帰無仮説と対立仮説|【統計学・統計解析講義応用】
帰無仮説
検定でとりあえず立てる仮説で、H0と表されます。
英語ではnull hypothesis、nullは0つまりゼロを意味するため、ゼロ仮説ということもあります。
H0:θ1=θ2
科学的な仮説には正しいと思われる事柄を立てますが、検定ではそうでなく対立仮説が重要な場合が多いです。
帰無仮説としては「差がない」「単なる偶然変動にすぎない」という種類のものが立てられ、それが棄却されることにより、薬の有効率に「差がある」とか、処置の効果は「単なる偶然変動ではない」との結論を得ます。
検定のロジックは背理法です。
背理法は、ある事柄を証明するため、当初それを否定し論理の連鎖によって矛盾を導くという証明法です。
対立仮説を立証するためそれを否定した帰無仮説を立てると解釈します。
したがって、帰無仮説は否定されることで意味を持つという役割を負っています。
なお、「帰無仮説の下で」という表現がよく用いられますが、これは「帰無仮説が正しいとしたときは」の意味です。
対立仮説
英語ではalternative hypothesisといいます。
統計的検定において帰無仮説が棄却されたときに採択される仮説で、帰無仮説のH0に対してH1と表されます。
2群におけるパラメータをそれぞれθ1、θ2としたとき、帰無仮説H0:θ1=θ2に対し、対立仮説としては、
H1:θ1<θ2(もしくはθ1>θ2)
これは片側仮説(one-sided hypothesis)といいます。
あるいは、
H1:θ1≠θ2
これは両側仮説(two-sided hypothesis)といいます。
これらのいずれかとなります。
片側仮説に対する検定を片側検定(one-sided testing)、両側仮説に対する検定を両側検定(two-sided testing)といいます。
どちらの仮説を立てるかは問題によります。
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