官庁統計【社会経済統計解析】

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官庁統計|【社会経済統計学・統計解析】

官庁統計【社会経済統計解析】
政府の統計機関が作成する統計は「官庁統計」と呼ばれる。国際基準としてSNA(System of National Accounts)があり、これは国民の生活状況や経済活動を正確に測定し、政策に活用するためのものだ。統計法は正確性を要求し、報告義務と調査権限を明示している。さらに、指定統計として国勢調査や事業所・企業統計が定められており、調査に協力しない場合には罰則が科される。また、統計の秘密を守ることも重視されている。統計法では、統計調査の結果は税務当局には開示されず、個々の情報は他の機関に提供されない。これにより、官庁統計は民間統計と異なる性格を持つ。最近では、負担を軽減するために報告負担の工夫が行われており、類似の調査を排除したり、異なる調査の周期を調整するなどの対策がとられている。また、官庁統計の客観性と独立性も重視され、政策からの中立性を保つための仕組みが整備されている。


目次  官庁統計【社会経済統計解析】

 

官庁統計

 

政府の統計機関が作成する統計を「官庁統計」と呼びます。

 

英語の表現ではofficial statistics、つまり公的機関の作成した公式統計と理解できます。

 

国際比較などのため、産業分類や商品分類などにさまざまな国際基準が設けられており、SNA(System of National Accounts)もその一つの例です。

 

官庁統計は、国民の生活状況や経済活動水準を正確に測定することを通じて、さまざまな行政政策に活用されます。

 

高い正確性が要求されることから、わが国を含む多くの国で、統計法(Statistics Act)とよばれる法律が制定されています。

 

その基本的な主旨は、正確な調査を実現するための報告義務と調査権限の明示です。

 

わが国の統計法では、とくに重要な統計調査として指定統計を定めています。

 

指定統計の第一号は国勢調査、第二号は事業所・企業統計で、いずれも1947年に制定されています。

 

現時点で最も新しいものは1998年に指定された法人土地基本統計(121号)です。現在でも57種の指定統計が継続的に調査されています。

 

主要な官庁統計に対する調査協力は国民の義務とされ、とくに重要な指定統計に関しては罰則規定があります。

 

具体的には、正当な理由がない非協力や虚偽の申告に対して、「六箇月以下の懲役」および罰金刑が規定されています。

 

諸外国では、とくに企業等の調査非協力に対して厳しく臨んでおり、イギリスでは毎年数十社が統計法違反で訴えられています。

 

ただし、わが国では国民の理解を得ることに重点が置かれ、これまでは罰則の適用事例は限られたものとなっていました。

 

一方で、統計調査の秘密を守る点でも厳格であり、わが国の統計法では、指定統計調査に従事する者が職務執行に関して知りえた事項を他に漏らしたときは、一年以上の懲役を含む罰則が定められています。

 

統計法では、調査結果は統計を作成する目的以外には利用してはならないと規定してあり、たとえば、調査結果から納税額が不足していることや、犯罪に関連していることが疑われたとしても、個々の世帯や企業の情報を税務署や警察が利用することはできません。

 

このように報告者と調査者の双方に申告と守秘義務を課している点で、官庁統計は各種民間統計調査とは性格が異なります。

 

最近は個人のプライバシー意識の高まりや、アンケート調査に回答した内容がダイレクトメールなどに利用されるという不安が原因となって、民間統計に対する調査拒否の割合が高まっています。

 

しかし、上述のように、官庁統計と民間のアンケート調査とはまったく異なった性質のものであることを理解する必要があります。

 

官庁統計に対する回答は義務であるとはいえ、調査に協力する企業などの報告負担は必ずしも軽いものではありません。

 

大規模な製造業事業所を持つ企業では、工場における生産額や原材料消費額に関する毎月の調査など、多い月には100件を超える統計調査の対象となります。

 

正確な回答を得て、調査の正確性を維持するためにも、できる限り調査報告の負担を軽減する必要があります。

 

そのための工夫として、業務報告などの行政資料がある場合には、それらを統計調査に代えるという方法があります。

 

海外の事例では事業所の税務記録から売り上げなどを転記しています。

 

統計法によって、統計調査の結果は税務当局には開示されないという点と対照的です。

 

その他の工夫として、類似の調査を排除する、異なる調査の周期を調整して同時期に多数の調査が実施されないようにする、などがあげられます。

 

最近の事例としては、財務省、経済産業省、内閣府のそれぞれで調査項目が類似していた統計を統合して、新たに「財務省景気予測調査」が作成されました。

 

このように、とくに事業所や企業など、調査の客体に多大な負担をかけないような配慮がなされている点も、官庁統計の基本的な特色です。

 

統計の客観性と独立性

 

官庁統計を作成する組織は国によって差があります。

 

イギリスやカナダなどのように単一の国家統計局を持つ集中型の国と、アメリカや日本のように複数の政府機関が統計調査を担当する分散型の国に分けられます。

 

いずれにしても、行政機関の一部で作成される統計が政策に利用されるため、その客観性と政治からの独立性は重要な課題です。

 

国家統計局の場合は、政策立案には直接携わらない組織であることから、政策からの中立性は比較的理解しやすいですが、わが国の場合でもさまざまな制度によって中立性が保たれています。

 

そのひとつの例が、主要な指数に関して、基準時点の変更に伴ってウェイトが変化すると、新旧指数には差が生じます。

 

政治的に都合のいい数値を公表することを防ぐため、基準時点は5年周期とあらかじめ定めたものとなっています。

 

同じような理由から、採用する手法によって異なる結果を与える季節調整の方法に関しても、「適用の指針」が統計審議会において定められています。

 

それによると、統計作成器官は適切と判断する季節調整法を適用することができますが、その方法を変更するにあたっては、判断の根拠となる情報を統計の利用者である国民に対して開示することが求められています。

 

 

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