S-P表活用で見つける、生徒の隠れた学習課題【ChatGPT統計解析】
S-P表(生徒×項目表)は、学力テストの結果を詳細に分析するためのツールです。各生徒のテスト項目に対する正答(1)と誤答(0)を記入し、生徒は合計点の高い順、項目は正答者数が多い順に並べ替えます。この表では、生徒と項目の間のパターンを分析し、特定の生徒や項目に注目することが可能です。特に注意を要する生徒の特定に役立つのが「注意係数」という指標です。この係数は、予想される正誤パターンからの逸脱の程度を示し、0.5を超えると学習状況の検討が必要とされています。S-P表を用いることで、教師は個々の生徒の弱点を特定し、それぞれのニーズに合わせた指導を行うことができます。
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S-P表:生徒×項目
S-P表のSはStudent(生徒)、PはProblem(項目)を表します。
学力テストを実施した場合、テストを受けた生徒は何点とれたとか、何番だったということで一喜一憂し、テストを実施した教師の側は、平均が何点ぐらいだったという程度の情報で満足してしまうことが少なくありません。
しかし、テストをすることの重要な目的は、テストで得られた情報を次の指導や学習に活かすことです。
テスト結果を指導や学習に活かすためには、個々の生徒の得点や順位、あるいは学級平均だけでは不十分であり、もっと細かく、どの生徒がどの項目に正答し、どの項目に誤答したかというパターンを見る必要があります。
日本の教育工学の分野で開発されたS-P表は、生徒(Student)×項目(Problem)という形の表に、各生徒が各項目に正答なら1、誤答なら0を入れたものです。
生徒は合計点の高いほうから順に並べ替え、項目は正答者数の多いやさしいものから順に並べてあります。
このように並べ替えられた一覧表の中に、S曲線とP曲線とよばれる2本の曲線(折れ線)を書き込んだものがS-P表です。
S-P表にはS曲線とP曲線があります。
S曲線(表中の実線)は、各生徒について、左から合計点の分だけ数えて区切ったものであり、P曲線(点線)は、各項目について、上から正答数の分だけ数えて区切ったものです。
S-P表:注意を要する生徒の特定
ここで生徒9と生徒12の二人に着目してみましょう。
この二人の生徒は合計点はどちらも13点で同じです。
このうち生徒9は、やさしいほうの項目13個に正答し、難しい項目2個に誤答していて、とくに注目すべき点はありません。
これに対し生徒12は、ほとんどの生徒が正答しているやさしい項目12に誤答していて、その代わり、難しい項目14には正答しています。
この後者の生徒は、その生徒の合計点から予想される正誤パターンから逸脱したパターンを示しているといえます。
その程度が大きい場合、つまりS曲線の左側に誤答(0)がたくさんあり、S曲線の右側に正答(1)がたくさんあるような場合は、初歩的な概念を誤って理解しているとか、ケアレスミスが多いなど、指導上、とくに注意すべき生徒である可能性があります。
S-P表は、こうした生徒についての情報に加え、個々の項目についても有用な情報を与えてくれます。
たとえば項目5などは、比較的合計点の高い生徒が誤答しています。
このように、P曲線の上側に誤答がたくさんある項目は、問題文が曖昧であったり、「引っ掛け問題」になっていたりする可能性があります。
S-P表における注意係数
S-P表において、とくに注意すべき回答パターンを示す生徒や項目を見つけるために考えられた指標が注意係数です。
生徒の注意係数は次式で求められます。
注意係数=(A−B)/(C−D×E)
ただし、
A=その生徒のS曲線から左の0に対応する正答者数の和
B=その生徒のS曲線から右の1に対応する正答者数の和
C=その生徒のS曲線から左の項目の正答者数の和
D=その生徒の合計点
E=項目の正答者数の平均
です。
注意係数の値が0.5を超えるケースは、その生徒の学習状況について検討の必要があるとされています。
生徒19、生徒4はこれに該当しています。
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