臨床研究における倫理的配慮の歴史【統計解析講義応用】

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臨床研究における倫理的配慮の歴史|【統計学・統計解析講義応用】

臨床研究における倫理的配慮の歴史【統計解析講義応用】


目次  臨床研究における倫理的配慮の歴史【統計解析講義応用】

 

 

臨床研究における倫理的配慮の歴史

 

個人の便益

 

何百年もの間,研究は散発的に行われてきた.ほとんどの治療は実験的であったため,実験と治療の区別する基準はほとんどなく,医学的介入の効果を示す体系的な証拠は稀であった.

 

実験的治療は病気の患者に便益を与えることを期待して用いられた.

 

しかし,そのような「治療(therapy)」は頻繁に罹患率や死亡率に貢献したか,その原因となった.ほとんどの研究者は医師(medical practitioner)であり,患者にとって最善であると考えたことを行うことで動機付けられ,正しいことを行っていると信じていた.

 

研究の実施を管理する特別な倫理規定,法律,規制(regulation)もなかったので.不正行為や権力の濫用は,同僚の検閲によって最小限に抑えられていた.

 

米国における1906年のPure food and Drug Act (純正食品・医薬品法)などの初期の規制は,薬のラペルに根拠のない主張を禁止した.

 

しかし,ペニシリンやその他の初期の抗生物質の開発と,製品を市場に出す前に安全性の証拠を必要とする1938年のFood, Drug, and Cosmetic Act (食品・医薬品・化粧品法)の通過後に研究が事業として成長し始めた.

 

社会の便益

 

第二次世界大戦の頃,製薬会社が企業として設立され,研究の驚異的な発展とともに,臨床研究において劇的な変化があった.

 

巨額の公的,私的資金が研究に投じられ,そして,研究はますます集中型となり,組織化され,方法の標準化がなされ,評価されるようになった.

 

ヒトを対象とした研究は.「あからさまな功利主義の段階(unashamedly utilitarian phase)」に入った.彼らが利用できて,因われた人で,そしておそらく重要と考えられなかったため,個人は,研究にしばしば含まれた.
しかし,彼らは社会貢献していると考えられていた.

 

感染症が軍隊にとっての大きな問題であったため,連邦政府と製薬会社は兵士を救うために,感染症のためのワクチンや抗生物質を開発するための集中的な研究努力を支持した.

 

この時代において,刑務所や孤児院,感情的・精神的に障害のある人々のための収容施設,その他の強制入院させられた人々に対して実施される研究は稀ではなかった.

 

研究と治療の問には明確な区別が存在した.

 

必ずしも治療が必要でない被験者が,社会貢献のために個人的に負担を受け入れているというわけではなかった.

 

功利主義の正当化は,一部の個人がより大きな公益のために使用することができるという主張の基礎として用いられた.

 

ナチスの医学実験や職争犯罪の暴露は,ヒトを対象とした研究の正当化と範囲に対する懸念を引き起こした.

 

 

研究被験者の保護

 

米国では1960年代後半と1970年代前半には,ヒト被験者の虐待のニュースでの衝撃や恐怖が端緒となって,厳しい科学的あるいは公的な監視がなされるようになり,反省が促され,加えてヒトを対象とする研究の制限について議論されるようになった.

 

有名なハーバード大学の麻酔科医であるHenry Beecher は. 1966年のNEJMに画期的な論文を発表し,米国内の名声の高い施設で行われた22の調査研究の倫理について問題視した.

 

Willowbrook州立学校(ニューヨーク)におけるB型肝炎研究,米国公衆衛生局のタスキギー梅毒研究やその他の報告と議論はすべて,激しい公衆の注目と関心をもたらした.

 

米国連邦議会の公聴会と採決によって1974年にはNational Research Act (国家研究条例,PL93-348)が通過し. U.S. National Commission for the Protection of Human Subjects of Biomedical and Behavioral Research (生物医学・行動研究の被験者保護のための国家委員会)の設立に至った.

 

この非常に影響力のある組織により,子どもを用いた研究や,IRB (Institutional Review Board)に関する報告を含み,臨床試験に関する多くの報告や勧告が記された.
ヒトを対象とした研究とその応用の実施法の基礎をなしている倫理的原則を解釈しているBelmont Report (ベルモンド・レポート)は,その遺産に含まれる.

 

IRBの仕事は,研究に参加する個人を,潜在する搾取と危害から保護する必要性を強調し. 1981年にUSCFR (U.S. Code of Federal Regulations, 米国連邦規則集). CFR 「Protection of Human Subjects」(ヒト被験者の保護)」と題され,成文化された後の連邦条例の基礎を提供することであった.

 

1991年に,これらの規制は現在のCommon Rule (コモンリレール)となり,米国連邦機関が資金を助成しているヒトを対象とした研究の実施を管理している.

 

これらの連邦政府規則と多くの既存の研究倫理綱領の主要な主旨は,研究による負担や害から被験者を保護し続けている.

 

便益としての研究

 

1980年代後半と1990年代の出来事は,臨床研究に対していくつかの公衆の観点を変えた.

 

特定の極めて明瞭な意見を述べる行動主義者は,単に危害から保護されるよりもむしろ,研究への参加が,個人がアクセスしたいと望む便益をもたらす可能性があると主張した.

 

この観点によると,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と乳がんの行動主義者によって支持されるように,とりわけ研究への参加は便益であり,反対に保護主義は差別(discrimination)であり,そして研究からの除外は不公平(unjust)であるとしている.

 

実証研究(empirical study)は,例えば,臨床研究に参加したがん患者が生存率の改善を通じて便益を得ることを証明した。

 

その頃行動主義と研究に関する公衆の意見の変化は,研究の実施方法の実質的な変化につながり,薬が承認された.

 

研究参加による便益の可能性に加えて,伝統的に集団を代表することが少ない集団は,研究を通して得られる知識の適用による便益を与えられていないという主張もある.

 

1994年以来. NIH (U.S. National Institutes of Health)は,研究資金の助成を受ける人達に,伝統的に集団を代表することが少なかった女性や少数民族を研究に含めなければならないことを義務づけた1998年以来. NIHガイドラインは,研究に子どもを含めることの重要性を強調している.

 

研究におけるコミュニティの関与

 

近年の遺伝子研究と国際共同研究の発展は,特に大きなコミュニティ関与の価値を強調している.

 

臨床研究はなにもないところから生じることはなく,関与したコミュニティの支援と投資を必要とする共同の社会的活助である.

 

臨床研究は,コミュニティに内在するリスクと潜在的な便益に付随している.したがって,

 

(1)研究の優先事項を設定するのを支援する際に

 

(2)研究を計画し,承認する際に

 

(3)試験中または試験後のリスクと便益を評価する際に

 

(4)被験者のリクルート,インフォームド・コンセントとコミュニティの便益の実現という過程でコミュニティが研究に関与することは,研究がコミュニティを尊重していることを証明し,研究の成功を導きやすくする.

 

 

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