
最尤推定法【統計学講義応用】
最尤推定法(maximum likelihood (ML) method)
最尤推定法(maximum likelihood (ML) method)は、数学的モデルの中のパラメータを推定するために統計学者が発明したいくつかの方法の一つです。
よく知られた他の方法としては最小二乗法(least squares)(LS)による推定法があり、これはほとんどの統計学の入門コースの中で古典的な直線または多重線型回帰モデル(multiple linear regression model)のパラメータを推定する方法として述べられています。
最尤法による推定と最小二乗法による推定とは異なった方法ですが、従属変数が正規分布をとると仮定されるとき、古典的な線形回帰分析では同じ結果をとることになります。
必要となる複雑な計算を行うことが可能なコンピュータソフトがなかったために、最尤法による推定は長い間広く用いられていませんでした。
しかし、近年では最尤法のプログラムが広く手に入るようになりました。
さらに、最小二乗法に比べて、最尤法は線形モデルだけでなく、複雑な非線形モデルにも応用可能です。
特にロジスティック回帰モデルは非線形モデルなので、最尤法はロジスティック回帰分析での推定法として好まれています。
最尤推定法のためのコンピュータプログラムが可能となるまで、ロジスティックモデルでは判別関数法(discriminant function analysis)が用いられていましたが本質的には最小二乗法であることが統計学者によって示されています。
モデルのパラメータについて統計的推論を行うには、モデルの独立変数が正規分布をとるという限定的な仮定が必要になります。
特に、独立変数のいずれかが性質上2値変数またはカテゴリー変数の場合、判別関数法では偏った結果が得られる傾向があり、通常推定されたオッズ比は大きすぎる値となります。
一方、最尤法では、独立変数の性質についてとんな制限も必要としません。そのため最尤推定を用いてる場合には、独立変数を名義、順序、あるいは間隔変数として使用することが可能です。
その結果、ロジスティックモデルをあてはめるのに最尤推定が判別関数分析よりも好まれるのです。
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