パス解析の仮定を破ることの影響|【多変量解析・統計学・統計解析】
パス解析の仮定を破ることの影響
重回帰分析の仮定を破ることによる影響として、重回帰分析において変数を測定するときの失敗は,まずい結果を引き起こす。
標準化回帰係数がまちがって推定されるからだ。
Baron (1986)はこの問題についての議論をより広い因果モデルの文脈に拡張した。
とくに,媒介するものとして測定誤差の影響について詳細に論じている。
簡単に言うと,媒介変数の効果は過小推定を引き起こし,独立変数からの直接的パスの効果が過剰推定されてしまう(すべての係数が正のときには)というものだ。
これが意味するのは,たとえば,病状の再発モデルにおいて,併発した症状が多くの誤差とともに測定されているから,モデルB における胃腸の症状の再発に対する神経症の直接効果が膨張していると考えなければならないということだ。
Asher (1983)はパス解析の文脈においても測定誤差の問題があることを論じている。
彼は(簡単ではない)テクニックを使って,その帰結を査定する方法を提示している。
共分散構造分析のプログラムを使ってパス解析を実行する利点の1つは,変数が誤差なしで測定されているかどうかという仮定をおく必要がないということだ。
パスモデル全体としての定式化の失敗は,不正確な結果を招くことになる。
さらに,パス解析から結果が十分であったとしても,それが正しいことを証明することはできない。
なぜなら,モデルはうまく適合し,多くの分散を説明し,有意な推定値であったとしても,全体としてまちがっているということもあるからである。
理にかなった説明は,定式化の誤りに対する最善の防衛になる。
こうした違反をすることによる仮定や帰結を考えることは,憂うつなことではある(私がかつて見たモデルとデータで,パス解析の仮説について向き合ったかどうか考えたくはない)。
しかし,これは仮説を無視してもいいということを意味するものではない。
仮説に合っているかどうかを考えることは時々役に立つ。
かなりの自信を見いだすことのできる分析もあるし,価値のある分析もある(それらの変数は,完全に測定されてはいないかもしれないが,うまく測定されているということはないか? モデルにおいて,変数が丁寧に含まれたり除外されたりしていれば,十分に正しい,注目に値するモデルへと近づくのではないか?ということなど)。
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