偏回帰係数【多変量解析】

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偏回帰係数|【多変量解析・統計学・統計解析】

偏回帰係数【多変量解析】


目次  偏回帰係数【多変量解析】

 

 

偏回帰係数

 

すでに述べたように,回帰係数は重み。つまり乗数であり,重回帰方程式から得られるものである。素点と標準化得点のどちらについても算出されるし,素点も標準化得点のどちらにも偏回帰係数がある。

 

偏回帰係数(素点でも標準化スコアでも)は,分析において他のすべての変数が統計的に統制されたときに,ある予測変数の一単位あたりの変化が,基準変数にどの程度変化を起こすかということを表していると解釈できる。

 

係数の符号が示すのは,変化の方向性である。つまり,例2における自律性の援助の素点における係数(0.048)は,一般的に,他のすべての変数が統制されたときにほとんど影響せず,自律性援助のスコアが1.0上昇したら1986のGPAを0.048だけ上げることを意味する。

 

この結果からわかることは,もし実験的に統制して一定状態にする,つまり学生の年齢,性別,家族構成,社会経済的地位,これまでの学業成績を統制し,自律性の援助に対する親のサポートが10ポイント変化しても他の2つの親の養育態度がそのままであるようなことがあれば. GPAは少なくとも0.5ポイント改良されることが期待される(10×0.048 = 0.48,つまり2.5が3.0になるようなもの)ということだ。

 

この結果は,現実にはGPAに対する自律性の援助の独立した寄与であり,なぜある学生が他の学生よりもよいスコアを取るのかを理解するときの,親の養育態度に対する1つの解釈を与える。

 

しかし,実践的また理論的な意味を検証するのはもう少しむずかしい。

 

なぜなら,ほとんどの人がGPAの単位を理解しているにもかかわらず,数字になった自律性の援助の単位というのは一般的に実生活で使われているわけではないからだ。

 

つまり,10ポイントの自律性の援助の変化にとって,理論的,実践的に重要なものは何だろう? 

 

最後に,この研究に含められたもの以外の第三変数が,この結果に影響してはいないだろうか?

 

この研究に含まれていた潜在的な第三変数の偏回帰係数のほとんどは,統計的に有意ではなかった。

 

これは1985年のGPAとCATを除いて,これらの変数が基準変数に対して有意な,独立した寄与を示さなかったことを意味している。

 

しかし。それはこれらの変数が研究に含まれていなかったかのように結果から欠落してしまったということではない。

 

実際,いずれの予測変数も有意な独立的な寄与を示さなくとも,基準変数と予測変数からつくられる合成変数との間の相関、つまり,値が有意になることがあり得る。

 

その偏回帰係数が統計的に有意でも,MRC分析から変数が落ちることは,重相関係数と同じように変数全体の係数の値に影響する。

 

つまり。最初にある変数を含めるかどうかを決めるのと同様で,変数を落とすことを決めるには注意深く理論的な理由づけをしなければならない。

 

さらにいえば予測変数が落とされたり追加されたりするときはいつでも. MRCはすべての指標について新しい測定値を得るために計算し直さなければならない。

 

基準変数に対するさまざまな予測変数の寄与を比較するために,偏回帰係数の統計的有意性の大きさを解釈したくなる。

 

論文ではほとんど報告されていないが,回帰係数どうしの差の統計的有意性を検定することも可能である。

 

 

しかし,回帰係数の大きさを比較する際には注意すべき点がある。

 

素点に基づく回帰係数の大きさは,測定の単位が異なる変数と直接比較することはできない。

 

例2で. CATは平均値59.53,標準偏差24.81であった。対する自律性の援助の平均は7.94.標準偏差は2.81である。

 

明らかに,学力におけるCATの1単位の変化(少なくとも標準偏差の変化)は自律的養育態度における自律性の援助の1単位(すなわち標準偏差よりも大きい)と同様の意味をもってはいない。

 

測定単位による違いは素点係数に影響を与えるから,それらの比較解釈は意味をなさない。

 

しかし素点をZ得点に変換することは。すべての変数を同じ測定単位である平均0,標準偏差1にすることである。だから標準化係数は直接比較できるのだ。

 

つまり,少なくともこの研究では,統計的統制の解釈に制限がある中ではあるけれども,1985年のGPAとそれ以前の学業達成度(CATで測定されたもの)は, 1986年のGPAに対して。他3つの投人された変数よりも大きな独立した寄与をした,ということができる。

 

ただし、注意すべきはたとえそれらの係数が有意に0とは異なるという結果であったとしても、他のすべての変数を当該の予測変数と基準変数から取り除くので,相関係数のように行動制御(予測変数)の意味だけが変わっているのではなく,行動制御と1986年のGPAの両方の意味が変わってくる。

 

その理由の1つは,探索的な研究の目的が基準変数によって測定されるある特殊な現象を理解することにあるからだ。

 

だから,研究者はり)のような・変数の意味を変える統計量を避けるのである。

 

偏相関,部分相関,偏回帰係数は同じ基本的な概念(独立した寄与)に基づいているので実際には異なる数値となっていても,1つが統計的に有意であるときは,他のものも有意になる。

 

予測変数についての偏回帰係数に対する有意性検定は,これらの指標すべてに対する検定を提供することになる。

 

偏回帰係数に対する多くの警告と同じことが,偏相関係数に対してもいえる(たとえば逆方向の因果関係の可能性だとか,研究の中に含まれていない第三の変数の存在の可能性だとか,他の構成による解釈のむずかしさといったことである)。

 

さらに標準化回帰係数のときのように,同じ重回帰分析における異なる予測変量に対する値の大きさは比較可能である。

 

なぜなら,それらは同じ測定尺度に基づいているからである。

 

しかしこれまた標準化係数同様に大きさは標本分散に影響され,サンプルが違うと変動するものである。

 

であるから,割合をとり,その大きさについて解釈を一般化するとき,あるいは異なる研究のそれと比較するときは注意が必要である。

 

 

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