データマネジメント計画書|【医療統計学・統計解析】
データマネジメント計画書
ISO9001で求められている文書のうち,品質基準を規定するものは次の二つであり,品質方針および品質目標は品質マニュアルに記載されていてもよい.
・文書化した,品質方針及び品質目標の表明
・品質マニュアル(Quality Manual)
そして,品質マニュアルはISO 9001で次のような内容の記載が求められている.
・品質マネジメントシステムの適用範囲.除外がある場合には,その詳細と正当とする理由
・品質マネジメントシステムについて確立されだ‘文書化された手順”,またはそれらを参照
できる情報
・品質マネジメントシステムのプロセス間の相互関係に関する記述
臨床データマネジメントに関して,これらを定める文書が標準業務手順書(SOP ;Standard Operational Procedure)である.
このため,臨床データマネジメントのプロセスバリデーションは,標準業務手順書に対して実施され,プロセスとしての妥当性を保証することになる.
現実には,標準業務手順書で全ての手順や品質基準を定めることも不可能ではないとは思われるが,臨床試験ごとに求められる固有の事項も多く,全ての臨床試験について一元的に規定することは困難であると思われる.
このため,標準業務手順書には普遍的な手順を記載するに留め,その臨床試験に固有の事項を含めた詳細かつ具体的な手順や品質基準についてはデータマネジメント計画書(DMP:Data Management Plan)に記載するほうが現実的であろう.
このような場合には,データマネジメント計画書と標準業務手順書を併せてプロセスとしての妥当性を保証することになる.
上記のような考えに基づけば,一般的に標準業務手順書には,次に示すような内容を記載し,業務プロセスを明確に示す必要がある.
・データマネジメントの方針,目的
・データマネジメントの対象範囲
・データマネジメントの業務プロセス
また,データマネジメント計画書には,次に示すような内容を記載する必要がある.
もちろん,これらのうちで既に標準業務手順書において記載されている内容と同一の項目について,改めて記載する必要はない.
・データ処理を行うシステムの概略
・データペース構造などのメタデータ
・データコーディングルール
・データ読み替えルールと医師などへの確認手順
・データ入力,修正の手順
・データレビューの手順
・期待されるデータレベル
・具体的なチェック内容
・問い合わせなどの手順
・データ固定の手順
・開鍵(キー・ブレーク/キー・オープン)の手順
・許容エラー率,許容エラー率不達成の場合の対応手順
データマネジメント計画書のフォーマットに関する規定はないが,各人が好きなようにデータマネジメント計画書を作成していたのでは,品質管理の目的で作成される文書としては不適切である.
このため,上記の項目を含めたテンプレート(雛形)を予め用意しておき,このテンプレートに基づいてデータマネジメント計画書を作成するようにすべきである.
また,データマネジメント計画書は一度作成されたら二度と変更が許されないという文書ではない.
むしろ具体的なチェック内容などについては,必要に応じて改訂され,関係者全てに周知徹底されなければならないものである.
関連記事