確率の加法定理と乗法定理|少なくとも一方が起る確率・同時に起る確率【統計学・統計解析講義基礎】
AかBの少なくとも一方が起る確率は、各々の確率を単純に足せばよい(加法定理)。AとBが同時に起る確率は、Aの起る確率に、Aが起きたときにBの起る確率を掛ければよい(乗法定理)
くじを2回引いて当たる確率
商店街のくじの抽選、いわゆるガラポン抽選で当たったことはありますか。
一等が当たれば運がいいですが、多くの場合、4等かはずれで、なかなか一等は当たらないものです。
さて、この抽選ですが、当たりくじを引く、つまり当たる確率が40%であるとします。
このくじを2回引くと、当たる確率は2倍の80%になるでしょうか。
もしそうだとすると、3回引けば当たる確率は3倍の120%となり、必ず当たりくじを引くことができると計算上はなります。
しかし、それはちょっと考えにくいです。3回引いても運が悪いとすべてはずれ、ということもあり得ますからね。
「2回引いたとき当たる」とは何を意味しているのでしょう。
これを「2回までに当たりくじを引く」と考えてみることにします。
すると、次の2つに分類されます。
@1回目に当たる。この確率は0.4
A1回目に当たらず2回目に当たる。この確率は0.6×0.4=0.24
さて、@とAは、一方が起れば他方は起りません。
「2回までに当たりくじを引く」確率は、@とAを足して0.64となります。つまり、64%であり、80%とはなりません。
確率の加法定理と乗法定理
確率の計算では、次の2つの定理が基本になります。
(1)2つの事柄AとBがあり、一方が起れば他方は起らないものとします。
このとき、AかBの少なくとも一方が起る確率は、各々の確率を単純に足せばよいのです。これを確率の加法定理といいます。
(2)2つの事柄AとBがあるとき、AとBが同時に起る確率は、Aの起る確率に、Aが起きたときにBの起る確率を掛ければよいのです。
これを確率の乗法定理といいます。
つまり、2回ともはずれの確率は、0.6×0.6=0.36となります。
したがって、少なくとも一方が起る確率は、1−0.36=0.64 と考えてもよいわけです。