統計学における変動の比較|【実験計画法の統計学・統計解析】
因子の水準を変えることで特性値に影響があるかどうかを判断するには、因子間変動を誤差変動と比較します。つまり、分離した級間のバラツキを級内のバラツキに対して検定します。通常、不偏分散を求めてF検定を行い、SAとSEの比較をします。SAは各水準の平均値の変動であり、水準の変化がなくても平均値が一致しない可能性があるため、VAを分子にするのが適切です。自由度の関係から、SAの自由度は水準の数から1を引き、SEの自由度は各水準のサンプル数から1を引いた値になります。結果として、有意水準1%で級間の不偏分散が級内の不偏分散よりも大きいことが判定されます。
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統計学における変動の比較
因子の水準を変えたことによって、特性値に影響があったか否かを判定するには、誤差変動に対して因子間変動の大きさを比較します。
すなわち、分離した級間のバラツキを級内のバラツキに対して検定すればよいことになります。
一般に、2つの変動を比較するには、それぞれの不偏分散を求めて分散比によるF検定を行うのが通例です。
そこで、この場合にも、2つの変動SA, SEに対してそれぞれの自由度を求め、不偏分散を計算してF検定を行えば、両者の比較を行うことができます。
ここで、式からも明らかなようにSAは各水準の平均値の変動です。
いま、因子の水準を変えたことによる効果が全くないとしても、各水準の平均値は必ずしも一致しませんん。
これは、各水準の平均値が誤差の影響を受けているからです。
平均値自体、分散自体が誤差の成分を含んでいると考えます。
そこで、F検定を行う場合、因子効果と誤差の影響を含むVAと誤差の影響のみを表すVEとを比較するのであれば、直感的にVAを分子にする方がよいと考えられます。
さて、先ず総変動Sの自由度は、全体のデータ数Nから1を引いて、
級間変動SAの自由度は、変化させる水準の数kから1を引いて、
級内変動SEの自由度は、各水準ごとにn-1の自由度があるから、
となります。
ここで、各自由度の間には、
の関係が成立します。
不偏分散は、
したがって、
有意水準をα=0.01とすれば、
となります。
つまり、有意水準1%で、級間の不偏分散は級内の不偏分散に対して明らかに大きいと判定することができます。
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