前向き非実験デザイン【統計解析講義応用】

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前向き非実験デザイン|【統計学・統計解析講義応用】

前向き非実験デザイン【統計解析講義応用】


目次  前向き非実験デザイン【統計解析講義応用】

 

 

前向き非実験デザイン

 

前向きデザイン(prospective design ; 先見的デザイン)〔「前向きコホートデザイン(prospective cohort design)」ともいう〕による非実験研究は,推定される原因で始め,やがて,推定される影響を求めて進む.

 

たとえば,「妊娠中の風疹への罹患(独立変数)は児の異常(従属変数)に関係する」という仮説を検証したいとしよう.

 

この仮説を前向きに検証するためには,妊婦の標本で始めるが,そのなかには妊娠中に風疹に罹患した者も,そうでない者も含まれる.

 

続いて,先天性異常が結果的に発生した状況について,すべての対象を査定し,風疹に罹患した女性のほうが,そうでない女性よりも,障害のある児を産む傾向にあるかどうかを検証する.

 

前向きデザインは縦断的であることが多いが,独立変数についての信頼できる情報が,記録や既存のデータ源で人手できる場合は,(対象の観点からすると)横断的でもある.

 

独立変数が,最初のデータ収集期間よりもかなり前に生じることもあるので,すべての縦断的研究が前向きではない.

 

また,すべての前向き研究が,古典的な意味で縦断的であるわけではない.

 

たとえば,介入2時間後,4時間後,6時間後にデータを収集する実験研究は,前向きと考えられ,縦断的とは考えられない(つまり,データ収集が長期にわたらない).

 

前向き研究は,後ろ向き研究よりも費用がかかる.

 

喫煙と肺がんについての前向き研究の例のように,従属変数が明確になる前に,かなりの追跡期間が必要とされるだろう.

 

また,前向きデザインでは,妊婦の風疹と関連する先天性異常の例のように,とくに関心のある従属変数がまれであるときは,多数の標本が必要となろう.

 

もう1つの問題は,優れた前向き研究では,独立変数を測定する時点で,すべての対象が結果(例:疾患)の状態にはないことを確認する手段を講じるということであり,これは困難か,または費用がかかる場合があろう.

 

たとえば,前向きの喫煙/肺がん研究では,研究当初,すでに肺がんに罹患していたが,まだ診断されていなかったという可能性もある.

 

このような問題にもかかわらず,前向き研究は,後ろ向き研究よりもかなり強い.

 

とくに,研究者が,当初に結果の状態ではないと確証している場合は,結果の前に推定される原因が生じていたかどうかというあいまいさは,前向き研究では解決される.
加えて,標本が代表的なものである傾向が高く,研究者は,結果についての競合的な説明を排除するために,コントロールを施すことができよう.

 

前向き研究には探索的なものがある.

 

つまり,研究者はある一時点で,広範囲に可能性のある「原因」を測定する.

 

そして,それからのちの時点で,関心あるアウトカムを調べる(例:入院期間の長さ).時系列がはっきりとしているため,当初,そのアウトカムがなかったことがはっきりしている場合,通常,このような研究は後ろ向き研究よりも強固である.

 

しかし,特定の先見的な仮説を備え,推定される原因についての差がわかっているコホートを比較するような前向き研究ほどには,強力ではない.

 

探索的な後ろ向き研究,または前向き研究を行う研究者は,あれこれ探りを入れて,特定の対象標本にある偽の関係や特異な関係に導かれて,誤った結論にいたる可能性がある,と非難されることがある.

 

 

前向き非実験研究の例

 

ブルック,シャーマン,メイレン,コレフ〔Brook,Sherman, Malen, & Kollef, 2000〕は,前向きコホート研究を実施して,長期の人工呼吸器装着を要する患者において,早期の気管切開術と後期の気管切開術を比較し,その臨床的,経済的アウトカムを検証した.

 

早期の気管切開術は,入院期間の短期化と病院費用の軽減化と関連していることがわかった,

 

自然実験

 

研究者は,「自然実験(natural experiment)」のアウトカムを研究できる場合がある.

 

自然実験では,重大な健康状態の変化を引き起こす自然現象やその他の現象に曝露された集団と,曝露されていない集団を比較する.

 

こうした自然実験は非実験的である.

 

というのも,研究者は介入せず,外部のできごとと環境の引き起こす結果を観察するだけだからである.

 

しかし,本質的に無作為に人々が影響を受けるとき,それらを「自然実験(natural experiment)」という.

 

たとえば,自然災害(独立変数)による損害を査定するために,災害(例:ハリケーン)に襲われたコミュニティの住民の心理健康状態と,災害の影響を受けなかったが,類似の特徴をもつコミュニティの住民の健康状態とを比較できよう.

 

独立変数が,「自然」現象である必要はないことに注意しよう.

 

たとえば,テロ行為ということもある.さらに,比較群は,異なる人々である必要はなく,事象前の測定値を人手している場合は,前後の比較が適切であろう.

 

比較群が,事象以外のすべてに関して均等であるように慎重に選択された場合,自然実験は,関心のあるアウトカムヘの独立変数の影響について,強力なエビデンスを提供できる.

 

 

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