脳イメージングでの燻製ニシン【統計解析講義応用】

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脳イメージングでの燻製ニシン|【統計学・統計解析講義応用】

脳イメージングでの燻製ニシン【統計解析講義応用】


目次  脳イメージングでの燻製ニシン【統計解析講義応用】

 

 

脳イメージングでの燻製ニシン

 

神経科学者はfMRIで研究を実施するときに,膨大な回数の比較をする。

 

そうした研究では,被験者が何らかの課題をする前とした後に,脳の3次元イメージが撮影される。

 

撮影されたイメージは脳内の血液の流れを示し,さまざまな課題をするときに脳のどの部分が一番活発になるのかを明らかにする。

 

どうやって脳の領域で活発な場所を精確に判断するのだろうか。

 

単純な方法として,脳のイメージをボクセル(voxel)と呼ばれる小さな立方体に分割するものがある。

 

課題実施前と実施後とでイメージのボクセルを比較して血流の差異が有意だったとしたら,脳のその部分が課題に関わっているという結論を出すことができる。

 

ここで問題となるのが,比較するボクセルが何千とあるために,偽陽性が出る可能性が非常に高くなってしまうことだ。

 

例えば,ある研究では「自由回答メンタライジング課題」が参加者に及ぼす効果が調査された。

 

被験者は「特定の感情価を有する社会的状況における個人を描写したー連の写真」を見せられ,「写真の中の人はどのような感情を感じているはずかを判断する」ことが求められた。

 

この試験をしている間は,脳の感情・論理に関するさまざまな中枢部分が明るくなることが想像されるだろう。

 

データが分析され,課題実施中に脳のいくつかの領域で活動が変化することが分かった。

 

イメージを比較することで,「メンタライジング課題」の前と後とで,脳内の81立方ミリメートルのとあるかたまりにp=0.001の違いがあることが示された。

 

研究に参加した人はいつもとは違って,参加で10ドルがもらえる大学の学部生ではない。

 

被験者は3.8ポンド(およそ1.72キログラム)のタイセイヨウサケで,「スキャンをした時は生きていなかった」ものだ。

 

神経学者は,しばしば, p<0.005という厳格な閾値でもなお有意となるボクセルが10個以上のかたまりになっていることを必須とすることで,この種の問題を抑えようとしている。

 

だが,1回の脳のスキャンで何万個ものボクセルを見ることになるので,そうしても偽陽性はほとんど確実に現れる。

 

ボンフェローニ法のような,何千回もの統計的仮説検定を実施した場合でも偽陽性率を抑える手法は,今では神経科学の文献において広く行われている。

 

死んだサケの実験で示されたような深刻な誤りを犯している論文はほとんどない。
しかし,
不幸なことに,ほとんどすべての論文が,独自の方法でこの問題に対処している。

 

241個のfMRIの研究に対して行われた検討によれば,統計的手法・データ収集方針・多重比較の補正方法の組み合わせが207種類に及んでいたという。

 

このことによって,研究者は,統計的に有意な結果を出すために大きな融通性を得ることになる。

 

偽発見率の統制

 

ボンフェローニ法の欠点として,実験の検定力を大幅に下げてしまうことがある。

 

このことによって,真の効果を発見できない可能性が高くなる。

 

実は,ボンフェローニ法よりも洗練された方法が存在している。

 

ただし,こうした方法は検定力への影響は少ないが,特効薬ではない。

 

しかも,こうした手法は基準率の誤りの苦労から解放してくれない。

 

pの閾値にまどわされて,「間違っている可能性は5%しかない」と誤って主張してしまうことはありえる。

 

ボンフェローニ法のような手法は,偽陽性をいくつか消すのに役立つだけのものにすぎない。

 

科学者がもっと興味を持っているのは,偽発見率の統制だ。

 

つまり,統計的に有意な結果が偽陽性である割合の統制だ。

 

ガン治療の例では,統計的に有意だった結果のうち,優に3分の1が偶然で,偽発見率は38%だった。

 

もちろん,どれだけの薬が本当に効果があったのかが分かったのは,あらかじめその数を言ったからに他ならない。

 

一般的には,検定の対象となった仮説のうち,いくつが真であるかを知ることができない。

 

山勘で偽発見率を求めることはできるだろうが,理想を言えば,データから偽発見率を知りたいところだろう。

 

 

1995年,ヨアヴ・ベンジャミーニとヨセフ・ホッホペルクが,どのp直を統計的に有意だと考えるべきかについて見分けるための非常に簡単な方法を考案した。

 

今まで数学的に詳しいことは触れないでいたが,この手続きがどれほど簡単かを示すために,数学的な話を述べようと思う。

 

具体的には以下のとおりになる。

 

1.統計的検定を行い,それぞれの検定についてp値を求めよう。そして,p値のリストを作って昇順に並べよう。

 

2.偽発見率を選んで,それを9としよう。そして,統計的検定の数をmと呼ぶことにしよう。

 

3.p≦iq/mとなるようなp値のうち最大のものを見つけよう。ただし,iは並び替えられたリストの中で,p値が何番目に位置するかを示すものとする。

 

4.そのp値とそれより小さいp値を統計的に有意であると見なす。

 

できた! この手続きは,すべての統計的に有意な結果のうち,平均してq%を超えて偽陽性になることはないということを保証する。

 

この手法は直感的なものだと思う。

 

もし偽発見率を小さくしたい(qが小さくなる)か,比較をたくさんする(mが大きくなる)のならば,pの閾値は保守的なものになるのだ。

 

このベンジャミーニ=ホッホベルク法(Benjamini-Hochberg procedure)は高速かつ有用で,統計学者と科学者に広く用いられてきた。

 

この手法は,遺伝子と病気の間の関係を見るといった何百個もの仮説のうちほとんどが偽だと想定される状況に特に適している(大多数の遺伝子は特定の病気に対して何の関係もない)。

 

通常,この手法は,ボンフェローニ法に比べて検定力が良い。

 

しかも偽発見率は,偽陽性率よりも解釈しやすいのだ。

 

p<0.05は結果が偽である確率が5%であることと同じではないことを覚えておこう。

 

もし複数の仮説を検定したり,多数の変数の間の相関を探し求めていたりするのならば,偽陽性が過剰になるのを抑えるために,ボンフェローニ法やベンジャミーニ=ホッホベルク法といった手法(あるいはそこから派生した手法や改良された手法)を使おう。

 

もし神経イメージングのように,自分の研究分野で日常的に複数の検定を行うようであれば,データをうまく扱うために特別に開発された実践と技法のうち最も良いものを学ぼう。

 

(マンモグラフィーの例で見たように)与えられた結果が偽陽性である確率を計算するために,基準率の事前推定をすることを学ぼう。

 

 

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