ニューテクノロジーにおけるCDMの役割|【医療統計学・統計解析】
ニューテクノロジーにおけるCDMの役割
ニューテクノロジーを利用することにより,まだしばらくの時間は必要ではあるが,将来的には臨床試験データの収集方法に劇的な変化が見込まれる.
これにより臨床データマネジメント部門の役割も変化することは否めない.
これまでのように紙で収集された臨床試験データをセントラルで入力し,後追いで確認を実施することにより品質を保証する方向から,これらの役割がリモートサイトである施設へと移行することになるからである.
しかしながら,単にデータ入力やデータチェックの役割が施設に移行しただけでは臨床試験データの品質が向上することには繋がらない.
入力や確認におけるヒューマンエラーの問題は依然として残されるためである.
むしろ,データを入力するということではなく,電子カルテなどとして保存されている施設内で適切に管理された正しい電子情報のうち,必要な項目のデータを取得するというData Capturingが実現されることが臨床試験データの品質向上への本質的な解決策になるのではないだろうか.
施設においては電子カルテの普及が進んでおり, 2006年には全国の400床以上の病院の6割以上への普及が見込まれている.
このような時代においては,臨床データマネジメント担当者の役割は症例報告書を作成・管理し,臨床試験データの確認を行うことにより品質保証を行うということだけには留まらなくなる.
業務としては症例報告書の作成や管理,データ入力などの作業はなくなりEDCアプリケーションのセットアップや入力マニュアルなどの作成に変化すると言ってよい.
さらに,データレビューにおいても個々の症例についてのレビューを行うということよりも,粗集計や基本統計量の算出などによって,全症例をまとめてみた時の問題点抽出にポイントが移行するものと思われる.
むしろ,臨床試験データマネジメントの担当者は臨床試験データの品質保証を行うとともに,臨床試験そのものを含めて,これらの品質基準を向上させるという役割を担うことになるだろう.
このためにも本来の目的である臨床試験データ品質保証のためには,何を行わなければならないかということを見失わないようにしていかなければならない.
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