研究の基本要素【統計解析講義応用】

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研究の基本要素|【統計学・統計解析講義応用】

研究の基本要素【統計解析講義応用】


目次  研究の基本要素【統計解析講義応用】

 

 

研究の基本要素

 

現象,概念,および構成概念

 

研究は,だいたいにおいて明確な現象よりもむしろ抽象的現象に焦点をあてる.

 

たとえば,痛み,コーピング,悲嘆,回復などはすべて,人間の行動や特質のうちのある特定の様相の抽象概念である.

 

こうした抽象概念を概念(concept),または質的研究では現象(phenomenon)という.

 

研究者,とくに量的研究者は構成概念(construct)という用語ももちいる.

 

概念と同じく,構成概念も,状況や行動から推論された抽象もしくは心象を指す.

 

カーリンガーとリー〔Kerlingcr & Lee, 2000〕は構成概念を概念と区別して,構成概念とは研究者によって特定の目的のために意図的かつ系統的に考案(または構成)された抽象概念をいうと述べている,

 

たとえば,オレム(Orem)の健康維持のモデルにおけるセルフケアは構成概念である.

 

構成概念と概念という2つの用語は同義語としてもちいられることがあるが,慣例的に,構成概念は概念よりもより複雑な抽象概念を指す傾向にある.

 

理論と概念モデル

 

理論(theory)とは,現実のある側面についての,系統的,抽象的な説明である.

 

理論において概念は,世界のある側而を記述もしくは説明する一貫した体系へとまとめあげられる.

 

理論は,質的研究と量的研究の両方において役割を果たす.

 

量的研究においては,研究者はしばしば理論,枠組み(framework),または概念モデル(conceptual model)から着手する.

 

研究者は,理論に基づいて,仮にこの理論が真実ならば,現実世界において現象がどのように作用するかということを予測する.

 

いいかえれば,研究者は,一般的な理論から経験的に検証し特定の予測を生みだすために,演繹的推理をもちいる.理論を排除し,修正し,または理論を裏づけるために研究の結果をもちいる.

 

量的研究では,理論をさまざまな方法でもちいることができる〔Sandelowski, 1993〕.

 

概念枠組みまたは感受概念の枠組み(sensitizing framework)

 

さまざまな学問分野または質的研究の伝統に由来する枠組みであるが,これは,研究に刺激を与えることもあれば,明瞭な概念的基盤をもった,1つの特定の方向性をもつ世界観を示すこともある.

 

こうした研究では,枠組みは,研究者が集めた情報を解釈する助けとなろう.

 

他の質的研究では,理論は研究の産物である.

 

調査研究者は,参加者の体験にしっかりと根ざした理論を開発するための基礎として,参加者の情報を帰納的にもちいる.

 

参加者からの情報は,研究者が概念化を開始し,研究者と参加者の相互作用から生まれるパターンや共通性,関係性を説明しようとする出発点となる.

 

こうした研究の目標は,あらかじめ考えているようにではなく,現実に起こっているものとして,現象を説明する理論に到達することである.

 

質的研究から帰納的に生みだされた理論は,ときに,量的研究による,よりコントロールされた立証へと委ねられる.

 

変数

 

量的研究では,通常,概念は変数(variable)を意味する.

 

その名称が示唆しているように,変数は変化する何かである.

 

体重,不安レベル,収入,体温などはすべて,変数である(つまり,これらの属性はいずれも1人ひとり異なっている).

 

研究者にとっては,人間やその環境のほとんどすべての側面が変数である.

 

たとえば,もし誰もが,150ポンドの体重であったならば,体重は変数ではない.

 

もし雨が降り続け,戸外の温度がいつも70°Fであるとすると,天候は変数ではなく,定数(constant)である.

 

しかし,研究が行われるのは,まさに,人や状況が変化するためである.

 

ほとんどの量的研究者は,事象が変化する仕方や変化する理由を理解すること,ある変数の変化が他の変数の変化にどのように関係しているかを知ることをめざしている.

 

たとえば,肺がんの研究では,肺がんという変数に関心が向けられる.

 

すべての人が肺がんではないので,それは1つの変数となる.

 

研究者はどんな変数が肺がんに結びついているかを研究し,喫煙が肺がんに関連していることを発見した.

 

すべての肺がんの人が喫煙しているわけではないので,喫煙もまた1つの変数である.

 

すなわち,変数とは変化するまたは異なった値を呈する人やグループ,状況のなんらかの特性である.

 

変数は,量的研究の中心となる基本的要素である.次に述べるように,変数にはさまざまな種類がある.

 

 

連続変数,離散変数,カテゴリー変数

 

ときに,変数は広い範囲にわたった値をとる.たとえば,年齢を年月であらわすならば,0から100を超す値をとり,その値は整数とはかぎらない.

 

こうした連続変数(continuous variable)は1つの連続体上にあらわせる数値をとる.

 

理論上は,連続変数は2つの地点のあいだにある無限の数値と仮定される.

 

たとえば,体重という連続変数を考えてみよう.

 

1ポンドと2ポンドのあいだには1.005, 1.7, 1.33333など,数値が無限である.

 

対照的に,離散変数(discrete variable)は,どの2つの点のあいだをとっても,ある有限な数値をもつ変数で,離散量をあらわす.

 

たとえば,仮に何人の子どもがいるかを尋ねられたなら,0,1,2, 3,またはそれ以上の数を答えるであろう.

 

1.5のような数値は意味をなさないため,子どもの数の値は離散値である.1と3の数値のあいだで唯一とりうる数値は2である.

