医学論文の種類|【医療統計学・統計解析】
医学論文の種類
原著
「原著」(original article)というのは通常の論文であり,自分自身の研究成果をまとめたもののことをいう.
オリジナル論文ともよばれる一次資料である.
新奇性,オリジナリティ(独創性)があり,科学的に価値のある知見があることが条件となる.
さらに,原著は適切な研究デザインに基づいていて,客観的に結米が解析されていることに加えて,論理的な文章で記載されていなければならない.
原著論文は、臨床研究と基礎研究に分類される。
臨床研究とは,実際の患者を対象とした研究である.
基礎研究とは,動物実験や遺伝子,培養細胞などを用いて基礎医学的なメカニズムの解明を行う研究である.
大学院における「修士論文」や「博士論文」は,しばしば原著論文の形式で執筆される.
症例報告
「症例報告」(事例報告:case report)というのは,従来報告されていない,もしくは先行報告例数が乏しく珍しい症例の病態所見や臨床経過などをまとめたもののことをいう.
症例数は少数であり,1例であることも珍しくない.
初心者が論文を書く場合,症例報告や短報から取り組むと,挫折することなく投稿の段階で到達しやすい.
総説(review)
「総説」(review)というのは,内外における多数の文献(一次資料)を参照として,特定の研究テーマに関する従来の知見を系統的に整理して,歴史的展望と現在の動向を紹介するもので,二次資料に含まれる.
将来の展望について言及することもある.
その研究課題の領域におけるオピニオンリーダー,すなわち第一人者レベルの研究者が学会の編集委U会から依頼を受けて執筆することが多い.
したがって,通常,査読はない.
総説を著すには,相当に高い学識を持っていることが必須条件となる.
読み手にとっては,総説はその研究に関する内容を簡便に知ることができるため,便利な論文である.
短報
「短報」(short communication, brief report, brief note, short note)というのは,原著をコンパクトにまとめたものである.
データ数も原著と比較して少ない傾向にある。
研究成果を早く世に公表してプライオリティー(先取権)を獲得したいという理由から,こうした簡潔で速報性に優れた短報の形式を用いることもある.
「一次資料」と「二次資料」
必要な資料や情報をより早く的確に検索あるいは利用できるように加工・要約・編集したものを「二次資料」という.
従来は文献目録や蔵書目録などを指していたが,今日では二次資料の多くが電子化されるようになり,インターネットで提供されているデータベースが二次資料の中心として用いられている.
これに対して,「一次資料」とは二次資料によって検索される資料であり,それ自身で完結したオリジナルな情報を収録している資料のことをいう.
医学系の論文の場合,原著論文は一次資料の典型例に該当する.
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