観察研究の意義【統計解析講義応用】

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観察研究の意義|【統計学・統計解析講義応用】

観察研究の意義【統計解析講義応用】


目次  観察研究の意義【統計解析講義応用】

 

 

観察研究の意義

 

観察研究が必要とされる場合にランダム化研究をデザインしようとすること

 

ランダム化比較試験に代わる方法として観察研究について考察することは,科学的な観点からランダム化比較試験のメリットとデメリットの本質を理解することにつながる.

 

仮に,20代前半に経口避妊薬の服用を開始した女性において,経口避妊薬の乳がん発症リスクへの影響を30年にわたって研究したいとする.

 

科学的な観点からすると,この疑問に答えるための理想的な方法は,臨床試験を用いることだといえるだろう.

 

研究者は.試験に参加した女性を治療群またはプラセボ群にランダムに割付け,前向きに30年問追跡調査し,どの群でより多くの乳がん発症がみられるかを観察するだろう.

 

そのような研究は,多くの倫理的な問題を提起し,また,少なくとも初回妊娠後は,割付けられた治療に関する被験者と研究者の盲検化は不可能であるため,実施困難であることもわかるだろう.

 

倫理的,実際的な観点からすると,いくつかの問題に取り組む最善の方法は,観察研究を用いることであろう.

 

コホート研究の例を示そう.女性たちは,20代前半にある種の経口避妊薬を服用するかどうかを決め,そして,研究者は,誰が乳がんを発症するかを観察するために,30年にわたって前向きかつ長期的に彼女たちを単に追跡調査する,ということになる.

 

経口避妊薬を服用することを選んだ女性の群と選ばなかった女性の群で,系統的な違いがあるかどうかについては考慮する必要があるだろう.

 

ケースコントロール研究では,研究者は,50代の女性のうち乳がんを発症した人の群と発症していない人の群を設定し,どの女性が経口避妊薬を服用していたのかを確認するため,また,他のどんな生活の事象が乳がん発症のリスクに影響を与える可能性があるのかを探索するために,後ろ向きに過去について詳しく調べることになる.

 

研究対象となった女性たちが.20代前半に経口避妊薬の服用を開始した女性たちのもとの集団をどの程度反映しているのかについては,考察する必要があるだろう.
また,他の危険因子について十分に把握していたか.試験に参加した全女性のすべての危険因子に関してデータが確実に収集されていたかについても検討する必要があるだろう.

 

50代の女性から標本抽出することによって,50歳になる前に死亡した女性にみられるような早期の,侵攻性のがんを逃している可能性があるので,すべてのタイプの乳がんには結果を一般化することはできないということは,認識しておかなければならないだろう.

 

横断研究では,研究者は50代の女性から標本を収集すると同時に.避妊薬の使用と乳がんの発症に関して女性たちを分類することになる.

 

この場合も先ほどと同様に,得られた標本を用いることで,20代前半に避妊薬の使用を開始した女性たちのもとの集団をどの程度推測できるのかについては,考察する必要があるだろう.

 

観察研究がどんなに良く計画されたものであっても.適用可能性や未知の危険因子に関する疑問は生じてくるだろう.

 

現在は30年前と比べて様々な経口避妊薬,機器,用量が用いられているが,以前の研究が今日の20代前半の女性と彼女たちの将来の健康に光を当てることはできるのだろうか.

 

研究結果に影響を与える可能性のある未知の危険因子や測定不能な危険因子はあるだろうか.

 

観察研究では.我々がコントロールできるのは既知で測定された変数だけである.

 

 

観察研究の意義

 

観察研究は,臨床研究において有益な選択肢であり,前に実施されているものでもあり,後に続くものでもある.

 

集団における疾患の自然史や程度を図表にするために用いられるかもしれない.

 

効果の予備的なエビデンスが得られるという点で有益であり,倫理的,実際的に容認されるものは,適切にデザインされたランダム化比較試験で後に詳しく研究することができる.

 

ランダム化比較試験の結果が公表された後に,集団における経時的な変化を追跡調査するために用いられることもあるだろう.

 

すべての研究に欠点はある.

 

観察研究は,危険因子と反応との関連性の探索のみに用いることができ.単独では因果関係を証明することはできない,という科学的な面での欠点がある.

 

そのことは,観察研究の重要性を損なうものではない.

 

ある臨床の研究者たちには,観察研究は容易なものにみえるかもしれない.それは誤りである.

 

優れた観察研究を実施することは難しい.

 

観察研究は,コントロールされた実験ではないため,多くの因子が全被験者で同時に変化している可能性がある.

 

そのため,多様で変化する可能性のある方法で,非常に正確に,データのわずかな変化も見逃さないような頻度で,多くの因子を測定することが要求される.

 

どんなデータも見落とすことはできず,すべてについて常に同様の方法で測定する必要がある.

 

測定しないことを知ることはできないが,すべてのことを測定することもできない.

 

実験的な研究を行う研究者は同様のことをするはずであるが,因果関係を見つけ出し,未測定の因子が群間でバランスがとれていることを保証するためには,単一の介入とランダム化に頼るべきである.

 

優れた観察研究は,研究においても臨床的にも極めて価値のあるものである,

 

ある1つの症例報告が新たな疾患の発見につながるかもしれないし,また別の報告が治療法につながったり,その疾患に最もリスクのある集団に重点的に取り組むという道筋につながったりするかもしれない.

 

大規模な調査をせずに,大きな集団の評価をすることはできないし,それらの過去の状態と未来の状態を比較することもできない.

 

倫理的または実現可能性の面でランダム化研究では調べることができないような関連性の多くは,観察研究以外の方法では研究することができない.

 

これらの研究方法は,ヒトを対象とした研究に適しているが,獣医,農学者,警察官などによっても用いられる.

 

優れた観察研究は,医学,公衆衛生,政策.そして規制の判断に知見を与えるものとして不可欠なものである.

 

 

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