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ISO9000シリーズ

品質保証の実現を考えた場合に国際的な標準として引き合いに出されることが多いのがISO（アイ・エス・オー）9000シリーズとして知られている品質マネジメントシステムである.

ISO 9000では，品質管理を「品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメントの一部」，品質保証を「品質要求事項が満たされるという確信を与えることに焦点を合わせた品質マネジメント」と定義している．

さらに，品質マネジメントとは「品質に関して組織を指揮し，管理するための調整された活動」であり，マネジメントシステムとは「方針及び目標を定め，その目標を達成するためのシステム」としている。

すなわち，品質マネジメントシステムとは品質管理そのものだけではなく，品質管理を行う体制を含めた「品質を向上させるための経営の仕組み」のことであり，「品質に関して組織を指揮し，管理するためのマネジメントシステム」として定義されている。

ISO9000シリーズは1987年３月に国際標準化機構によって制定された品質保証のための国際規格で，2000年に改訂され，プロセスとしての取り組みや使用しやすい規格とすることなどを目的として，当初の５つの規格から次の３つの規格に変更されている．

･ ISO9000
･ ISO9001
･ ISO9004

さらに, ISO19011 (Guidelines on quality and/or environmental management systems auditing)が監査の手引きを提供している.

ISO9000ではトップマネジメントが用いることができる品質マネジメントの原則として，次のような８つの事項を挙げている．

･顧客重視
･リーダーシップ
･人々の参画
･プロセスアプローチ
･マネジメントへのシステムアプローチ
･継続的改善
･意思決定への事実に基づくアプローチ
･供給者との互恵関係

近頃，企業などでの品質に対する責任感の欠如による事件が増えてきているが，まさしく組織における品質管理というものは現場だけの問題ではなく，組織としてトップマネジメントの理解と支持がなければ実現できないものであることを示している．

臨床試験データマネジメントも一種の保険のようなものであり，品質を管理して問題を起こさないようにすることが目的である．

このため，必要性がトップマネジメントには理解されていないことが多かったが，本当に品質を向上させようと思えば，トップマネジメントに認識を改めてもらい積極的な支持を受ける必要がある．

一般的に顧客が購入する製品の品質保証を考えた場合，不良品は交換してもらえる，あるいは故障時に修理を行ってもらえるということではなく，最初から完全な製品が入手できるか否かということが大切なことである．

さらに，偶然に完全な製品として製造されたものが入手できたとしても安心して使用できるものではない．

すなわち，単に出荷前に製品検査が行われていることだけでは不十分であり，供給者に対して製品の品質規格だけでなく，製造プロセスと品質管理体制までも含めて，所定の品質を確保するための品質システムの構築を要求することになる．

そこで，ISO9000シリーズでは「文書化」，「トレーサビリティ（追跡可能性）」，「監査」を求めており，組織における品質についての方針を定めて品質にかかわる各人の責任と権限を明確にした上で，品質システムを品質マニュアルとして文書化し，実際に間違いなく品質マニュアルが実行されていることを記録することにより証明するとともに，顧客の要求する品質を確保していることをいつでも示すことができるようにしているということが求められる．

これを臨床データマネジメントに当てはめて考えた場合には「臨床試験データの品質を確かなものにするためには読み合わせなどによる最終確認だけでは不十分であり，品質基準だけでなく，症例報告書の作成プロセスやデータ入力などのプロセスと品質管理体制までも含めて，所定の品質を確保するための臨床試験データ管理体制の構築を行う」ということになる.

