統計学における実験計画法:フィッシャーの3原則【実験計画法の統計解析】

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統計学における実験計画法:フィッシャーの3原則|【実験計画法の統計学・統計解析】

統計学における実験計画法:フィッシャーの3原則【実験計画法の統計解析】
実験計画法は、データをどのように収集するかの方法論であり、大学では習うことはありませんが、統計学では非常に重要です。この学習を怠ると、誤った実験計画でデータを収集してしまい、後で解析が難しくなり、最悪の場合、実験をやり直す必要が生じることがあります。フィッシャーの3原則は、現代統計学の父とされ、実験計画法の重要な原則として知られています。彼が考案した有名な紅茶の実験では、ランダム化と反復が示されています。また、局所管理も重要であり、交絡因子を制御する方法として利用されます。

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目次  統計学における実験計画法:フィッシャーの3原則【実験計画法の統計解析】

 

統計学における実験計画法:フィッシャーの3原則

 

実験計画法は、データをどのようにして集めるかの方法論で、大学では習わないですが、統計学ではとても重要です。

 

ここの学習を怠ると、間違った実験計画でデータを集めてしまうので、後の解析で苦労し、最悪の場合実験をやりなおすことになりかねないのです。

 

フィッシャーの3原則

 

フィッシャー(1890-1962)は現代統計学の父といわれている人です。

 

フィッシャーの考案した実験に「紅茶の実験」と呼ばれる有名な実験があります。

 

A:紅茶に後からミルクを入れてつくったミルクティ

 

B:ミルクに、後から紅茶を入れてつくったミルクティ

 

AとBの味の違いが見分けられるといったある婦人の見解を証明するため、婦人を目隠しして5杯のミルクティを用意し、これらがそれぞれAかBかを当てさせるというのがこの実験の主旨です。

 

反復とランダム化

 

1回では、まぐれでも当たる確率は0.5です。2回に1回はまぐれで当たってしまうので、これはよろしくありません。

 

実験は、反復する、繰り返すことが大切です。

 

したがって、フィッシャーは紅茶の数を5杯に設定しました。

 

次に、5回の実験におけるAとBの割付けはランダム、つまり無作為にしなければいけません。

 

たとえばABAABとか、BBABAとかに割り付けます。この割付けを例えば4杯までで、

 

@BBBB

 

AABAB

 

のように割り付けたらどうでしょう。@の場合5杯目はB、Aの場合5杯目はAと予想しやすくならないでしょうか。

 

このように割付けにはクセ(系統誤差ともいう)があってはいけません。

 

反復すればよいというものではなく、「ランダムに反復する」ことが大切です。

 

ランダムに反復して割付ければ、どう割付けたかは婦人には当然わかりません。まぐれで当たる確率は、1/2の5乗=0.03125 で、5%以下です。

 

結果として婦人は見事に5杯のミルクティがAかBかをストレートで一発的中させることができたといわれています。

 

5杯ともまぐれで当たる可能性は5%以下と極めて小さいことから、婦人の見解が正しいとする主張を成立させることとなったのです。

 

有意水準を5%に設定することの根拠はこの実験が端を発しているといわれています。

 

 

局所管理

 

さて次に、血圧を下げる薬(降圧薬)をAさんとBさんが服用する場合を想定しましょう。

 

Aさん 1錠服用 血圧が5mmHg低下

 

Bさん 2錠服用 血圧が10mmHg低下

 

この実験から、2錠飲んだ方が1錠よりも効く、と結論づけられるでしょうか。

 

答えはNO、つまり、これだけの情報から、「2錠飲んだ方が効く」と結論づけることはできません。

 

なぜなら、AさんとBさんは背景が異なるからです。

 

もしかしたら、10mmHgも下がったのは、BさんがAさんに比べ降圧薬が効きやすい体質だからかもしれません。

 

また、薬を飲んだ日のBさんは体調が悪かったために効いたのかもしれません。

 

つまり「飲む量」と「飲んだ人」という2つの因子が混在しているため、結果の解釈が正しくできなくなってしまっているのです。

 

このような現象を「交絡」と言います。そして「飲んだ人」のように解釈を歪めてしまう因子のことを「交絡因子」と言います。

 

実験計画を正しく立案するためには、このような交絡因子をなくさなければいけません。

 

では、どうすれば交絡は除去できるのでしょうか。

 

そこで、次のような実験デザインを考えてみました。

 

1日目1錠Aさん
1日目2錠Bさん
2日目1錠Bさん
2日目2錠Aさん

 

このように1日目と2日目で飲むパターンを交互に違えて実験をすることにより、AさんもBさんも1錠の場合と2錠の場合をそれぞれ1回ずつ経験することになります。

 

それでもやはり2錠飲んだ方が、2人とも10mmHg低下するのであれば、「多く飲んだ方が血圧を下げるのではないか」と考えることができます。

 

このように、1日目と2日目で飲むパターンを逆にすることにより、飲む人の違いという交絡因子の影響を断ち切ることができます。これは局所(ブロック)管理という手法です。

 

この例ではそれぞれの日(1日目、2日目)が「ブロック」に当たり、ブロックごとに飲むパターンを逆にするのがコツです。

 

実験計画法の元祖フィッシャーは、英国ロザムステッド農業試験場の研究員で、農地で作物を栽培する際の、日当たりや水はけ、肥料の量など、さまざまな交絡因子を局所管理により調整した実験計画を考案していました。

 

実験計画法において、フィッシャーの3原則(@反復、Aランダム化、B局所管理)は最も重要です。

 

 

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