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統計学におけるサンプルサイズの設計【統計解析講義基礎】 | 統計解析 - Python・R・エクセルを使った講義で最速マスター

統計学におけるサンプルサイズの設計【統計解析講義基礎】

統計学におけるサンプルサイズの設計【統計解析講義基礎】


統計学におけるサンプルサイズの設計【統計解析講義基礎】

 

目次  統計学におけるサンプルサイズの設計【統計解析講義基礎】

 

差があることを言うのにはサンプルサイズ(N)が必要

 

実験計画法のなかで、標本の大きさ(サンプルサイズ)を設定することはとても大切です。

 

例えば、動物(ラット)にあるガンマグロブリン製剤を投与したときに、血中ヘモグロビン量が変化するかどうか、を検討するために実験を行い、以下の結果が得られたとします(単位:mg/mL)。

 

対照群 158 151 151 150 148 157

 

投薬群 143 133 147 144 151 158

 

さて、これら2群について(独立2群、不等分散を仮定した)t検定を実施したところ、

 

p=0.1298

 

という値が得られ、有意差がないので、ガンマグロブリン製剤の投与はヘモグロビン量に影響を及ぼさないと考えられる、と結論しました。

 

この結論は正しいでしょうか。

 

確かにt検定の方法自体は正しいし、検定結果が有意差なし、というのも正しいです。

 

問題はその次です。

 

「製剤の投与はヘモグロビン量に影響を及ぼさない」

 

果たしてここまで言っても良いでしょうか。

 

ここで帰無仮説と対立仮説を整理します。

 

帰無仮説:製剤投与群と対照群の間でヘモグロビン量に差がない

 

対立仮説:製剤投与群と対照群の間でヘモグロビン量に差がある

 

仮説検定の考え方を復習すると、差がないという帰無仮説を否定して、対立仮説を受け入れます。

 

対立仮説が本当に正しければ、帰無仮説を棄却し対立仮説を採択するのは正しい判断になります。

 

しかしながら、対立仮説が正しいにも関わらず、この例のように、帰無仮説が棄却できないので対立仮説を採択できない場合があります。

 

ここは重要ですが、あくまで「対立仮説を採択できない」というだけのことであって、「対立仮説を否定」することはできないのです。

 

つまり、有意差がつかなかったからといって差がないとまで言うのは言いすぎということになります。

 

実際このグロブリン製剤は、血中ヘモグロビン量を下げることで有名な製剤で、下げるのは自明(正しい)のこととなっています。

 

おそらく、サンプルサイズが不足しているので有意差がつかなかたったのではないかと考えられます。

 

さて、ではどのようにして適切なサンプルサイズを決めたらよいのでしょうか。

 

サンプルサイズの設計

 

先ずは、誤った判断をしてしまう確率をはじめから設定することです。手順は以下の通り。

 

@帰無仮説が正しいのに対立仮説を採択する(差があるとしてしまう)こと(第1種の過誤:α)を設定する。通常はα=0.05

 

A差がある(対立仮説が正しい)にもかかわらず差がないとみなしてしまう確率(第2種の過誤:βといいます)を設定する。通常はβ=0.2。逆に1−βは差があるのを正しく差があると検出する確率で、検出力といいます。通常0.8に設定します。

 

B実施した予備実験のエフェクトサイズ(ES)を計算する。ESとは、2群の差を2群の共通の標準偏差で割った値です。ESが大きいほど効果が大きいという意味です。
Cこれらの値をもとに、サンプルサイズを計算します。

 

計算式で示すと以下です。

 

統計学におけるサンプルサイズの設計【統計解析講義基礎】

 

詳細は割愛しますが、要はα=0.05、β=0.2、ES=δ/σが決まれば、nが決まるということです。

 

先の動物実験の例に戻りますが、

 

結局、この実験を検証のための最終実験ではなく、サンプルサイズ決定のための予備実験とみなす、というのが正しいわけです。

 

以下計算例ですが、α=0.05、β=0.2、エフェクトサイズが予備実験の結果0.987と計算されましたので、必要なサンプルサイズは一群あたり18と見積もることができました。

 

特別なソフトを使わなくても、マイクロソフトエクセルで簡単に計算することができます。

 

統計学におけるサンプルサイズの設計【統計解析講義基礎】

 

サンプルサイズの設計は実験計画上重要です。

 

第一種の過誤、第二種の過誤の確率を設定し、エフェクトサイズを予備実験から計算することで、最適サンプルサイズを推定することができます。

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