自然実験とパス解析で探る因果関係と健康リスク【ChatGPT統計解析】
自然実験の例として、Keaneら(1996)は火災の生存者に関する研究を行い、高度の苦痛の原因が火災後14週間の体験に起因し、負傷していない犠牲者にも影響を及ぼすと指摘しました。また、パス解析を用いることで、因果関係の理論を非実験データに基づいて検証する研究が増えています。例えば、Horsburghら(2000)は、腎臓移植待機者のセルフケアを予測するモデルを検証しました。一方、記述研究は自然に生じる状況を観察・記述するものであり、Morinら(2002)は産褥期のアフリカ系アメリカ人女性のボディイメージを研究しました。さらに、疫学における罹患率研究と発生率研究では、特定の疾患や行動のリスクに関心を持つ集団内での割合を測定し、相対危険を用いて異なる集団間のリスク比較も行います。
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自然実験の例
キーン,ジェフソン,ピケット,ロビンソン,マッコール〔Keane, Jepson, Pickett, Robinson, & McCorkle,1996〕は,火事の生存者の体験を研究し,高レベルの苦痛の原因が火事後14週間の体験にあり,それは,身体的に負傷していない犠牲者についてさえもであるとした.
火事の前に苦痛は測定されていないが,大部分のストレスの原因が「介入」(火事)であることは納得できる.
パス解析研究
非実験データに基づいた因果関係の理論を検証しようというときに,パス解析(path analysis) (または類似の技術)として知られている技術をもちいる研究者が増えている.
洗練された統計学的手法をもちいて,研究者は,一連の独立変数,仲介変数,そして従属変数のあいだの因果連鎖についての仮説を検証する.
研究者は,因果の推論の根拠を示すための基礎をなしているモデルに,非実験データが十分に適合するかどうかを検証できるようになる.
パス解析研究の例
ホースバー,ビーンズランド,ロツキングーキュソリート,ホウ,ワトソン〔Horsburgh, Beansland, Locking-Cusolito, Howe, & Watson, 2000〕は,パス解析を使って,オンタリオで腎臓移植待機中の成人において,セルフケアを予測するモデルを検証した,
解析によって,パーソナリティ特性,健康状態,セルフケア能力,およびセルフケア行動のあいだの因果パスについての仮説を検証した.
記述研究
非実験研究の第2の大分類は,記述研究(descriptive research)である.
記述研究の目的は,状況が自然に生じるままに,その状況の側面について観察し,記述し,文書化することであり,また,仮説を立てたり理論を開発するための出発点となる.
記述相関研究
研究者は,行動,状態,そして状況の原因を理解することに焦点をあてることが多いが,因果パスがわからないままに,関係性を記述することしかできない場合もある.
研究問題の多くは,非因果的な観点でとりあげられる.
たとえば,女性より男性のほうが新生児と絆を築きにくいかどうかを問うが,性染色体の特定の配列が親のアタッチメントにおける差の原因かどうかは問わない.
たとえば,喫煙と肺がんの調査研究のような,他のタイプの相関研究とは異なり,記述相関研究(descriptive correlational research)の目的は,因果関係の推論よりも,変数間の関係を記述することである.
記述相関研究は,通常は横断的である.
記述相関研究の例
モーリン,ブローガン,フラヴィン〔Morin, Brogan,& Flavin, 2002〕は,産褥期にあるアフリカ系アメリカ人女性のボディイメージの認識と,(肥満度指数BMIに基づく)彼女らの体重との関係を記述した.どの肥満度カテゴリーに入るかにかかわらず,通常,女性は今までより太ったと考えていた,
変量記述研究
記述研究は,関係性を研究するよりも,行動または状況の発生頻度を記述しようとする場合がある.
たとえば,調査研究者が,10代の妊婦のヘルスケアと食習慣を記述したいとしよう.
1変量記述研究(univariate descriptive study)は,必ずしも1つの変数だけに焦点をあてる必要はない.
