一部実施法で効率UP!直交表で最適解【ChatGPT統計解析】
実験計画法における完全実施法では、全ての因子とその水準の組み合わせで実験を行うため、全ての交互作用が推定可能ですが、実験回数が非常に多くなります。これに対し、一部実施法(fractional factorial design)は、主に高次の交互作用(3因子以上)を推定しないことで実験回数を減らす方法です。ただし、任意の組み合わせではなく、特定の法則に基づいて組み合わせを選ぶことが重要です。全体の一部の組み合わせで行うため、効率的な計画が可能となります。この目的のために「直交表」が活用され、少ない実験で有益な情報を得られるよう工夫されています。
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一部実施法
実験計画法における完全実施法では、異なる因子の水準の全ての組み合わせで実験を行うため、全ての次数の交互作用が推定可能な反面、実験回数が膨大になります。
そこで、高次の交互作用(通常は3因子交互作用以上)の推定をしない代わりに実験回数を減らす計画を一部実施法もしくは一部実施要因計画といいます。
一部といっても適当に選んだ一部ではなく、ある法則に基づいてきちんと選ぶのが重要です。
また、英語ではfractional factorial designといいますが、fractionalという通り、全体の何分の一かの実施になるのが普通です。
直交表はこの目的のために工夫された実験計画です。
実験計画法は、複数の因子(要因)とその水準が結果にどのような影響を与えるかを評価するための手法です。
完全実施法では、全ての因子と水準の組み合わせを網羅し、全ての交互作用を含めて実験を行います。
例えば、3つの因子がそれぞれ2水準を持つ場合、2×2×2 = 8回の実験が必要です。
しかし、因子や水準が増えると組み合わせは指数的に増え、大規模な実験が必要になるため、現実的には時間やコストの制約が生じます。
これに対して、一部実施法(fractional factorial design)は、実験回数を抑えつつ主要な情報を得るための工夫された方法です。
全ての交互作用を推定せず、特に高次の交互作用(通常は3因子以上)を省略する代わりに、一部の組み合わせだけで実験を行います。
これにより、実験規模が大幅に軽減され、効率的な分析が可能になります。
一部実施法の目的とメリット
一部実施法の目的は、少ない実験回数で有益な情報を得ることです。実験では、通常、以下のような点を重視します:
重要な主効果(各因子の単独の効果)の評価
2因子間の交互作用の把握
実験規模の削減による効率化
例えば、生産プロセスの改善や新製品の開発など、複数の因子が絡む複雑な現象を分析する際、一部実施法を用いることで時間やコストを抑えつつ、主要な効果を解析できます。
メリットとして以下の点が挙げられます:
実験回数の大幅な削減
高次の交互作用を省略することでデータ解析が簡素化される
少ないサンプル数で因子間の相互作用をある程度把握できる
適切な組み合わせの選定と直交表の役割
一部実施法では、組み合わせをランダムに選ぶのではなく、特定の法則に基づいて選ぶことが非常に重要です。
不適切な組み合わせを選んでしまうと、効果や交互作用を見逃したり、誤った結論を導きかねません。
このとき活躍するのが直交表(orthogonal array)です。
直交表は、全体の組み合わせの中から特定の条件を満たした組み合わせを選ぶために工夫された表です。
直交表を用いることで、少ない実験回数で各因子の効果をバランスよく測定できます。
直交表の活用により、主要な効果が偏ることなく適切に評価されます。
高次の交互作用の省略について
一部実施法では、通常、3因子以上の交互作用は無視します。
実験において、2因子間の交互作用までは現実の問題に大きな影響を与えることが多いですが、3因子以上の交互作用が有意になるケースは少ないためです。
これにより、実験回数を劇的に減らすことができます。
例えば、4因子それぞれが2水準を持つ完全実施法では、2? = 16回の実験が必要です。
しかし、一部実施法を用いれば、そのうちの8回程度で十分な情報が得られることが多いです。
一部実施法の活用例
以下は一部実施法が用いられる典型的な例です。
製造業における工程の最適化
生産プロセスにおいて、温度、圧力、材料の種類など、複数の因子が製品品質に影響を与える場合、一部実施法を使って少ない実験で最適な条件を見つけます。
新製品開発における効果測定
新製品の性能や顧客満足度に影響を与える要因を分析するために、主要な因子とその組み合わせを調査します。
農業試験
肥料の種類や散布量、灌漑の頻度など、農業における収量に関する因子を評価する際にも、一部実施法が活用されます。
一部実施法の限界と留意点
一部実施法には多くの利点がある一方で、いくつかの限界や注意点もあります。
交互作用の見逃しのリスク
高次の交互作用を省略するため、もし重要な交互作用が存在する場合、それを見逃してしまう可能性があります。
推定の不正確さ
実験回数が少ないため、データのばらつきや誤差の影響を受けやすく、推定が不正確になる場合があります。
特定の因子の効果を誤解する可能性
選定した組み合わせに依存するため、実際の効果が誤って評価されるリスクも存在します。
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