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適性基準

研究者は，誰がその母集団に含まれるかを定義づける基準について明確にすべきである．

米国人看護学生の母集団を考えてみよう．

この母集団は，すべての種類の看護プログラムの学生を含むか？

学士号をとるために学校に戻っている登録ナース(RN)はどうか．

１学期間休学した学生は？米国の看護プログラムに在学している外国人学生は資格があるか？

できるかぎり，研究者は，母集団の成員として，各個人がふさわしいかどうかを決めるための正確な基準を考えねばならない．

母集団の特性を特定化する基準を，適性基準(eligibility criteria)とか，包含基準(inclusion criteria)という．

人々がもつべきでない特性に関して，母集団を定義づけることもある〔除外基準(exclusion criteria)を明文化している〕．

たとえば，母集団を，英語を話せない人々を除外すると定義することもあろう．

研究のための包含基準や除外基準は，実質的関心や理論的関心以外の考慮について反映していることが多い．

適性基準は，以下の１つ以上を反映しているかもしれない．

・費用：費用の制約を理由とする基準もある．たとえば,英語を話せない人々を除外するとき，これは，研究者が英語を話せない人々に関心がないということを必ずしも意味しないが，研究者が通訳者や多言語データを収集できる人を雇うことができないということを意味するかもしれない.

・実践上の配慮：地方の人々や，聴力障害のある人々などを含むのがむずかしいような，他の実践上の制約があることもある.

・研究に参加する人々の能力：ある人々の健康状態が，参加を妨げるかもしれない．たとえば，精神障害があり，意識障害または不安定な疾病状態をともなう人々を，除外する必要があるかもしれない.

・デザイン上の考慮：外生変数をコントロールする１つの手段として，かなり均質な母集団を定義づけることは，ときに有利である．
研究プロジェクトのための母集団を定義づけるための基準は，研究結果の解釈と，その研究結果の一般化可能性の両方にとって意味がある．

包含基準と除外基準の例

キールースミスとプライスーダニエルは，実験デザインをもちいて，足を組むことが血圧測定に及ぼす影響を調べた，

研究参加者は高齢者であり，正常血圧または高血圧のいずれかであった．

以下の人々は除外した．抗高血圧薬を服薬していて，当日，薬を飲んでいない人，末梢血管障害の診断を受けた人，下肢切断された人，２週間以内に手術を受けた人，足を組むことができない人．

適性基準は、研究を行う上で重要な要素であり、特に研究者が対象とする母集団をどのように定義するかにおいて大きな役割を果たします。適切な基準設定は、研究の精度や有効性に直接影響を与え、最終的には研究結果の解釈やその結果の一般化可能性にも関わってきます。適性基準は、一般に包含基準（inclusion criteria）と除外基準（exclusion criteria）の2つのカテゴリーに分けられます。包含基準は、研究に参加するために必要な条件を定義するものであり、逆に除外基準は研究に参加してはならない条件を示します。これにより、研究者はどのような個人が研究対象として適しているのかを明確に決定し、データ収集の対象とする母集団を適切に絞り込むことが可能になります。例えば、米国の看護学生を母集団とする場合、看護プログラムの種類に関わらずすべての学生を対象とするか、あるいは特定のプログラムに限定するかを事前に決める必要があります。さらに、学士号取得のために学校に戻ってきた登録ナース（Registered Nurse, RN）や休学中の学生、さらには米国の看護プログラムに在学している外国人学生も含めるかどうかなど、具体的な基準を考慮することが重要です。このように母集団の特性を特定化する基準が適性基準であり、包含基準と除外基準を設定することで、研究対象の選択を合理化し、研究の精度を高めることができます。たとえば、ある研究が英語を話せる人を対象とする場合、英語を話せない人々を除外することがありますが、これは必ずしも英語を話せない人々に関心がないというわけではなく、通訳者や多言語データを収集できる人的資源がないといった費用やリソースの制約によるものです。同様に、地方在住者や聴力障害を持つ人々など、研究に参加するのが難しい人々も実践的な理由で除外されることがあります。健康状態によって参加が制限される場合もあり、たとえば精神障害があり、意識障害または不安定な疾患を抱える人々は、研究への参加が不適切とされることがあります。これらの基準は、研究のデザインや実践上の制約だけでなく、研究に関心のある理論的問題に基づく場合もあります。さらに、外生変数をコントロールするために、均質な母集団を設定することが有利な場合もあり、このような基準設定は研究のデザイン上の利点ともなります。母集団の定義は、研究の目的に応じて慎重に行われるべきであり、適性基準を詳細に設定することで、研究結果が信頼できるものとなり、他の文脈でも適用可能であることが保証されます。具体的な例として、キールースミスとプライスーダニエルの研究では、足を組むことが血圧測定に与える影響を調べるために高齢者を対象とし、特定の健康状態や服薬状況などを基に除外基準を設けました。この研究では、抗高血圧薬を服薬しているが当日に薬を服用していない人、末梢血管障害を持つ人、下肢切断された人、2週間以内に手術を受けた人、そして足を組むことができない人を除外することで、より正確な結果が得られるようにしています。除外基準は、研究対象者の特定の特性が実験結果に影響を与える可能性を排除し、結果の解釈がより明確になるように設定されます。適性基準の設定は、単に対象者の特徴を選別するだけでなく、研究全体の信頼性を確保するための重要なプロセスでもあります。さらに、適性基準の設定においては、費用やリソースの問題も重要な要素です。たとえば、研究対象として外国語を話す人々を含む場合、通訳や翻訳のコストが発生するため、費用の制約が考慮されることがあります。この場合、費用の制約を理由に外国語話者を除外することは、研究者がその集団に関心を持っていないということを意味するものではなく、実際には予算の範囲内で最大限のデータを収集するための実務的な決定であると言えます。また、健康状態が悪化している個人が研究に参加することで、研究結果に偏りが生じることが懸念される場合もあり、この場合は健康状態に基づいた除外基準が設定されることがあります。たとえば、心疾患や呼吸器疾患を持つ人が激しい運動を伴う実験に参加することが難しい場合には、健康状態に応じた除外基準が適用されることが考えられます。このように、適性基準の設定は多くの要素に基づいており、研究者が明確な基準を持って対象者を選定することは、信頼性の高いデータ収集と研究結果の妥当性に大きく寄与します。研究デザイン上の配慮も適性基準設定には重要な要素です。たとえば、均質な母集団を定義することによって、外生変数の影響を最小限に抑え、特定の要因が実験結果に与える影響をより精密に検証することが可能になります。均質な母集団の設定は、特定の変数に基づくデータの解釈を明確にするための有効な手段であり、研究における誤差の軽減や結果の再現性向上にも貢献します。さらに、適性基準は理論的な背景や研究目的に基づいて慎重に設定される必要があり、研究の仮説検証の過程で重要な役割を果たします。例えば、包含基準や除外基準を設定することで、特定の集団特性に基づく一般化が可能となり、他の研究と比較してどの程度の普遍性があるかを判断する材料にもなります。このように、適性基準は研究の設計段階において重要な役割を果たし、研究の精度や信頼性を向上させるための不可欠な要素であると言えます。