初心者が一人で研究を行うこと

「初心者が一人で研究を行うこと」は控えたほうがよい．

初心者は，その領域に明るい方に助言や指導を仰ぎながら進めることで，研究者として一歩一歩成長していくものである．

そのためにも，若い研究者は，恩師といえる経験豊かな研究指導者を１名以上確保しておくことを強く推奨する．

こうした研究指導者は，学生時代の担当教員であったり，実習中に知り合った指導者であったり，都道府県単位の職能団体で知り合った先輩であったり，同じ施設内の上司であったり，さまざまであろう．

初心者は，研究を進める最中でしばしば行き詰まってしまうものである．

研究デザインの立案の仕方，統計処理の仕方，考察の書き方，図表の作成の仕方などは，初心者にとってつまずきやすい難所となりやすい．

こうしたさいに，研究指導者の助言や指導を仰ぎながら研究を進める経験を積み重ねることで，やがて一人前の研究者へと育っていく．

著者自身もそうであった．

適切な研究指導者が周囲にいない場合，大学院に進学してみるのも一案である．

そこで，これら一連の難所の乗り越え方について指導を受けるであろうし，生涯の恩師との出会いの場となるかもしれない．

最近は，論文の執筆を代行する業者が増えているが，こうした業者に執筆を依頼することは，研究者としての成長を断念するようなものである．

試行錯誤こそ成長の糧となるものである．

しかも，依頼する内容によっては，倫理的問題が発生し掲載の阻害要因となりかねない．