たとえば,研究者が,閉経期の女性の体験に関心があるとしよう.
その研究では,さまざまな症状の頻度,閉経の平均年齢,女性が診療を求める割合や,症状を軽減するために女性が薬物をもちいる割合などを記述できるだろう.
この研究には多くの変数があるが,主な目的は,各変数の状態を記述することであって,変数を相互に関係づけることではない.
疫学分野の2種類の記述研究は,とくに注目に値する.
罹患率研究(prevalence study)は,ある一時点での,ある条件(例:疾患,または喫煙のような行動)の罹患率を決定するために行う.
罹患率研究は,その条件のリスクにある母集団からのデータ収集を備えた横断的デザインに基づく.研究者が関心をもつ条件がどの程度に存在しているかを知るために,リスクにある母集団の「スナップショット(snapshot ; 断片)」をとる.時点罹患率(point prevalence rate: PR)で求める.
事例となるリスクにある母集団の人数は,われわれが得ようとしている予定配賦率の人々の数である(例:100人の母集団につき,または1000人の母集団につき).
データを標本(通常は事例であろう)から得るとき,分母は標本の大きさであり,分子は,研究で特定した条件をもつ事例の数である.
あるコミュニティに住む21歳以上の成人500人を標本として,抑うつの測定を行い,臨床的抑うつの基準に80人が該当した場合,コミュニティの成人100人につき,臨床的抑うつについて推定された罹患率得点は16%となろう.
発生率研究(incidence study)は,新たな事例をつくりだす頻度を測定するためにもちいる.
研究者はまず,誰が新たな事例となるリスクにあるのかを確定しなければならない,
つまり,誰が当初にその条件を免れているのかを確定しなくてはならない.
そのため,発生率を知るために,縦断的デザインが必要となる.発生率(incidence rate:IR;発生割合)の公式は以下のとおりである.
ある一定の期問内で,ある条件または疾患をもった新たな事例の数/新たな事例となるリスクにある人の数(当初にその条件を免れている人の数)
先述の例を使って説明しよう. 2001年10月の時点で,500人の標本のうち80人が臨床的に抑うつだったとする(PR= 16%).
年問発生率を知るために, 2002年10月に標本を再査定する.
2001年の時点では臨床的に抑うつではないと判断した420人のうち,21人が今,抑うつの基準に該当するとわかったとしよう.
この場合,年問発生率は
5%となろう〔(21÷420)×100=5〕.
母集団の下位集団(例:男性群と女性群)の罹患率と発生率についても計算できる.
これを行うと,他の重要な記述指標を計算することも可能となる.
相対危険(relative risk)とは,ある集団ともう1つの集団の比較における「事例性」のリスクの推定である.
相対危険は,ある集団の比率をもう1つの集団の比率で割って算定する.
抑うつの年間発生率が,女性では6%,男性では4%だったとしよう.
女性が1年間で抑うつとなる相対危険は, 1.5となろう.
つまり,女性は,男性に比べて,抑うつとなる傾向が1.5倍であると推定できよう.
相対危険は,ある疾患,または条件に寄与するリスクファクターを判断するのに(たとえば,喫煙者と非喫煙者とで,肺がんの相対危険を比較することによって)重要な指標である.
