家計に関する統計|【社会経済統計学・統計解析】
▼▼▼▼▼▼▼▼
チャンネル登録はこちら
家計に関する統計
家計に関する統計:所得・消費・貯蓄のバランス
家計にとって、所得は各種経済活動の源泉であるという意味で、極めて重要な経済変数である。
家計所得の中心は勤労所得(雇用者報酬)である。
毎勤や賃構などから給与等は把握できるものの、それらは労働需要(事業所)側からの調査である。
これに対して、労働供給(世帯)側からの調査が、総務省が実施している就業構造基本調査(略して「就調」指定統計)である。
就調では有業者に対して、普段の就業、不就業以外に、仕事の種類、就業日数、年間収入等が調査されている。
無業者に対しても、世帯主については有業者と同様に世帯の収入の種類、世帯全員の年間収入等の調査項目がある。
ただし、就調の調査周期は5年であり、これが毎勤などと大きく異なる点である。
家計のフロー(所得、消費、貯蓄)のバランスは、一国全体の国民経済計算(SNA)のバランスを反映し、またそれが個別会計においても成立する。
ただし、家計の一次統計でこのバランスを意識して調査、表章が行われるとは限らない。
名称等の差はあるとはいえ、家計の収支バランスを意図した代表的な一次統計は、家計調査と全国消費実態調査(略して「全消」)であり、ともに総務省が実施している指定統計である。
家計調査は月次調査で、調査世帯数は約9000(単身世帯調査を含む)である。
全消は家計調査の調査項目を拡大し、家計の総合統計といった性格をもつ調査であり、調査世帯数も約60000と多い。ただし、5年周期の調査であるという制約がある。
貯蓄率
SNAの家計の貯蓄率は貯蓄を可処分所得で除したものである。
この貯蓄率に近い概念は、家計調査では黒字率であり、黒字と可処分所得の比である。
しかし、SNAの家計の貯蓄率と家計調査の黒字率は水準も傾向も異なり、これまでいろいろと議論されてきた。
しかし、SNAの貯蓄率と家計調査の黒字率は同一の対象を比較したものではない。
家計調査では勤労者世帯及び無職世帯以外では月々の収入を調査していないので、全世帯の黒字率は計算できない。
そこで、通常は全世帯に占める割合が大きい勤労者世帯の黒字率と比較しているケースが多い。
その場合でも、人口の高齢化が進むにつれて黒字率がマイナスとなる無職世帯の割合が高まっていることから、国全体を対象とするSNAの貯蓄率と比較することは困難である。
このほかにも、持ち家の帰属家賃や医療費など、家計調査とSNAで取り扱いに違いのある項目があり、それらもSNAの貯蓄率と家計調査の黒字率が異なる理由の一つと考えられる。
そこで、貯蓄関数(または消費関数)の計測をする場合には、使用したデータによって解釈が変わる可能性があるので、どのデータを使用したかの明示が必要である。
関連記事