データ固定【医療統計解析】

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データ固定|【医療統計学・統計解析】

データ固定【医療統計解析】


目次  データ固定【医療統計解析】

 

 

データ固定

 

臨床試験データの集計・解析に先立って行われるべきことの一つにデータ固定と呼ばれるステップがある.

 

個々の症例報告書が完全にクリーニングされ問題点や疑問点が解決され,これ以上の症例報告書の変更が行われないという段階を「症例固定」と呼ぶ.

 

この症例固定は,症例ごとに行われる.

 

そして,全ての症例について症例固定が行われ,臨床試験データベースの内容との整合性確認も完了し,これ以上のコンピュータ上の臨床試験データの変更が行われないという段階を「データ固定」と呼ぶ.

 

データ固定も症例固定に対応して症例ごとに行うことも可能であるが,最後の症例に対して全ての作業が行われ,臨床試験データベース全体に対して一切の変更が行われない段階のことを示すことの方が一般的であると思われる.

 

データ固定は,単に書類などで記録を残すというだけでは不十分であり,臨床試験データ管理システムの一つの機能として保持すべき機能である.

 

臨床試験データ管理システムでリレーショナルデータベースを利用している場合には,データの入力および修正に関するアクセス権限を削除するという方法によって実現することができる.

 

あるいは,物理的にその時点のコンピュータデータを別の場所に移動させるなどの手段によって実現することもできる.

 

すなわち,ある時点の臨床試験データの静的なコピー(スナップショット)を作成することである.

 

障害時への対応ということも考えれば,磁気テープやCD-R (Compact Disk-Recordable)などにバックアップファイルとして保管することも必ず行うようにしておく方がよいだろう.

 

そして,データ固定が行われたことを関係者に連絡する.

 

基本的に,データ固定が行われた後は一切のデータ修正は許されないはずであるが不幸にして臨床試験データに誤りが発見された場合には,適切な文書記録を残した上でデータ固定の解除やデータ修正を行う手順を,予め決めておく必要がある.

 

この段階での修正履歴は,データ固定前と明確に区別できるように管理されていなければならない.

 

 

ただし,臨床試験データの内容によっては闇雲にデータ修正を行うのではなく,集計・解析における影響などを慎重に検討の上,臨床試験データにこのような誤りがあり集計・解析にはこのような影響があるという事実を明確に提示できるようにしておけば,実際の症例報告書の記載やコンピュータデータの修正を行わなくてよいという考え方もある.

 

データ固定が行われた段階で症例一覧表,有害事象一覧表などを作成しておくべきであり磁気テープやCD-Rなどに保存された臨床試験データとともに保管しておくとよい.

 

なお,FDAでは症例報告表(CRT; Case Report Tabulations)の作成が求められているが,症例報告表は症例一覧表というよりも読みあわせリストの方がイメージ的には近い.

 

これらの症例一覧表や有害事象一覧表を作成する際のツールにとくに制約はなく,ワードプロセッサーや表計算ソフトウェアなどを適宜使用することに問題はないが,全て手作業で作成するのではなく,既にコンピュータ上に用意された臨床試験データからコンピュータプログラムなどの手順を確認できる方法で作成するようにすべきである.

 

たとえば,ワードプロセッサーで作成しており,一部のデータが変更になっても変更の履歴を確認し,最終段階で読み合わせなどの手段により品質保証を行うという方法もある.

 

しかしながら,コンピュータプログラムなどを用いて作成する方が,再度,資料の作成が必要になった場合などにおける労力削減や履歴管理および手順の確認といった品質保証にも効率的に対処することができる.

 

 

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