国勢調査の概要と静態人口【社会経済統計解析】

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国勢調査の概要と静態人口|【社会経済統計学・統計解析】

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目次  国勢調査の概要と静態人口【社会経済統計解析】

 

国勢調査の概要と静態人口

 

国勢調査の概要と静態人口

 

経済変量には、ストック(ある時点の存在量)とフロー(一定期間の変動量)という概念がある。

 

これを人口の概念に適用すると、たとえば、2000年1月1日現在の日本の人口は1億3000万人、及び、2000年1月1日から2000年12月31日の1年間に22万人の自然増加があった、ということになる。

 

前者は人口のストックであり、その時点での人口規模(存在量)を示す。

 

これを静態人口という。

 

後者は人口のフローで動態人口といわれる。

 

人口の動態現象には自然増減(出生―死亡)と社会増減(転入―転出)とがある。

 

静態人口を示す代表的な統計が国勢調査であり、日本の調査統計の根幹をなす。

 

しかし、国勢調査は5年ごとの調査であるから、その中間年(たとえば2003年)の静態人口を求めるためには推計が必要となる。

 

それには、国勢調査の結果に毎年の動態人口を加えればよい。

 

こうして求められた静態人口のことを推計人口という。

 

これらは人口統計の基本概念であるが、その前に基礎として国勢調査の役割と特徴について解説する。

 

国勢調査は、国内の人口、世帯、産業構造等の実態を明らかにし、国や地方公共団体における各種行政施策の基礎資料を得ることを目的として、5年ごとに実施する国の最も基本的な統計調査で、我が国にふだん住んでいる人すべてが調査の対象となっている。

 

国勢調査は、別名人口センサスともいわれる。

 

それは、各種行政施策、選挙区などに関する基礎資料を得るためには、まず人口・世帯の実態把握が最も重要と考えられるからである。

 

当然ながら、国勢調査は全数調査である。

 

こうした目的は各国でも同じであり、国連も定期的に人口センサスを行うように勧告している。

 

日本の第一回調査は1920年であり、これは主要先進国の中では遅い方である。

 

アメリカは1790年に、イギリス、フランス、ドイツ、カナダは19世紀に開始している。

 

それだけ人口・世帯の把握が重要であったことを示している。

 

 

調査周期は5年の国と10年の国に分かれる。

 

調査項目の数に関しては、日本の場合、大規模調査(西暦の末尾ゼロの年)と簡易検査(西暦の末尾5の年)によって項目数が異なる。

 

2000年調査は22項目、1995年調査は17項目である。

 

調査項目数は記入者の負担とも関係するため、工夫を凝らしている国もある。

 

アメリカ、カナダ、韓国では全数調査では項目数を少なくし、その中から抽出調査を行って、抽出された対象には調査項目を追加する形をとっている。

 

人口・世帯の分析上必要な調査項目があっても、全数に詳しい調査項目を課すと、記入負担などから調査拒否やバイアスが発生し、調査そのものに影響を与えかねない。

 

したがって抽出を併用して、二つの要求(分析上の要請と負担軽減)に対処しているのである。

 

統計で最も重要な点は調査項目の内容である。

 

2000年調査は大規模調査であり、2005年調査は簡易調査であったため、「在学、卒業等教育の状況」「利用交通手段」「家計収入の種類」など、大規模調査での調査項目がなくなっている。

 

また、大規模調査の項目を時系列的に見ても、すべてが同一というわけではない。

 

統計は接続性という保守的な面と、その時々の要請に答えるという進取の側面をもつ。

 

国勢調査もこうしたバランスの上に立っている。

 

大規模調査の例としては、1970年まで調査されていた「結婚年数」「出生児数」が1980年以後でなくなり、「利用交通手段」は1970年以後の調査項目である。

 

2000年調査では1960年まであった「就業時間」が復活している。

 

また、内容も微妙に変化している。

 

その一例が「出生年月日」であって、1960年までは、「出生年月日」、1965年以後は「出生年月」となっている。

 

さらに、調査事項の内容は、いくつかの回答しにくい項目(当然のことながら、統計ではプライバシーは保護されている)があること、集計上の理由(日本ではマークシート)などによって、変化している。

 

ただし、国勢調査の一つの特性は、国民(少なくとも世帯)全員が記入経験をもつ点である。したがって調査項目記入の負担は、分析者も判断可能である。

 

調査項目の内容の変化は長短両面をもつ。

 

その削減はそれだけ利用価値を低めることになる。

 

一般に、統計利用にあたっては、用語の説明など、調査概要から読むことを勧めたい。

 

用語を勝手に解釈して利用すると、誤解を生ずる危険がある。

 

なお、戦前と戦後の調査は異なるため、ここでは1950年以後の調査を念頭におく。

 

個人事項では、第一に氏名から国籍までの項目は、人口の基本的属性であるので、毎回調査されている。

 

これより国勢調査は人口統計であることがわかる。

 

第二に、就業状態、産業(所属の事業所の名称および事業の種類)、職業(本人の仕事の種類)も毎回の調査項目であり、労働統計の性格を合わせもつ。

 

第三は、従業地・通学地であり、これは1960年以後毎回調査されている(1955年には事業所の所在地がある)。

 

これは前述の大規模調査念の項目(利用交通手段など)及び労働面の調査項目と合わせると有効な情報である。

 

さらに毎回調査されているから、地域間の移動(昼間人口と夜間人口との差など)も把握可能となる。

 

次に、世帯・住居事項については「家計収入の種類」は10年ごと、「住宅の床面積」は1985年以前は「居住室の畳数」となっていること、「居住室数」が2000年には調査されなかったこと、「住宅の建て方」が1980年以後は毎回調査されているという点を除いて、他は毎回調査項目に入っている。

 

また、世帯人員も毎回調査されている。

 

国勢調査の各種調査事項を組み合わせると、有益な分析が可能となる。

 

それとともに推計人口のチェック、さらに労働、家計、住宅関係の標本調査の母集団としても重要である。

 

これが、その調査目的の中で、国勢調査は「最も基本的な統計調査」であるとうたわれているゆえんである。

 

 

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