臨床データマネジメントの業務範囲【医療統計解析】

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臨床データマネジメントの業務範囲|【医療統計学・統計解析】

臨床データマネジメントの業務範囲【医療統計解析】


目次  臨床データマネジメントの業務範囲【医療統計解析】

 

 

臨床データマネジメントの業務範囲

 

実際に臨床試験を実施する場合に品質管理が必要となる業務は非常に多岐にわたり,業務を行う組織によってもその範囲は異なる.

 

残念ながら日本において臨床データマネジメントに関する具体的な参考文献は少ないのが実状であるが,データマネジメント業務としてどのような業務が考えられるかという点については,日本製薬工業協会の医薬品評価委員会/臨床評価部会/臨床試験における統計学的諸問題検討分科会から「臨床試験におけるデータマネジメント業務」が1994年に論文として公表されている.

 

この論文では,最大公約数的に臨床データマネジメント部門の関与が考えられる業務を全て取り上げており,これらの全てを実施しなければならないということではない.

 

臨床データマネジメントの業務として,極めて狭義には,症例報告書に記載された臨床試験データをコンピュータに入力し,その症例報告書とコンピュータデータとの整合性を保証するという業務範囲が考えられる.

 

日本において統計解析部門と臨床データマネジメント部門が分化していなかった時代には,施設への臨床試験データの頻繁な問い合わせ確認が困難であり,この範囲までが現実的に対応できる限界であった.

 

しかしながら,既にデータマネジメントが専門業務として明確化されている欧米などの業務範囲を参考として考えた場合,臨床試験の計画段階から参画し,臨床試験データが間違いなく症例報告書に記載されているかという確認,症例報告書に記載されている臨床試験データをコンピュータに入力してその整合性を保証するということまでが基本的な業務範囲であると言え,日本でも臨床データマネジメント部門が分化して以降はこのような業務範囲が定義されていることが一般的になっていると思われる.

 

これは,言葉にすれば簡単なように思えるが,実際には非常に広範囲に多くの業務と関連を保ちながら行わなければならない業務であり,求められる知識も広い範囲にわたる.

 

具体的には,医薬品の臨床開発に関する基本的な知識, GCPや関連諸規制,臨床医学,生物統計,コンピュータを使用するためのIT (Information Technology)などというようなことを理解しておく必要がある.

 

 

また,求められるスキルとしては,一定の基準やルールを構築できる能力や正確性はもちろんのことであるが,あまりに重箱の隅をつつくようなことにならないように本質を見抜き大局的なバランスを取れる能力や,多くの人々と関わりながら行われるべきものであるため,コミュニケーションやコーディネーションに関する能力が非常に大きな意味を持つ.

 

症例報告書に記載された臨床試験データを確認するということを考えると,後追い的なイメージを持たれるかもしれないが,事前に症例報告書への記入方法を統一化できるように工夫をこらすなどの努力をしておかなければ,本質的な品質管理を行うことはできない.

 

臨床担当部門が症例報告書の作成を行っているケースもあるようだが,臨床データマネジメント部門が臨床試験の早期の段階から積極的に参画すべきである.

 

このように,臨床データマネジメント部門は臨床担当部門,統計解析部門,情報処理部門などといった,いくつもの部門と共同で業務を行わなければならないため,業務範囲は曖昧になりやすい.

 

当然,企業や団体における組織,人員構成というものは異なるため実際の業務範囲にばらつきはあると思われるが,本質的には臨床試験データを管理して,品質管理および品質保証を実施する部分がその業務範囲であると言えよう.

 

逆に言えば,このような業務を司っているために,臨床データマネジメントと呼ばれるのである.

 

 

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