症例報告書の管理|【医療統計学・統計解析】
症例報告書の管理
データ入力に先立ち,回収された症例報告書について適切な管理が行われる必要があります。
適切な管理は,紛失などの危険性を回避するためだけでなく,回収された症例報告書に対して勝手な追記や改ざんなどが行われていないことを保証するためにも大切なことです。
回収された症例報告書については,症例報告書が非複写式である場合には作業用コピーを作成した後のオリジナル,複写式である場合は保管用オリジナルを直ちに鍵のかかる保管庫に入庫し,適切な管理者以外はオリジナルを持ち出せないようにすることが望ましいです。
入庫に際しては,入庫者や入庫日時などの管理情報が適切に記録に残されるようにする必要があります。
可能であるならば,症例報告書をスキャンすることにより画像ファイルとしても保管し,災害時のバックアップとして利用できる体制が構築できれば,さらによいと思われます。
画像ファイルとしての保管が可能である場合には,作業用コピーの作成や作業用複写ページが不要になる可能性もあり,コンピュータネットワークを介して必要な人が適切にアクセスして症例報告書の内容を参照することも可能になります。
非複写式の場合には修正のためにオリジナルの症例報告書を施設に持参することが一般的でしたが,修正の経緯などをはっきりさせるためにもオリジナルは保管庫から出さないようにして,修正履歴用紙を用いるようにする方がよいです。
どうしてもオリジナルを持参する必要がある場合には,保管庫からの出入庫に関する記録を残し,間違いなくオリジナルが再入庫されたことを確認するとともに,持ち出されていた間に行われた症例報告書への追記,修正箇所が明確に判別できるようにしておかなければなりません。
複写式の場合にもオリジナルを持参することは不可能ではありませんが,非複写式の場合よりも記入に際して位置合わせの手間がかかること,捺印する場合には複写分にも余計に捺印が必要となってしまうこと,切り離されているため紛失の可能性が高くなるなどの理由から,修正履歴用紙を用いることが理想的です。
当然,修正履歴用紙についても症例報告書と同様の管理が必要です。
最終的な作業用コピーあるいは作業用複写ページの取り扱いについては,標準業務手順書あるいはデータマネジメント計画書で定義をすればよいと思われますが,原則的に廃棄をして差し支えないはずです。
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