研究を行う環境|【統計学・統計解析講義応用】
研究を行う環境
ヘルスケア施設,家庭,教室など,さまざまな場で研究を行うことができる.
研究者は研究設問の性格や,その設問への取り組みに必要な情報の種類によって,どこで研究を行うかを決める.
一般的にいって,場(site)とは,研究のための全般的な場所を指す.
それはコミュニティ全体(例:マイアミのハイチ人居住区)のこともあれば,コミュニティのなかの施設(例:ボストンの病院)のこともある.
研究者は多点研究(multisite study)を行うことがある.
複数の場所を使うと,研究参加者の数が増えると同時に,標本が多様になるからである.
たとえば,新しい看護介入の研究では,公立病院と民間病院,都市と地方,の両方で研究者は介入を実施しようとする場合がある.
環境(setting ; 設定環境,場面,セッティング)は,データを収集する,より特定の場所である.
選んだ場が大きな病院であり,情報をもっぱらその環境のなかでのみ収集するときのように,環境と場が同じこともある.
しかし,場がより大きなコミュニティの場合,研究者は養護施設とかホームレス・シェルターなどのように,どこでデータを収集するべきかを決めなくてはならない.
環境の性格が,人々の行動や感情,設問への反応に影響するので,適切な環境を選ぶことが重要である.
家庭や職場など自然な環境(naturalistic setting)「フィールド」での研究がある.
質的研究者は,参加者の体験のコンテクストを研究することに関心があるので,綿密な質的研究はとくに自然な環境ですることが多い.
研究者が情報を収集するためにフィールドに入るとき,彼らはフィールドワーク(field work)を行う.
質的研究では,フィールドワークが終わるまでに何か月も,ときには何年もかかることがある.
質的フィールドワークでは,ある場(例:家庭や会合など)を選び,そこで複数の場面における参加者を研究することが多い.
対極として,かなりコントロールされた実験室環境(laboratory setting)で研究することもある.
この環境には,手の込んだ科学的装置が装備されていることもあれば,ないこともある.実験室環境では,人間についての研究も人間以外の研究も行う.
看護研究者は,病院や類似の施設など,ある程度に自然な環境で研究することが多い.
これらは(参加者がナースやヘルスケア職員でないかぎり)参加者にとって自然な環境であるとはかぎらないが,高度に人工的でコントロールされた研究実験室ということでもない.
自然な環境での研究例
カーライスル〔Carlisle, 2000〕は,HIV/AIDS患者の非公式な(制度によらない)介護者が介護体験の意味を探るということについて研究した.
研究者は,介護者の家庭やHIV/AIDSボランティア組織で,介護者から詳しい情報を収集した.
実験室環境での研究例
ピアスとクランシー〔Pierce & Clancy, 2001〕は,麻酔をかけたラットで.低酸素状態が横隔膜運動へどのように影響するかを研究した.
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