 

変数によっては,本来,量をあらわさない狭い範囲の値をとるものもある.

 

たとえば,性の変数は,2つだけ(男性と女性)である.ほんのわずかな非量化的な離散値しかとらない変数は,カテゴリー変数(categorical variable)である.

 

もう1つの例は血液型(A型,B型,AB型,0型)である.

 

カテゴリー変数が,2つの値のみをとる場合,2値変数(dichotomous variable ; 二分変数)ということもある.

 

2値変数のいくつかの例としては,妊娠している/していない,VV陽性/HIV陰性,生存している/死亡している,などがある.

 

能動変数(アクティブ変数)と属性変数

 

変数は,年齢,健康に関する信念,体重などの,研究対象の特性をあらわしていることが多い.

 

このような変数は,属性変数(attribute variable)である.

 

しかし,多くの研究状況において,研究者は1つの変数をつくる.

 

たとえば,研究者が,手術後の疼痛緩和のためには,筋肉注射と患者管理無痛法のどちらが有効かを検証することに関心をもった場合,ある患者は患者管理無痛法を受け,ある患者は筋肉注射を受けることになる.

 

この研究では,患者によって受ける無痛法が異なるので,疼痛管理法が変数となる.

 

カーリンガーとりー〔Kerlinger& Lee, 2000〕は,能動変数(active variable)として研究者がっくる変数について述べている.

 

ある研究で能動変数であったものが,他の研究では属性変数となりうることに注意しなくてはならない.

 

たとえば,2つのグループに塩分摂取量の異なる食生活をしてもらい,塩分摂取という能動変数をつくる研究者がいる.

 

その一方で,人々の塩分消費について尋ね,その標本について塩分摂取という属性変数を調べる研究者もいるだろう.

 

従属変数と独立変数

 

多くの研究は,現象の原因を解明したり理解することを目的としている.

 

看護介入は,病気の回復をより早める原因となるだろうか.喫煙は肺がんの原因になるだろうか.仮定された原因を独立変数(independent variable)といい,一方,仮定された影響を従属変数(dependent variable)という.

 

〔独立変数ではなく基準変数(criterion variable)という用語を使う研究者がいることを留意しなくてはならない.介入結果を分析する研究では,通常,介入の成功を評価する基準を設定する必要がある.そこから基準変数という用語が生まれた.研究成果をとらえる変数という意味で,従属変数の代わりに成果変数(outcome variable)という用語を使う者もいる.しかし,従属変数という用語のほうが一般的であり,ここではこの用語をもちいる〕.

 

従属変数の変動は独立変数の変動に左右されると仮定される.

 

たとえば,研究者は肺がん(従属変数)が喫煙(独立変数)にどの程度左右されるかを調査する.

 

あるいはまた,調査研究者は,患者の痛みの知覚(従属変数)がさまざまな看護行為(独立変数)によってどの程度左右されるかに関心をもつこともあろう.

 

独立変数と従属変数という用語は,因果関係よりもむしろ影響の方向性を示すのにもちいられる.

 

たとえば,研究者が認知障害の高齢者をケアしている介護者の行動を研究し,患者の年齢が高いほど,介護者がもちいるソーシャル・タッチ(social touch)が少ない,というように,患者の年齢と介護者のソーシャル・タッチの利用とは関連することが明らかになったと仮定する.

 

だからといって,研究者は,患者の年齢が高くなることが原因で,介護者のソーシャル・タッチが減っているとは結論づけないだろう.

 

しかし,影響の方向性は年齢からタッチへと向かっている.

 

介護者のソーシャル・タッチが患者の年齢に影響を与えるなどということは論外である! 

 

この例では,研究者は因果関係は推測しないが,ソーシャル・タッチを従属変数とし,年齢を独立変数として概念的に説明することは適切である.

 

なぜなら,研究者が理解し,説明し,予想したいと考えているのは,介護者のソーシャル・タッチだからである.

 

看護研究者が研究する従属変数の多くは,多様な原因や先行事象をもっている.

 

たとえば,人間の体重に影響する因子の研究に関心がある場合,独立変数として個人の身長,身体活動,食生活を考慮するだろう.

 

複数の従属変数に研究者が関心をよせることもある.

 

たとえば,研究者が嚢胞性線維症の子どもに対する2つの看護ケア方法の有効性を比較することに関心をもったとしよう.

 

入院期間,呼吸器感染の再発回数,咳嗽の有無などのいくつかの従属変数が,治療の有効性の測定のための基準としてもちいられる.

 

要するに,多様な独立変数と従属変数をもちいて研究をデザインするのは,きわめて一般的なやり方なのである.

 

変数というのはもともと従属か独立かに決められているわけではない.

 

ある研究で従属変数に分類されている変数が,他の研究では独立変数と考えられていることもある.

 

たとえば,望まない出産(従属変数)に対する,ナースによる受胎調節カウンセリング(独立変数)の影響を調べる研究ができよう.

 

別の研究では,児童虐待発生率(従属変数)に対する望まない出産(独立変数)の影響を調べることもあろう.

 

要するに,変数を独立変数とするか従属変数とするかは,特定の研究でその変数が果たす役割によるのである.

 

独立変数と従属変数の例

 

ヴァルダとベンク〔Varda & Behnke, 2000〕は,初回沐浴のタイミングが新生児の体温に与える影響を研究した.

 

独立変数は新生児の初回沐浴のタイミング(分娩後1時間と2時間)であった.

 

従属変数は腋窩体温であった.

 

 

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