産業連関表:さまざまな産業間の関連|産業連関分析・投入係数・付加価値率【統計学・統計解析講義基礎】

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産業連関表:さまざまな産業間の関連|産業連関分析・投入係数・付加価値率【統計学・統計解析講義基礎】

産業連関表:さまざまな産業間の関連|産業連関分析・投入係数・付加価値率【統計学・統計解析講義基礎】
国民経済計算によって一国全体の経済動向を把握することができるが、産業連関表を用いるとさまざまな産業間の関連を明らかにすることができる。産業連関分析では、各産業における中間投入の比率、投入係数・付加価値率により投資が与える影響を評価できる


目次  産業連関表:さまざまな産業間の関連|産業連関分析・投入係数・付加価値率【統計学・統計解析講義基礎】

 

産業連関表:さまざまな産業間の関連

 

国民経済計算によって一国全体の経済動向を把握することができますが、産業連関表を用いるとさまざまな産業間の関連を明らかにすることができます。

 

さらに産業連関表を用いた分析によって、たとえば公共事業の効果を評価したり産業ごとの雇用者数の変化を知ることもできます。

 

産業連関表:さまざまな産業間の関連|産業連関分析・投入係数・付加価値率【統計学・統計解析講義基礎】

 

産業連関表には産業から各産業や家計への商品の取引額が記されています。表を行(横)方向にみると、各産業の産出物(output)が、他の産業で原材料として利用される中間需要と、家計の消費、企業の投資などの最終需要への配分が示されます。

 

また、列(たて)方向にみると、各産業が商品を生産するのに要した投入(input)が、原材料などの中間投入と付加価値に分解されています。

 

付加価値は、さらに雇用者所得、資本減耗、間接税(マイナス補助金)と営業余剰に分解されています。

 

ここで各産業の産出額である行合計と投入額の列合計が一致しているのは、営業余剰が売り上げから費用を引いて求められるバランス項目だからです。

 

表の構成から明らかに、次の関係が成り立ちます。

 

まず、行合計と列合計が等しいことは、総需要=総供給を意味します。次に、各産業について行方向と列方向を見ることによって、

 

中間需要+最終需要−輸入=中間投入+付加価値

 

が成立します。

 

たとえばU産業については、中間需要が31+104+82=217、最終需要が128+15+14=157、これから輸入27を引いた合計217+157−27=347は国内生産と呼ばれます。

 

中間需要と最終需要の中には国産品と輸入品が含まれているため、輸入を一括して差引くことにより国内生産が求められます。

 

U産業の列方向では、中間投入が15+104+51=170、付加価値が108+30+21+18=177となり、その合計170+177=347は行合計と一致しています。

 

産業連関表で用いる国内生産は中間需要を含んでいるためGDPとは異なる概念です。最終需要を全産業について合計すると365+143+47−44=511兆円となり、これが2000年の国内総生産(GDP)です。

 

GDPを支出面から測定したこの数値は、付加価値の合計296+101+82+33=511と一致します。

 

このことは、最終需要と付加価値が、それぞれの行の合計、列の合計から中間投入を引いて得られることからも明らかになります。

 

 

産業連関分析・投入係数・付加価値率

 

産業連関表によって産業部門別に詳細な情報を得ることができますが、各産業における技術構造から、経済分析の道具が得られます。

 

そのためには、各産業における中間投入の比率が利用されます。

 

たとえば産業における中間投入比率を求めると、3つの産業について、それぞれ15÷347=0.043、104÷347=0.300、51÷347=0.147となります。

 

この比は投入係数と呼ばれます。

 

なお、各産業の付加価値率から、素材型産業よりも金融などサービス産業の方が付加価値率が高いことがわかります。

 

投入係数と付加価値率の合計は1になります。

 

投入係数はある産業が1単位の生産を行うのに必要な各原材料の量と解釈できるもので、短期的には安定的です。

 

たとえば、溶鉱炉を用いて銑鉄1トンを生産するのに必要な鉄鉱石、コークスの量、電力の消費量などはほぼ一定と考えられます。

 

ここで産業に対する2兆円の投資が与える影響を評価してみましょう。

 

産業の生産は2兆円増加しますが、効果はそれに留まりません。

 

この2兆円の生産を行うためにT産業には0.023×2=0.046(兆円)の中間需要が発生します。

 

同様に産業に0.186×2=0.372、産業に0.155×2=0.310の需要が発生します。

 

次の段階で、各産業の生産のためにまた中間需要が発生します。

 

このような手法によって、オリンピックの経済効果などが実際に計測されています。

 

 

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