カオス【統計解析講義応用】

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カオスとフラクタル:複雑系の不思議な世界

カオス【統計解析講義応用】
カオスは、通常秩序の対極として混沌を意味しますが、複雑系では、@単純な関数でも複雑な振る舞いを示し、ランダムに見える系列、A極めて近い初期値から出発しても異なる軌道を描く性質を持つことを指します。これまでの数学は主に線形であり、線形の世界ではこれらの現象は起こりませんでしたが、複雑系の研究はこれらを不思議な現象として捉え、多くの応用例や理論的研究を進めています。複雑系は要素還元的な考え方とは異なり、複雑なものを複雑なまま扱います。フラクタルは自己相似形の図形で、各部分が全体と同じ構造を持つため、要素還元的な考え方とは異なります。アトラクタは散逸系の力学系で、収束先としてストレンジアトラクタがあり、これはフラクタルの特性を持つ非周期的なアトラクタです。


目次  カオス【統計解析講義応用】

 

カオスとは

 

カオスは、秩序(order)の対極としての混沌を表す言葉として日常的には理解されています。

 

しかし、複雑系でいうカオスは、専門用語として次の2つの性質をもつ系列として理解されています。

 

@ごく単純な関数であるが、得られる系列は複雑な動きを示しランダムなように見える

 

A極めて近い初期値から出発しても途中から似ても似つかない軌道を描く。

 

自然科学、工学、経済学などの分野でのこれまでの数学は大部分「線形」であり、線形の世界では上記のようなことは起こりません。

 

このため、研究者にとっては極めて不思議な現象としてとらえられ、多くの応用例の蓄積および理論的考察等の研究が進展しつつあります。

 

 

複雑系

 

我々を取り巻く諸現象は複雑です。

 

しかし、一見複雑と思われる現象でもそれを構成する要素は比較的単純で、それらの組み合わせにより複雑なものができているという考え方、すなわち要素還元的な思考がこれまで科学の主流を占めていました。

 

これは線形モデルに基づくものです。

 

これに対し、要素還元的な思考ではなく、複雑なものを複雑なものとして扱う(そうでなければ扱えない)とするのが複雑系であり、非線形なモデルを中心に据えるものです。

 

複雑系の解析手法の代表がカオスとニューラルネットワークであり、コンピューター・シミュレーションに基づく手法が多く提案されています。

 

フラクタル

 

自己相似形の図形のことをいいます。

 

自己相似とは、部分と全体が同じ構造をもつもののことをいいます。

 

通常の図形は、たとえ全体が複雑であろうともそれを構成する各部分はより簡単な構造を持ちます。

 

しかし、フラクタルでは、各部分が全体と同じ構造を持つことから、全体は部分から構成されうるといういわゆる要素還元的な考え方とは相異なるものとなります。

 

また、フラクタルは次元の概念にも変革を与えています。

 

通常の次元は1次元、2次元などの自然数ですが、フラクタルでは1.2次元というような小数次元が登場します。

 

これは、1次元の直線よりは複雑であるが平面ほどではない図形を意味します。

 

アトラクタ

 

散逸系の力学系では、エネルギーの放出のため、相空間での軌道は体積が0のある閉集合に収束します。この収束先をアトラクタあるいは吸引集合といいます。

 

古典物理学では従来アトラクタとして、

 

@不動点

 

A周期点(リミットサイクル)

 

Bトーラス

 

の3種類が知られていましたが、そのどれにも属さない非周期的なアトラクタがあることが分かり、ストレンジ(奇妙な)アトラクタ(strange attractor)と名付けられました。

 

ストレンジアトラクタは、多くの場合、フラクタルの特質を有し、小数次元(フラクタル次元)を持つ集合として特徴付けられます。

 

たとえば、エノン写像のフラクタル次元は約1.2であることが知られています。

 

 

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