統計行政と行政改革|【社会経済統計学・統計解析】
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統計行政と行政改革
統計行政と行政改革
統計調査の結果得られる統計データは、経済現象の把握や分析に必要不可欠であり、経済計画も含む各種行政施策の企画・立案の基礎となる。
したがって、統計法を基本とする統計行政は行政全体の根幹をなすということもできる。
統計行政の目的は、
@統計が国民にとって必要な情報としても重要であることから、必要な統計を整備し、利用しやすい形で提供すること
A統計調査の実施に当たっては、報告者の負担の軽減を推進するとともに、簡素・効率的な実施を図ること
B総合調整機能の的確な発揮により、真に必要な統計の整備を図ること
C統計の中立性、個別情報の秘匿性の確保等に配慮すること
である。
そして上述したように、現在日本では、国レベルでは行政課題別の分散型(すなわち府省別)、地方レベルでは機能別集中型(すなわち、国の法定受託事務として各府省の行う統計調査を地方が実施)という統計機構が採られている。
このような統計制度と報告者の協力によって、日本の統計はその多様さと精度に関して世界でもトップクラスにある。
しかし、統計行政といえども行政の一環であり、近年の行政改革の対象になっている。
総務庁統計局(現在の総務省統計局)は、1984年に総務庁の新設時にそれまでの統計の総合調整を行っていた行政管理庁統計基準主幹(局に相当)が統計基準部に編成替えされ、調査実施機関であった総理府統計局調査部と合わさってできたものである。
また人的にも定数削減によって、この間に統計職員の数は縮小している。
さらに予算的にも、統計予算は頭打ち状態にあり、その伸びは一般会計予算のそれと比較しても低い。
なお、統計予算には、西暦で0と5の付く年に特別枠として国勢調査費が計上されるため、5年ごとに波を描くという特徴をもつ。
このような、いわば危機的な状況に対応して、統計審議会は1985年と1995年に統計行政の在り方に関する中長期的な構想を審議し、総務庁長官に答申した。
これらは、それぞれ統計行政の中・長期構想、統計行政の新中・長期構想と呼ばれている。
1985年の統計行政の中・長期構想の審議を回顧して、当時の統計審議会会長の森口繁一氏は、次のように述べている。
1985年にまとめられた「統計行政の中・長期構想」は一つの危機感の産物と見ることができよう。行政改革の流れの中で統計主幹の部局が統計局に吸収されることになり、その新体制のもとで、果たして分散型の統計調査の総合調整がうまく機能するだろうかという心配が出てきたのである。統計局自身も総務庁所属となり、自ら基幹となる統計調査を実施するとともに、官庁統計全体の総合調整にあたるという建前になったし、運営上にもさまざまの工夫をこらして、総合調整の活動はあまり変わらない姿で実施できるようにしたのであるが、それだけでは安心できないという気持ちが関係者の間に強かった。
そして、当時の行政管理庁長官に提出された「今後の統計行政の進め方について」の中で、PDCAの円を用いて、中・長期構想の考え方を表している。
この答申の中で、統計調査の在り方という点では、以下の3つが重要である。
@統計調査実施後の公表までの時間の短縮
A公表する内容を調査結果の集計表に限定せず、調査の制度も含めて詳細に定義したこと
B磁気テープによる結果の公表
これらが情報化の影響を強く受けていることは明らかであろう。
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