自然実験の一例として、Keane、Jepson、Pickett、Robinson、McCorkle(1996)は火事の生存者に対して調査を行い、高度な苦痛の原因が火事後14週間の体験に起因することを示しました。この研究では、火事で物理的な負傷を負っていない犠牲者にも影響が及ぶとされています。研究者は火事の前に苦痛のレベルを測定していませんでしたが、火事という出来事がストレスの主要な原因であると納得できることが報告されています。自然実験の特性として、研究者は被験者の環境を意図的に操作するのではなく、現実に発生した出来事を通じてその影響を分析します。このため、自然災害や災害後のストレス反応、戦争体験など、実験的に誘発することが困難な現象についても自然実験は貴重なデータ源となります。自然実験の利点は、倫理的な観点から直接的に操作できない要因や現象についても因果関係を探る手段を提供する点にあります。こうした研究は、環境が提供する「介入」を利用して、個人がどのように反応するかを調査するための貴重な情報源となります。一方で、非実験データに基づく因果関係を明らかにする手法として、パス解析(path analysis)があります。パス解析は、統計的な手法を駆使して独立変数、仲介変数、従属変数の間にある因果連鎖を検証しようとするもので、特定の出来事がいかにして結果に結びつくかを理論的に明らかにすることを目指しています。例えば、Horsburgh、Beansland、Locking-Cusolito、Howe、Watson(2000)はオンタリオ州で腎臓移植を待つ成人のセルフケア行動を予測するためのモデルをパス解析を使って検証しました。この研究では、パーソナリティ特性や健康状態、セルフケア能力といった要因が、セルフケア行動にどのような影響を与えるかについての因果関係の仮説を検証しています。このようなパス解析は、因果の根拠を示す理論モデルを非実験データに適用できるかどうかを評価するのに有効です。続いて、記述研究(descriptive research)も非実験研究に分類されますが、記述研究は主に状況が自然に発生するままに、観察、記述、そして文書化することを目的としています。記述研究は仮説生成や理論の基盤を提供するものであり、特定の状況や行動がどのように存在するかについての詳細な理解をもたらします。記述相関研究(descriptive correlational research)は、因果関係を探るのではなく、変数間の関係を記述することを目的としています。たとえば、Morin、Brogan、Flavin(2002)は、産褥期にあるアフリカ系アメリカ人女性のボディイメージの認識と彼女らの体重との関係を記述する研究を行い、どの肥満度カテゴリーに属するかにかかわらず、女性は自分が過去よりも太ったと感じる傾向があることを示しました。さらに、変量記述研究(univariate descriptive study)は、ある行動や状況がどれだけ発生するかを調査することを目的としています。変量記述研究は通常、複数の変数の状態を記述することがあり、その例として閉経期の女性の経験に関する研究が挙げられます。この研究では、閉経に伴う症状の頻度や、閉経の平均年齢、症状緩和のために薬物を使用する女性の割合などが記述され、さまざまな変数の状態が明らかにされます。疫学においても記述研究は重要な役割を果たしており、罹患率研究(prevalence study)と発生率研究(incidence study)という2つの主要な記述研究が存在します。罹患率研究は、特定の条件や行動が一時点でどの程度の割合で存在するかを示し、リスクにある母集団のスナップショットを提供します。例えば、あるコミュニティに住む成人500人を対象に抑うつ症状を調査し、臨床的な抑うつに該当する人数が80人だった場合、罹患率は16%となります。発生率研究は、新しい事例が発生する頻度を測定するもので、対象者がある期間内に新たに特定の条件に該当するかどうかを調査します。例えば、抑うつの発生率を1年後に再度調査することで、新たに抑うつとなった人数を確認し、発生率を算出します。相対危険(relative risk)もまた、疾患や行動に対するリスクを測定する際に用いられる指標であり、特定の集団が他の集団に比べてそのリスクにどれほどさらされているかを比較するのに役立ちます。たとえば、ある集団における女性の年間発生率が6%、男性の発生率が4%であった場合、女性の相対危険は1.5倍と推定され、女性が男性よりも抑うつになる傾向が高いことを示します。疫学研究では、喫煙者と非喫煙者を比較して肺がんの相対リスクを求めるなど、リスク因子の特定にも相対危険の概念が活用されます。こうした研究手法を通じて、因果関係の有無に関わらず、特定の現象の理解を深めることができ、またデータに基づく推測や介入の根拠を提供することが可能となります。自然実験、パス解析、記述研究、それぞれの方法論が異なるものの、互いに補完し合いながら、現象の理解を支える重要な手法として科学研究に寄与しています。
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