二重投稿|【統計学・統計解析講義応用】
二重投稿
論文を投稿するさいに「二重投稿」は決して行ってはならない.
二重投稿に対する科学者の見解は時代とともに大きく変化してきた.
かつては研究成果が多くの人の目に触れるために2誌以上の雑誌に投稿するのが当たり前であった時代があり,日本でも和雑誌に掲載されたものを洋雑誌に投稿するのが許容されていた時代があったという.
しかし,今日では,二重投稿はオリジナリティを重視する学術誌の信頼性を損ない,著作権の帰属に関する問題も発生させる悪徳行為とみなされている.
今日では,洋雑誌でいったん掲載された論文を和雑誌に日本語で投稿するのも二重投稿であり,「撤回」すべきである.
やがて,二重投稿が発覚したさいには「論文削除」やー・定期問論文投稿を禁止する処分が下されることもある.
大学の紀要に掲載された論文を別の雑誌に投稿するのも二重投稿である。
論文が全く同一でなくとも,内容の主要な部分が国内・国外の学会誌,機関誌,商業誌などに掲載済みであったり,投稿中であったりした場介も二重投稿に該当する.
学術(機関)リポジトリに登録して一般に見ることができる状態になっている論文も「公表」と解釈されるので,韶誌に投稿すると二爪投稿とみなされる傾向にある.
ただし,一般に,研究会や学会などで発表し,抄録に掲載されたものを論文として投稿するのは問題がない.
発表した学会とは異なる学会・研究会誌に論文として投稿しても問題はない.
しかし,その場合,考察の末尾に,「本稿の要旨は第○回日本○○学会(2018年,東京)にて発表した」というように記載するのが丁寧であろう.
考察の末尾に謝辞を入れる場合,こうした文面を組み入れてもよい.
また,雑誌に掲載された論文を修士論文や陣士論文として大学院に提出するのは二重投稿ではないとするのが,医学系の大学院における・一般的な通念である.
むしろ,書き下ろし論文は認めない,査読のある雑誌に内容の主要な部分が掲載された論文でなければ受理しない,と規定している大学院は少なくない.
もちろん,修士論文や博士論文として大学院に提出したものを雑誌に投稿するのも,二重投稿には該当しない.
また,ある雑誌に投稿して掲載不適と判断された論文を他の雑誌に投稿することも二重投稿ではない.
二重投稿であるか否かの判断が難しい場合もある.
したがって,二重投稿の疑義をもっだ場合,投稿する前に編集委員会に問い合わせるのが賢明であろう.
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