ISO9000シリーズは業種，規模の大小，製品に関係なく適用することができ，審査登録機関に申請し審査を受けて合格すれば認定を受けることができる．

ただし，年に一度の定期審査（サーベイランス）と３年ごとの更新が必要である．

最近では，組織の品質マネジメントシステムへの適合能力を示すことや，顧客満足の向上，企業イメージの向上などを目的として認定を受ける組織が非常に増えている．

実際に医療機関において治験を対象としたISO9000取得への取り組みが始まっている．

ISO9000シリーズは、品質マネジメントシステムの国際規格として1987年に国際標準化機構（ISO）によって制定され、品質管理および品質保証を実現するための標準的な枠組みを提供しています。このシリーズはISO9000、ISO9001、ISO9004の3つの主要規格で構成され、品質に関する指揮や管理を行うためのマネジメントシステムを構築することを目的としています。具体的には、品質管理とは「品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメントの一部」、品質保証は「品質要求事項が満たされるという確信を与えることに焦点を合わせた品質マネジメント」と定義されており、さらに品質マネジメントとは「品質に関して組織を指揮し、管理するための調整された活動」とされます。また、マネジメントシステムは「方針および目標を定め、その目標を達成するためのシステム」として説明されており、これらの概念を統合した枠組みが品質マネジメントシステムとしてのISO9000シリーズの基盤となっています。ISO9000シリーズの制定以来、企業や組織が品質向上を目指すための基準として広く利用されており、2000年には規格の改訂が行われ、プロセスとしての取り組みや実用性の向上が図られました。これにより、当初の5つの規格はISO9000、ISO9001、ISO9004の3つに統合され、さらに品質管理や環境管理システム監査に関する手引きを提供するISO19011が追加されました。このシリーズの重要な特徴の一つは、文書化、トレーサビリティ（追跡可能性）、および監査の重視にあります。組織における品質方針を定め、品質に関わる各人の責任と権限を明確化し、その上で品質システムを品質マニュアルとして文書化することが求められます。この文書化された品質マニュアルが正確に実行されていることを記録し、これを通じて顧客の要求する品質が確保されていることをいつでも証明できる体制が必要です。さらに、ISO9000シリーズでは、トップマネジメントの役割が特に重要視されています。組織の品質管理や保証は現場だけの問題ではなく、トップマネジメントの理解と支持がなければ実現できません。実際、近年では品質に対する責任感の欠如による問題が多発しており、これは品質管理が組織全体の課題であることを示しています。トップマネジメントが積極的に関与し、品質向上に向けたリーダーシップを発揮することで、品質マネジメントシステムが有効に機能し、組織全体の品質向上が達成されるのです。ISO9000シリーズでは、トップマネジメントが用いることができる品質マネジメントの原則として、顧客重視、リーダーシップ、人々の参画、プロセスアプローチ、システムアプローチ、継続的改善、意思決定への事実に基づくアプローチ、供給者との互恵関係の8つが挙げられています。これらの原則は、組織の品質マネジメントを支える基本的な考え方であり、品質向上を目指すすべての組織に適用可能です。さらに、ISO9000シリーズは業種や規模の大小、製品の種類に関わらず適用できる柔軟性を持ち、審査登録機関に申請して審査を受け、合格すれば認定を受けることができます。ただし、認定を維持するためには、年に一度の定期審査（サーベイランス）と3年ごとの更新が必要です。この仕組みにより、認定を受けた組織は継続的に品質を管理し、改善することが求められます。ISO9000シリーズは、単なる製品検査だけでは不十分であることを明確にしています。品質保証は、製品そのものだけでなく、製造プロセスや品質管理体制を含めた包括的な取り組みが必要であり、所定の品質を確保するためのシステムの構築が求められます。この考え方は、臨床試験データマネジメントにも適用することができます。臨床試験においても、単に最終確認を行うだけでは不十分であり、症例報告書の作成プロセスやデータ入力プロセス、品質管理体制を含めたデータ管理体制の構築が必要です。ISO9000シリーズは、その適用が顧客満足の向上や企業イメージの向上などの効果をもたらすため、近年では多くの組織が認定を取得しています。特に医療機関においては、治験を対象としたISO9000認定の取り組みが始まっており、医療分野における品質向上の一助となっています。組織がISO9000シリーズの規格を導入することで、顧客やステークホルダーに対して信頼性を高めるとともに、内部の業務効率や品質管理能力の向上を図ることが可能となります。さらに、ISO9000シリーズが求める文書化や記録の保存は、将来的な問題発生時の追跡や改善のための重要な基盤を提供します。このように、ISO9000シリーズは単なる品質管理の枠を超え、組織の経営全体を品質を中心に再構築するための有力なツールとして機能しています。これにより、組織は品質において競争力を高め、顧客満足度を向上させると同時に、内部業務の透明性と効率性を向上させることが期待されます。このような包括的な品質マネジメントの枠組みが、ISO9000シリーズを国際的な標準としての地位に押し上げ、多くの組織にとって不可欠な存在としています。