偏差値の統計学【統計解析コラム】

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偏差値の統計学|【統計学・統計解析コラム】

偏差値の統計学【統計解析コラム】
偏差値は、テストの得点などを相対的に評価する指標で、例えば平均点に対する位置を示します。得点を偏差値に変換すると、他の受験者との比較が容易になります。正規化しない偏差値(Z得点)は平均が50で、得点の高低がわかります。正規偏差値(T得点)は中央値が50で、パーセンタイル順位と対応し、合格可能性の推測や必要な得点の予想に役立ちます。ただし、異なるテストや受験者集団では比較が難しいので注意が必要です。

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目次  偏差値の統計学【統計解析コラム】

 

 

偏差値とは、テストの得点などを、相対評価のために変換した指標です。

 

例えば、100点満点のテストにおける80点は、相対的に高い得点といえるでしょうが、もし平均が70点ならば平均より上ですが、もし平均が85点ならば平均より下となります。

 

また、もし平均が60点でも、大半の受験者が50点から70点までであるならば、80点はかなり上の得点といえますが、90点や100点をとった人が多ければ、80点はそれほど上とはいえません。

 

テストの得点に限らず、相対評価を行いたいときは、その得点を偏差値にすると便利です。

 

偏差値には2種類あります。一方は、正規化しない偏差値またはZ得点とよばれ、他方は正規偏差値またはT得点とよばれます。

 

関連記事:標準得点【統計解析講義応用】

 

正規化しない偏差値

 

得点を正規化しない偏差値に直すと、得点が平均に等しければ偏差値は50となります。

 

60、70、80という偏差値はそれぞれ、得点が平均よりかなり高い、非常に高い、きわめて高いことを意味し、40、30、20という偏差値はそれぞれ得点が平均よりかなり低い、非常に低い、きわめて低いことを意味します。

 

正規化しない偏差値は次のようにして求められます。

 

偏差値(Z)=50+10×(得点−平均)/標準偏差

 

例えば、平均が65、標準偏差が12のテストでは、80点の偏差値は、

 

Z=50+10×(80−65)/12=62.5 となります。

 

このテストにおける80点は、平均よりかなり高い得点といえます。

 

正規化しない偏差値の度数分布は、得点の度数分布と同じ形になります。

 

そのため、偏差値を見ても、その得点が上位何%の順位にあたるのかを知ることはできません。

 

受験者集団の中の相対的な位置を知りたい場合には、正規偏差値を用います。

 

 

正規偏差値

 

得点を正規偏差値に直すと、得点が中央値に等しければ偏差値はほぼ50となります。

 

60、70、80という偏差値はそれぞれ、かなり上位、非常に上位、きわめて上位ことを意味し、40、30、20という偏差値はそれぞれ得点が平均よりかなり下位、非常に下位、きわめて下位であることを意味します。

 

正規偏差値は次のようにして求められます。

 

偏差値(T)=50+10×NORMSINV((1つ下までの点数+その得点の人数/2)/全人数)

 

NORMSINVは標準正規分布の累積分布関数の逆関数と呼ばれますが、Excel関数となっており簡単に計算できます。

 

例えば、0点から79点までの人数が291人、80点の人数が5人、全受験者数が300人だった場合、80点の偏差値は、

 

T=50+10×NORMSINV((291+5/2)/300)=70.2

 

となり、このテストにおける80点は、非常に上位の得点といえます。

 

ちなみに、(1つ下の点までの人数+その得点の人数の半分)÷全人数×100 は、パーセンタイル順位になります。

 

パーセンタイル順位とは、パーセントで表現した、その得点より低い得点の受験者の割合です。

 

パーセンタイル順位と正規偏差値とは1対1に対応し、その関係は以下の表のようになります。

 

受験における偏差値

 

受験競争が激化する現代社会において、多くの学生や受験生が得点や成績の基準を把握し、それに基づいて自身の合格可能性を見極めることは非常に重要です。

 

特に、高校入試模試や大学入試模試など、全県や全国規模で行われる試験では、正確な評価が求められます。こうした模試では、受験者数が非常に多く、得点の度数分布が左右対称の釣鐘状になることがよくあります。

 

このような場合、正規化しない偏差値と正規偏差値はほぼ同じ値となります。

 

正規化しない偏差値とは、得点の分布が正規分布に従っている場合に、その分布における個々の得点の位置を示す値です。

 

一方、正規偏差値は、平均点を基準として、個々の得点を標準偏差の単位で表したものです。

 

これらの偏差値を用いることで、受験生は自身の得点や成績を客観的に評価し、合格への道筋を見出すことができます。

 

例えば、「成績が上位○○%ならば××高校に合格できるだろう」という上からのパーセンタイルを使った表現は、「上位○○%」の部分を正規偏差値に言い換えることができます。

 

これによって、受験生は自身の正規偏差値を把握することで、目指す学校や大学の合格可能性をより具体的に見積もることができます。

 

ただし、偏差値を活用する際には注意が必要です。偏差値はあくまで受験者の集団に依存するため、異なる科目や異なる模試の受験者の偏差値を単純に比較することはできません。

 

各テストの受験者集団や難易度の違いを考慮して、適切な解釈と比較を行う必要があります。

 

また、模試の得点や偏差値はあくまで一つの指標であり、学生の実力や適性を完全に表すものではありません。

 

そのため、受験生は自身の実力や志望校の条件、進路に関する総合的な判断を行うことが重要です。

 

受験戦争が激化する中、偏差値は受験生やその家族にとって重要な情報源となっています。

 

多くの場合、受験生は自身の得点や成績を偏差値に変換し、志望校や進路決定に役立てます。

 

また、受験生が目指す学校や大学の合格率や難易度を把握し、目標に向かって努力するためのモチベーションとなることも少なくありません。

 

こうした偏差値の活用は、教育界や受験指導の分野でも注目されています。

 

一部の塾や予備校では、偏差値を用いたカリキュラムや学習支援システムが導入されており、受験生の学習効果を最大化するための取り組みが行われています。

 

また、教育政策の立案や学校の評価においても、偏差値が重要な指標として活用されています。

 

偏差値を通じて、学校や地域の教育水準や学力の偏りを把握し、適切な施策や支援を行うことが可能となります。

 

一方で、偏差値には批判もあります。偏差値が過剰に強調されることで、受験生やその家族が過度な競争やストレスにさらされることが懸念されています。

 

また、偏差値によって学校や受験生が単純にランキングされることで、個々の学力や人間性を適切に評価することが難しくなるという指摘もあります。

 

偏差値を活用する際には、こうした側面も考慮し、個々の受験生の状況や能力に合った適切な指導やサポートが行われることが重要です。

 

また、偏差値を単なる競争や順位付けのツールとして捉えるのではなく、教育の質の向上や受験生のモチベーションの向上に活用することが大切です。

 

 

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