NIH内研究プログラムの臨床研究における利益相反の防止

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NIH内研究プログラムの臨床研究における利益相反の防止


目次  NIH内研究プログラムの臨床研究における利益相反の防止

 

 

NIH内研究プログラムの臨床研究における利益相反の防止

 

新たに制定されたNIHの利益相反防止規則の基本原則は. NIH職員は報酬を受けて関連団体等に関わってはならないということであり,関係団体等には,製薬企業,バイオテク企業,医療サービス機関やその代理人が含まれる.

 

この規則によって,NIHの研究者が「2人の主人に仕えている」と思われないようにすることができる.

 

すなわち,一方では企業から報酬を受け取り,他方ではその製品に関する臨床研究は政府から拠出された資金により行われているということが起こらないようにしている.

 

また,研究者自身以外でも身近な家族は,関係が強い企業から株またはその他の資産を受け取ったり,役員の地位についたりすることも禁止されている.

 

臨床試験プロトコールの表紙に名前が載るような臨床研究者は,関係が深い企業・団体等に資産をどの程度有しているか報告しなければならない.

 

もし,企業・団体等が,研究者が関与するプロトコールにおける試験対象の製品に経済的な利害関係があるならば,研究者は,そのような企業・団体等に関連して所有している持株を手放すよう求められる.

 

政府の規則では,1社当たり最高で15,000ドルまで保有することができることになっているが, NIHのガイドラインでは,高額な株式を所有している研究者は,そのような株式所有によって利益相反があるとみなされてしまうことに配慮しなければならないことを指摘している.

 

プロトコールに記載されているあらゆる研究代表者(principal investigator, PI)は,「NIHにおけるヒトを対象とする研究で利益相反を防ぐためのガイド(Guide to Preventing Conflicts of Interest in Human Subjects Research at the NIH)」について,施設内のプロトコールに関わるすべての研究者に対して通知する責任がある.

 

この文書は,なぜこのガイドが必要なのか,また. NIHにとってどのような利益相反が重要であるのかを定義している.

 

さらに,禁止されている経済的およびそれ以外の利益相反の実例を示している.

 

強調すべきことは,これらの具体的な禁止事項は,問題の特定の臨床プロトコール下で実施した研究に関連し,臨床研究者とIRBの委員の両方に適用される.

 

ひとたび利益相反のないことが確認されれば.プロトコールはIRBの審査に諮ることができる.

 

NIH職員ではない外部の共同研究者も同じ要件に従うことが期待されている.

 

このガイドは, NIH内研究者のための重要な問題を扱っている.

 

新しい発見を報告することは.連邦技術移転法(Federal Technology Transfer Act :FTTA)に基づくNIH内研究者の法的責任である.

 

NIHは,そのような発見に対して特許権を申請することができる.

 

このような発見に基づいて,臨床研究プロジェクトが開始されることがある.

 

このような発見をした研究者がそのようなプロジェクトに参画することは,禁止されてはいないが. NIHやNIHの研究者が臨床研究に関連してロイヤリティ(特許の使用料)を受け取ることとなっているか否かという点について, IRBと試験に参加する被験者に対して.十分な開示を行う必要がある.

 

また,そのような試験に関しては,当該施設の臨床部長(Clinical Director, CD)や効果安全性評価委員会(Data Safety and Monitoring Board. DSMB)による結果の確認を含めて,監督を強化する必要がある.

 

IRB委員による利益相反の防止

 

IRBやDSMBのメンバーも,審議における利益相反のないことが求められる.

 

各プロトコールの審議の開始時点で,議長は審議メンバーに対して.利益相反がある者は退出するように求める.

 

各メンバーが相反関係にある利害とはどのようなものであるかを理解していることを確認するために「NIHにおけるヒトを対象とする研究で利益相反を防ぐためのガイド(Guide to Preventing Conflict of Interest in Human Subjects Research at the NIH)」のコピーが配布される.

 

倫理的臨床研究の追求は, NIH内プログラムおよび他の場所での臨床研究者のための最も重要な任務の1つである.

 

誰もが今以上にこの任務をより困難にすることを望まない.

 

しかし,我々が関わる研究においては,利益相反がないこと,あるいは利益相反の存在を疑われないことを保証する必要がある.

 

利益相反を規定する連邦規則や「NIHにおけるヒトを対象とする研究で利益相反を防ぐためのガイド」は,そのような状況を防ぐのに役立つ.

 

NIHにおけるヒトを対象とする研究で経済的および非経済的な利益相反を防ぐためのガイドがある。

 

経済的または他の利益相反を避けることは. NIHにとって重要であり,被験者を保護すると同時に被験者から信頼を得ることは,公衆衛生向上という我々の使命を遂行する上で極めて重要である.

 

この分野にはたくさんの複雑な法令があるため,どのような状況で利益相反,あるいは利益相反の存在が疑われるような状況が起こりうるのかを知り,それに対して何をすれば良いのかがわかりにくくなっている.

 

このガイドは,臨床研究に携わる人々やNIHのIRB委員が経済的または他の利益相反,あるいは利益相反の存在が疑われるような状況を回避する際の手助けとなるべく作成されたものである.

 

 

臨床研究に携わる人々にどのような利益相反が起こりうるか

 

すべての臨床研究者には,大事な義務がある.

 

義務には,健康や医療を推進するための知識を得ることや,被験者の安全や健康を保護することなどを挙げることができる.

 

臨床研究者にも個人的な関心(personal interest)あるいは副次的な関心(secondary interest)があり,その中には,研修生を指導したり,家族を養ったり,収入を得ることが含まれるかもしれない.

 

このような副次的関心それ自体は,非倫理的ではないものの,状況によっては,上述した義務に関する判断を損なったり,あるいは損なうと見なされてしまうような可能性をはらんでいる.

 

これらの副次的な関心が判断を損なう,または損なうように思われる場合に,副次的な関心と主要な関心(primary interest)との間に相反関係が存在することになりる.

 

このガイドは,経済的および他の利益相反を特定し,防止・軽減するための情報を提供することによって,研究の公正性と被験者の安全性の両方を確保するものである.

 

ガイドは誰に適用されるか

 

本ガイドで論じる制約は. NIH職員に適用される法令に基づいている.

 

臨床試験プロトコールの策定,実施.解析に実質的に関与するNIH職員は,プロトコールの表紙に研究者や主要研究スタッフとして記されるべきである(試験には,診断を目的としたものも治療を目的としたものも両方含まれる).

 

それゆえ, NIHの研究者は,以下に述べる規則に従う必要がある.

 

言い換えれば,被験者の募集,同意取得.予期せぬ事象の検討・報告やデータ解析に関わる人は,研究者とみなされ,その中には.研究コーディネーターも含まれる.

 

また,当該規則は. NIH職員であって,NIHのIRBやDsMBに関係する人も対象となる.

 

NIH職員以外の人が主要研究スタッフやIRBやDSMBのメンバーとして関わる場合にも,本ガイドを読み,これらの規則に従うことが期待されている.

 

プロトコールに名前が掲載される研究者は. NIHの職員であるなしにかかわらず,本ガイドを受領し,様式第1195号にサインすることとする.

 

NIH職貝以外であっても,利益相反,あるいは利益相反の存在が疑われるような状況が起こりうる可能性に留意するとともに,PIとそのような可能性について話し合い,保証書にサインして利益相反がない旨の意思表示を行わなければならない.

 

NIHでは, NIH職員以外の研究者に対し,所属する研究所や雇用者が定める倫理・利益相反規定や手続きに従うよう求める.

 

 

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