要因デザインの例【統計解析講義応用】

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要因デザインの例|【統計学・統計解析講義応用】

要因デザインの例【統計解析講義応用】


目次  要因デザインの例【統計解析講義応用】

 

 

要因デザインの例

 

シュルツ,アシュビー−ヒューズ,テイラー,ジリス,ウィルキンズ〔Schultz, Ashby-Hughes, Taylor, Gillis,& Wilkins, 2000〕は.2×2要因デザインを使い,抗生物質を投与されている経管栄養の重症患者の下痢を軽減するための治療について研究した.

 

1つの因子は,食物繊維入りの経管栄養と繊維なしの経管栄養との対比である.

 

2つ目の因子は,ペクチンとプラシーボの対比である.食物繊維/ペクチン群で,下痢の減少傾向が認められた.

 

要因デザイン

 

先述の3つのデザインでは,実験で操作するのは1つの独立変数だけである.

 

しかし,2つ以上の変数を同時に操作することは可能である.

 

未熟児に対する2つの治療法を比較したいとしよう.

 

触覚刺激による治療法と聴覚刺激による治療法である.

 

同時に,1日の刺激量(15分,30分,45分)が未熟児の成長に影響するかどうかを知りたいとしよう.

 

この研究の従属変数は,体重増加,心臓反射応答など,未熟児の発達の測定値である.

 

この要因デザイン(factorial design)は,1度の実験で複数の仮説検定を行うことができる.この例では,次のような3つの研究設問がある.

 

介入の前後の両方でデータを収集する実験デザインをもちいる場合,グループに無作為化を施す前に,事前テスト(プレテストまたは予備テスト)のデータを収集するのが優れた方法であろう.

 

この方法によって,対象者(および研究者)がグループの割り付けを知っていることによる偏りを,確実に排除できる.

 

乱塊法

 

乱塊法(randomized block design) は,構造上は要因デザインに似ている.

 

このデザインでは,2つの因子(独立変数)があるが,1つの因子は実験的に操作されていない.男児と女児の対比への,触覚刺激の効果と聴覚刺激の効果の対比に関心があるとしよう.

 

刺激の種類を1つの因子,性別をもう1つの因子とし,2×2の実験として構造化することができる.

 

操作できない,性別という変数を,ブロック変数(blocking variable)という.

 

児の性別が決まっているので,複数の刺激療法の効果を調べる実験では,対象を無作為に4つのセル(マス目)のいずれかに割り付けられないことが明らかである.

 

しかし,男女の対象者を,別々に2つの刺激方法に無作為に割り付けることはできる.

 

研究のために,40人の男児と40人の女児を得たとしよう.80人の児の半分ずっを,無作為に触覚刺激と聴覚刺激に割り付けることはしない.

 

むしろ,男児と女児を別々に,無作為に2つの実験処理に割り付け,その結果,4つのセルの各々に,20人ずつの対象が確保される.

 

研究デザインにブロック変数があると,研究者が標本構成をコントロールでき(つまり,特定の特性をもつ対象者の数を十分に確保できる),外生変数へのコントロールも強まる.

 

つまり,2つの療法に対する男児と女児の反応は異なるであろうから,性別を交絡変数(confounding variable) と考える場合,乱塊法が必要となる.

 

要因デザインと同じく,乱塊法でも交互作用効果を検証できる.

 

 

乱塊法の例

 

ハリソン,ウィリアムズ,バーバウム,ステム,リーパー〔Harrison, Williams, Berbaum, Stem, & Leeper, 2000〕は.乱塊法を使い,人の手による優しいタッチ(gentle human touch)が,早産児における行動の苦痛,睡眠,自発運動量のようなアウトカムにもたらす影響について研究した.

 

在胎週数に基づいたブロックごとに,児を無作為に実験群とコントロール群に割り付けデザインを拡張して,2つ以上のブロック変数を含むこともできる.

 

たとえば,先に述べた複数の刺激療法の研究に,新たなブロック変数として,出生時体重を加えることができよう.

 

複数の操作変数を含むことも可能であり,それによって,乱塊法と要因デザインの両方を備えたデザインをつくりだせる.

 

理論上は,ブロック変数と操作変数の数は無制限であるが,実際のところ,それぞれ比較的に数が少ないのがふつうである.

 

デザインを拡張する場合は,通常,さらに多くの対象者が必要になる.

 

セル内を安定させるには,概算で,1つのセルにつき,最低20人の対象者が望ましい.

 

つまり,2×2のデザインでは最低80人の対象者が,2×2×2のデザインでは160人の対象者が必要となろう.

 

クロスオーバー・デザイン

 

ここまで,異なる人々に異なる処理を無作為に割り付けた実験研究について説明してきた.

 

たとえば,先の例では,聴覚刺激にさらされた乳児は,触覚刺激にさらされた乳児と同じではない.

 

クロスオーバー・デザイン(crossover design)〔反復測定デザイン(repeated measure design)ともいう〕は,2つ以上の実験処理を同一対象に行うものである.

 

この種の対象内デザインは,異なる条件にさらされた対象について,最大限の均等性を保証するという利点がある.

 

比較すべきグループは同一の人々で構成されるので,年齢,体重,健康状態などに関して等しい.

 

クロスオーバー実験デザインでは,処理の順序が異なるものに,対象者を無作為割り付けする.

 

たとえば,未熟児の発達への聴覚刺激と触覚刺激の効果を比較するために,クロスオーバー・デザインをもちいた場合,ある乳児には,はじめに聴覚刺激を無作為に割り付け,他の乳児には,はじめに触覚刺激を受けるように割り付けるだろう.

 

このような研究では,実験のための3つの条件が満たされている.

 

すなわち,操作,無作為化,コントロール群であり,対象者が自分自身のコントロール群となる.

 

クロスオーバー・デザインは,きわめて強力であるが,キャリーオーバー効果(carry-over effect ;繰り越し効果)の問題ゆえに,ある研究設問には不適切である.

 

対象者を2つの異なる処理や条件にさらす場合,はじめの条件での経験が,2つ目の条件において影響するかもしれない.

 

一例として,薬剤の研究では,めったにクロスオーバー・デザインをもちいない.

 

というのは,A薬のあとにB薬を与えた場合と,A薬の前にB薬を与えた場合は,必ずしも同じ処理にならないからである.

 

 

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