに入力されることになる.
また,盲験試験においては,投与薬剤は開鍵(キー・ブレーク/キー・オープン)時に初めて1組1番の症例は薬剤A,1組2番の症例は薬剤Bというように明らかにされる.
つまり,この情報は開鍵の時点でまとめてコンピュータに入力されることになる.
このような関連データが入力された後,必要に応じてそのほかの臨床試験データと結合させて利用される.
このほかにも,投与開始日と投与終了日から投与日数を自動的に計算させたりするようなことも多い.
このような計算処理はデータ入力時に同時に行う場合もあるが,臨床試験データベース中にデータとして追加する場合と,追加せずに症例一覧表の作成プログラムや集計・解析のプログラム中でそれぞれ計算を行う場合がある.
答申GCPではデータの処理について「8-1-11-2治験依頼者は,処理中にデータの変換を行う場合には,処理前のデータと処理後のデータを常に対比し得ることを保証しなければならない」という記載がされている.
品質保証の観点からも当然要求される事項であり,確実にデータ処理が行われていることを示さなければならない.
このことを踏まえて考えると,先に述べた計算結果データについては臨床試験データベース中にデータとして追加した方が明確に処理前と処理後のデータを示すことができる上,一度だけ検証すればよいため,品質保証の点からは望ましいと言うことができる.
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