賃金に関する統計【社会経済統計解析】

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賃金に関する統計|【社会経済統計学・統計解析】

賃金に関する統計【社会経済統計解析】


目次  賃金に関する統計【社会経済統計解析】

 

賃金に関する統計

 

賃金に関する統計

 

賃金というとき、賃金水準ないしは賃金所得(労働所得)を指す場合と、賃金率を指す場合がある。

 

賃金率は賃金所得を労働量で割ったものであり、時間当たり賃金(時給等)を指す場合が多い。

 

賃金体系等は企業によって異なるから、両者の区別は統計を利用する場合には注意が必要となる。

 

賃金について代表的な統計調査は毎月勤労統計調査(毎勤)である。

 

毎勤では労働時間、出勤日数等も調べられており、組み合わせれば単位当たりの賃金率の算出が可能である。

 

賃金統計のもう一つの代表的な統計調査は、賃金構造基本統計調査(賃構)である。

 

この調査も事業所側から調査しており、この点は毎勤と類似している。

 

ただし、対象事業所(5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所、及び10人以上の常用労働者を雇用する公営事業所)、対象期日(6月末現在)等の相違がある。こうした形式的な差よりも調査項目と表章形式の相違が大きい。

 

賃構は賃金センサスともいわれ、その目的は常用労働者の賃金等の実態を、産業、地域、規模、性、就業形態、学歴、職階、年齢、勤続年数など構造的に把握することにある。

 

毎勤はその名のとおり毎月調査であるが、賃構は毎月6月末時点についての調査(所定内給与、所定内実労働時間等は6月値。ただし、賞与等は前年1年間)である。

 

その反面、賃構は属性別情報が詳しいという長所がある。

 

両統計は厚生労働省の所管の指定統計であり、賃金関係の基本統計といえる。

 

賃金、所得関連統計はこれ以外にも多数存在する。

 

民間給与実態統計調査(国税庁)といった、賃金・給与を直接対象とした調査に加えて、家計調査(総務省)のような世帯の収支を対象とした調査からも間接的に得られる。

 

また、賃金等に大きな影響を与える要因として、賃金体系、賃金制度等がある。

 

それらに関する統計としては、厚生労働省による就労条件総合調査がある。

 

賃金の代表的な動向の一つに、賃金の年齢(または勤続年数)別プロファイルがある。

 

標準労働者とは「学校卒業後直ちに企業に就職し、同一企業に継続勤務している労働者」を指しており、年齢の変化と勤続年数のそれは類似の傾向をもつ。

 

ただし、賃金の単純比較は学歴別、企業規模別、男女別等の各種の格差を含むため、賃金格差の議論はこのような属性をコントロールすることが重要である。

 

学歴、年齢別賃金の平均値を比較するのも重要であるが、同時に、それぞれの賃金分布のばらつき度合いを見ておくことも重要である。

 

賃構では、ひろがりの尺度として、十分位分散係数を用いている。

 

 

一般に分布の状況は分布の中心とひろがり度合いによって記述される。

 

分布の中心としては、算術平均を用いるのが一般的である。

 

しかし、分布の偏りが大きい場合は中位数(中央値)を用いる場合が多い。

 

中位数は、変量を最小値から最大値まで、その大きさの順に並べたときに中央に位置する値である。

 

こうした統計量を順序統計量という。

 

一方、分布のひろがりを示す尺度にはいろいろなものがあり、その代表は分散と標準偏差である。

 

これらは算術平均と対をなす。

 

これに対して、順序統計量の場合は分位数が用いられる。

 

中位数と同様にデータを最小値から最大値までその大きさの順に並べ、それらを10等分したとき、小さいほうから10分の1、10分の2、・・・という順序統計量をそれぞれ、第1十分位数、第2十分位数、・・・という。

 

十分位分散係数は、最大と最小10分の1データを除いた残りのデータ変化の幅を、中位数の2倍(分布全体を近似)で基準化(相対化)したもので、分布のひろがりの程度(係数が大きいほどひろく、小さいほど狭いこと)を示している。

 

毎勤の利用に関し注意点がある。

 

この調査は、賃金、雇用及び労働時間を総合的に把握する調査であり、労働や経済の一般的な基礎統計としてだけでなく、景気動向の視点からも重要な統計である。

 

毎月の公表は実数と指数と二通りの形で行われている。

 

また、指数は、基本的に基準年の実数を100とした数値で示されている。

 

しかし、なぜ実数があるにもかかわらず、指数を別途算出するのであろうか。

 

毎勤は、構造を把握するための利用よりも時系列比較を行うために利用されることの多い調査であることから、指数の公表は利用者にとって便利であるということ以外、もう少し深い配慮がある。

 

すなわち、公表される指数は実数の単純比率の形で算出されているのではないところが重要である。

 

なぜならば、実数は調査対象事業所(30人以上の規模の標本)の抽出替えによって、調査結果の実数にギャップが生じることがあるからである。

 

そこで、このギャップを修正するため、一定期間過去に遡って指数とその増減率を改訂しているのである。

 

したがって、指数は時系列的な接続を意図して作成されており、その時点で公表されている指数は将来改訂されることになる。

 

ギャップ修正の意味については以下の通りである。

 

調査対象を数年間固定して調査していると、通常、新設された事業所の状況は調査対象事業所(標本)に反映されず、集計結果が母集団(現実の全事業所)の状況からずれてくる。

 

このずれ(ギャップ)を一般にバイアス(偏り)という。

 

ギャップ修正はこれを補正するねらいがある。

 

ギャップ修正による指数の改訂方法は常用雇用指数についてはやや複雑なので、ここでは、賃金と労働時間の指数について説明することにする。

 

まず、各月の指数は2000年を基準時点とすると、

 

各月の指数=各月の実数/基準数値×100

 

となる。

 

改訂は、前回抽出替えの翌月分に遡って行われる。

 

そこで、

 

G(ギャップ率)=新調査結果/旧調査結果

 

とし、

 

改訂指数=修正前指数×(1+n/60(G-1))

 

となる。

 

すなわち、ギャップ率が最近月になるほど60分の1ずつ効いてくる調整となっている。

 

 

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