共変量とサブグループの理解|【統計学・統計解析講義応用】
共変量とサブグループの理解
治療への異なる反応が異なる患者の異なるタイプにみられるかどうかについての臨床医と患者の飽くなき好奇心により,ベースライン特性に応じた試験結果の解析は必須となる.
伝統的に,この質問は,サブグループ解析を用いて検討されている.
サブグループ解析では,1つずつとられるベースライン特性(年齢,性別,体重等)に応じて治療効果が推定される.
このアプローチは,偽陽性を生む仕組みと呼ばれているが,ただ偽陰性を生む結果としてだけも引用されるかもしれない.
偽陽性は多重比較の問題から生じる.
有意な差は,偶然のみによって,たとえ治療効果が全くなくても20サブグループに少なくとも1つはみられる.
1980年に, Leeら68が1,073人の集団を2つの仮想的な治療群にランダムに分割し(治療は実際には同じものだった). 0.05未満のp値を有する,サブグループにおける生存率の違いを見つけた.
同時に,重要な治療効果を示すために多くの患者が必要な場合,その集団をサブループに分けることにより.真の差の検出力は顕著に減少する.
均等に男性と女性を分けた集団において死亡率を15%減少させる治療(治療効果のp値0.03)を考える.
もし治療効果が男性と女性で同一であるならば,各群は半々に分かれているため.各サブグループのおおよそのp値は0.06である.
全集団において治療が有効であるが男性と女性では有効でないと結論づけることは明らかに間違っている.
より適切で保守的な方法は,試験の主要評価項目に関して結果を予測する統計モデルを開発し,一般的な予後モデルの効果を調整後,治療効果を各共変量の効果として評価することである.
この解析方法は,治療と共変量の交互作用解析として知られ,もし決定的な差が観察されない場合,治療効果は調査しているサブグループの中で均質であることを仮定している.
このアプローチの例として. PRAISE試験(Prospective Randomized Amlodipine Survival Evaluation Trial)がある.
PRAISE試験では,特発性拡張型心筋症の患者では,アムロジピン(amlodipine)治療による死亡率の減少が観察されたが,虚血性心筋症の患者では観察されなかった.
この事例は,ランダム化の際に層別されるほど,サブグループが事前規定されていたため.特に興味深い.
しかしながら,層別の理由は,試験計画者が,アムロジピンは心血管疾患をもたない患者には効果がないと予測したためである.
しかし,反対のことが起こった.試験実施者は,責任をもって,検証二次試験(confirmatory second trial)を実施した.
完了したフォローアップ試験(PRAISE-2)では,特発性拡張型心筋症群の特別な効果は再現されなかった.
BARI試験において,事後解析により,糖尿病の治療を施した患者におけるバイパス術の有意な効果がみられたが,他の患者にはみられなかった.
この解析は,試験が登録を始まる前は特定されておらず,ランダム化の際に層別されていなかった.
しかし,急性血行再建術の試験において上げられたデータ懸念に基づいて,安全性モニタリング委員会はこの問題の解析を要求していた.
その後の試験では,手術が糖尿病や冠動脈疾患の患者において,特にシグナルを示すことが確認された。
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