情報通信技術と統計行政【社会経済統計解析】

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情報通信技術と統計行政|【社会経済統計学・統計解析】

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目次  情報通信技術と統計行政【社会経済統計解析】

 

情報通信技術と統計行政

 

情報通信技術と統計行政

 

統計調査のデータ収集過程等においてオンライン化が推進している。

 

国民の価値観や生活様式の多様化、プライバシー意識の高まり等により、調査環境は年々厳しさが増している。

 

このような状況の中で、情報通信分野における技術革新の成果を統計データの収集過程等に活用していくことは、報告者の負担を軽減し、調査を効率的に実施していく上でも極めて重要となっている。

 

オンライン調査については、その必要性が「新中・長期構想」においても提言されており、すでに各府省において23調査が実施された。

 

しかし、現在、各府省が実施または計画されているオンライン調査は、事業所や企業を対象とするものである。

 

今後は、諸外国の人口センサスにおけるオンライン調査の実施の例を参考にしながら、世帯を対象とする調査についてもオンライン調査の導入を図ることが求められよう。

 

そのためには、オンライン調査における基本的な事項である認証方式の在り方の検討やセキュリティ対策に関する技術的な検討が早急に必要となろう。

 

 

第二は、情報通信技術を活用した統計情報の高度利用や提供の高度化である。

 

社会・経済の進展に伴う統計ニーズの増大や多様化等による新たな統計需要に対応し、国民の共有財産としての統計データをより有益に活用するため、統計調査によって収集された情報をより高度に分析・加工し、これを提供していくことが求められている。

 

具体的に統計情報の高度利用では、地域に関するデータについて地理情報システム(GIS)を介した提供が示されている。

 

これを受けて総務省では、2004年1月から同省が実施している国勢調査および事業所・企業統計調査の小地域統計データと境界データを結び付け、背景地図と重ね合わせて、グラフ表示や集計機能等も利用できる「統計GISプラザ」の提供を開始しており、今後はその他の府省においても地域に関するデータのGISによる提供が図られるものとみられる。

 

また、政府統計データのインターネットによる提供では、政府統計データの総合窓口としてポータルサイトの構築が示されている。

 

国民、企業に対する政府統計データの提供については、通常、各府省の統計サイトを通じて行われている。

 

しかし、政府の統計データを横断的に見ることができるサイトが存在しないため、その利便性は必ずしも十分でない状況にある。

 

また、経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002において、総務省が中心となって、政府が保有する統計情報をインターネット上で高度に利活用できる仕組みを構築するとされており、政府の統計データをより利便性高く提供する仕組みを構築する必要がある。

 

これらを受けて総務省では各府省と連携し、各府省共同のサイトとして、統計データ・ポータルサイトを構築し、2004年1月から運用を開始している。

 

第三は、匿名標本データの作成・利用と統計データ・アーカイブ機能の検討である。

 

匿名標本データとは、個票データから必要に応じて抽出を行い、地域区分や世帯番号等の個体の識別子を消去するなど個体の識別を不可能にしたものであり、また統計データ・アーカイブとは統計調査の個票データまたは匿名標本データを整理・保管し、二次的な利用のためのデータ提供の機能を有するものである。

 

匿名標本データの提供については、個体の秘密保護の担保方策を中心に、外国の制度および提供例、国内外におけるニーズの実態、現行法制度との関係、具体的な提供方策等について、おおむね2−3年を目途に専門的、技術的な研究を行う必要があると提言されている。

 

その後、関係府省が参加して専門的、技術的な研究が行われ、一部の匿名標本データについて実用性が見込まれることが保証されたが、具体的な実用化には至らなかった。

 

そこで、新たな展開方向として、秘密の保護を前提に、匿名標本データに対する社会的コンセンサスの必要性、法令上の諸問題等に関するこれまでの検討結果を吟味した上で、実用化に向けて検討することがうたわれており、現在その検討が進んでいる。

 

統計データ・アーカイブについては、多くの欧米諸国で設立されており、我が国においても民間機関が実施する統計調査を対象とした大学研究機関での設立の例があるものの、各府省が実施する指定統計調査の個票データを対象としたものは設立されていない。

 

現在、各府省が実施する指定統計調査の集計後の個票データ等を統一的な考え方のもとに整理・保管して、これを二次的集計に活かせるような統計データ・アーカイブ機能の検討が望まれている。

 

そこで、新たな展開方向では、統計データに関するアーカイブの必要性等も含めて、その設置の在り方について検討することとしており、匿名標本データの実用化の検討とともに注目される課題である。

 

 

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